OFF会レポート2015夏 2015年06月14日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

ド田舎の新浜生まれ新浜育ちの僕が初めての東京駅のエネルギーにビビるのはネタとしてはベタ過ぎた。
しかも東京駅の大きさや複雑な構造や駅ナカにエネルギーを感じたのではなくて、そこに歩いている人間の多さ、美人女性の多さ、肌の露出の多さにビビっているのだから初心な大学生を絵に描いたようでベタ過ぎる。

じろじろキョロキョロするのは恥ずかしいということでiPhoneのgoogleマップを睨みつけながらプルプル震えながら歩いている、如何にもオタク系お上り純情学生さんが僕の実態であり、僕はとあるイラストブログの管理人で『使用後』と名乗っていて、向かっているところはとあるコミュニティーのOFF会会場だった。

そのコミュニティーは『みんなで画力アップを目指そうスレ』という名のイラスト初心者たちの集いであり、一つのスレッドにみんなで絵の練習経過をアップしていく形で進行していく類のものであり、初めは過疎っていたけれど常連さんや一見さんやめちゃくちゃ上手い人や荒らしなんかが出入りし始めたりして、ちょっとずつ流れができてきて変な結束感が生まれている。

イラスト初心者の集い、という名前なのにどう見てもpixivランカーみたいな人がいたり独特な作家性を発揮している人がいたり素敵すぎるイラストを毎回投下する人にはファンが発生したり、真性下手くそ絵描きの僕の肩身は非常に狭い。

僕だって真面目に画力アップを目指す絵描きの一人ではある。
初めは絵画教本通りに丸を書きまくったり、石膏デッサンをしてみたり、ポーズマニアックスをやってみたりした。
でも僕の描きたいのは漫画絵であって正直に言えば可愛い女の子であって全裸の中年おっさんのカッコイイポーズじゃなかった。
だから途中から版権絵をトレスしてみたりエロに走ったりして、でもやっぱり基礎力が無いから微妙に歪んでいて、いまいちだった。

そんな中で気付いたのは『絵の上手い人は星の数ほどいる』ということだ。
ちょっとすみません高校生ですけど参加させてください、とか言って、めちゃくちゃ上手い
感じのソリッドな感じの今風な絵が投下されたりするとなんか自分にガッカリする。

つーか、どこまで行っても東京駅。
そんな感じがする。

ネガティブな感情に襲われながら歩いていると、何度目かの逡巡に襲われる。
本当にこんな自分がOFF会に参加していいのか。こんなヒキコモリ大学生の僕が。
『あっ(察し)』
みたいなことになる未来しか想像できない。

⚫︎

OFF会会場は発音できないフランス語表記の店で、ビルの細い階段を上がって行くと入り口がある、おしゃれな感じの店で僕は場違いな感じを受ける。
ーー金山という名で予約をしていると聞いているんですが。
と美人な店員さんに伝えるとこちらですと案内される。
金山さんはゴールデンというハンドルネームで参加していてめちゃくちゃ絵が上手い人だ。
この人、どう見てもプロだろ、と思っていたら案の定プロになって、ちょっとマイナーな雑誌だけれど連載を持つようになっていた。
さすがに画力スレには参加しなくなったけれど、ブログは定期的に更新していて、魅力的な絵をアップしては話題になっている。

僕はゴールデンさんが初めてスレに参加する瞬間に立ち会っている。
僕の方が先輩で、でもそんなの勿論どうでもいいことなんだけど、なんとなく『にわかファン』とは違うんだという自分勝手な自負がある。
ゴールデンさんの絵がまとめサイトに転載されたり、この絵師の詳細教えて、とか言われていたり、書評サイトでレビューされていたり、わーきゃー言われていても、僕はそういうメディアの動きをちょっと冷めた目で見てたり、なんだか寂しいような苛立つような複雑な想いに駆られる。

こういう想いは勿論ウザいに決まっているし、僕は胸の中に締まっておくつもりだ。
でも、酒の勢いで告白してしまいそうな気がする。僕の方が誰よりも早くゴールデンさんを
知っていて、きっと誰よりも好きだし、僕はゴールデンさんのようになるのが目標なんだ、とか
気持ち悪いことを言ってしまいそうな気がする。

OFF会のメンバーは10人以上と聞いている。
ゴールデンさんの他にもボートさん、アールさん、陽炎さん、カステラさん、わさびさん、
田丸さん、大波さん、いや、名前を挙げていってもキリがない。
ゴールデンさん以外にもプロになった人がいるし、エロ方面で有名になった人もいて、かなりレベルが高い人が集まっているのが実際だ。
場違いだ。もう逃げ出したい。心臓の鼓動はMAXで、正直なところ目眩が始まっている。

おしゃれな仕切り戸を開くと、立食パーティーみたいな会場になっていて、
真ん中の大きなテーブルで20人近くの人たちが談笑している。
中学生みたいな人から渋い中年おっさんまで、勿論、全員初対面だ。
そして何より僕をビビらせたのは半分くらいが女性だったことだ。
如何にもオタクです、みたいな人がいなくて、僕は本当に帰りたくなる。

つんつん、と脇腹を突っつかれ、びっくりして横を見るとイケメン大学生みたいな
人がいて、人懐こい、モテそうな笑顔でーー参加してくれてありがとう、あなたの
ハンドルネームを教えてください、と言われる。
ーーあ、あの、使用後と言います。
ーーああ、あなたが使用後さんですか。どうも初めまして、ゴールデンです。
ーーあ、あ、初めまして、よろしくお願いします。
ーーどうぞ、真ん中の好きな席に座ってください。あと、5人くらい来るみたいだ。
ーーそ、そうですか。5人ですか。

めちゃくちゃぎこちない。そして恥ずかしい。ただただ恥ずかしい。
正直帰りたい。このレベル高い人が集まった合コンみたいな感じのところは僕に合わない。
渡された名札には『使用後』と書いてあり、僕はそれを胸に付ける。羞恥プレイだ。

僕はどんなキャラなんだ。
僕のネット人格はどんなだったか。
『使用後』を名乗り、数々の絵を描き、文章を書き、ブログを書いてきた。
それらは僕以外の人に僕をどう伝えてきたか。

『中途半端画力の厨二病っぽい、それでいてオリジナリティは特に無い、オタク』

OK。
まあ、そこだ。ある意味、ベタな、典型的なキャラクタが僕だ。
見た目もそんな感じだ。こんな感じの男があんな感じの絵を描いている。
なんか、リアリティーじゃないですか?
なんか、開き直る。
酒だ。酒をくれ。酒の勢いで俺はもう『使用後』を完璧に演じてみせる。

空いてる席に座ると隣が可愛い系の女の子で、白っぽいメイド服みたいなワンピースを
着ていて、あ、これがコスプレ? ゴスロリ? みたいな衝撃を受ける。
失礼ながら胸元の名札を見ると『弟切草』さんで、僕は2度目の衝撃に襲われる。

弟切草さんを、僕は勝手に男性だと思っていた。
弟切草さんはfateや月姫、いわゆるtype-moon系の美少女絵を描いていて、自画像も
美大生っぽい感じの男性だったから、僕はそれを真に受けて、男性なんだろうと思い込んでいた。
でも、まあ、確かに、絵のそこここに繊細さを感じることがあった。
女性のここにフェチを感じるんですよねー、みたいな絵も、スケベ心というより、
なんか、もっとリアルなフェチシズムを醸し出していた。それに、服装へのこだわり、
表面の絵面じゃなくて、心情的な描写の濃さ、そういうものは、確かに女性のものだった
のかもしれない。

ーー僕、弟切草さんは男性だと思ってました。ビビりました。

正直にそう言うと、弟切草さんは僕の名札を見て、『あっ(察し)』という顔をし、
ーーああ、使用後さんは、使用後さんって感じですね。
とちょっと低めの声で言った。
ーー弟切草さんの自画像って男性じゃないですか。だからてっきり・・・
ーー使用後さんの自画像は、あの、なんでしたっけ、髪の毛の長い・・・
ーー七瀬ですか?
ーーあ、そうそう、七瀬ちゃんなのかと思ってましたけど。
ーーそんなことないですよ。あの、毒男が自画像です。
ーーでも、ブログでは七瀬ちゃんに成りきってません?
  それと同じで、私もあの自画像にTSしてるわけです。
ーーああ。そういう・・・

ここで話が途切れる。
もしも僕がtype-moon作品に詳しければ、ここからそっちへ持っていけたかもしれない。
非常に悔やまれる。オタク失格だ。もう、type-moonは全然と言っていいほどわからない。
月姫のアルクは知っている。知っているだけだ。あの、適当なセーターとスカートが好きだ。
あと、カレーが好き? カレーが好きなのは、違うキャラだったかもしれない。
もう本当、僕は中途半端オタクだ。本当、薄っぺらい。

けれど、ここでtype-moon談義を始めてほしくない風にも感じられる。
目をぱちぱちさせてそわそわしていて、なんか、ちょっと拒絶されている感じを受ける。
僕は反対の隣の人に意識を向ける。

普通のさわやかな20代前半の社会人男性。
チノパンにカッターシャツで、これでジャケットを羽織ればフレッシュな営業マン風の。
名札を見ると『昆布出汁』さんだった。

お。
なるほどですよ。
あなたが昆布さんですか。なるほどなるほど・・・

昆布さんは僕と芸風が似ている。僕は勝手に昆布さんのことを同類だと認識している。
オタクだけれど、最近の流行にはちょっと疎く、type-moonを知らない系で、
どちらかといえばファミコンが好きで、エロに興味がありつつもエロが描けない系。
都会か田舎かといえば、田舎。
ガイナックスかジブリかといえば、ジブリ。
ソニーかセガかといえば、セガ。
同類の匂いがする。まあ、ほとんど勝手な妄想だが・・・

ーー昆布さん。昆布さん。はじめまして、使用後です。
ーーあっ。使用後さんですか。どうもどうも。昆布です。
ーー増田こうすけの描く、聖徳太子に似てるって言われません?
ーーえっ、そんなこと初めて言われましたよ!? ていうか似てます!?
ーーいえ、間違いました。増田こうすけに似てますね。
ーーそれはよく言われます。

よかった。
と、ここで全員が揃ったらしく、ゴールデンさんが下座に座る。
今のところ、会話が弾んでいる人たちと、そうでもない人たちが分布している。

OFF会って、こういうものなのか。
コミュニケーション能力の高い人が有利なんだろうな。

ーーはじめまして。幹事のゴールデンです。
  みなさん、どうも日本各地からお集まりいただいてありがとうございました。
  みなさん、それぞれ名札がついてますけど、本当にこう、ビックネームが集まったなと
  思います。インターネットですと、やっぱり、みなさんがよくわからないんですよね。
  そのわからなさがインターネットの良いところなんですけど、でも、こうして
  虚構と現実が繋がる感じ、こういうのも凄く面白いことです。
  みなさんの中にはインターネット人格で色んな性癖を殴り書いてる人が、私を含めて
  いますけれど、そこらへんの追求は今回はやめていただいて(笑)
  楽しく交流して繋がりを作っていければと思います。
  また、商談とか、カップル成立とかもどんどんやっていただければ(笑)
  本日はよろしく御願いいたします。

パチパチ。拍手が部屋に満ちる。

ーー早速ですね、乾杯の挨拶ですけど。
  この度、第1冊目の単行本を刊行されましたルンバさんに御願いしたいと思います。

パチパチパチ。ゴールデンさんの隣の座っていたスーツ姿の眼鏡美人が立ち上がる。
え? そうなの? ルンバさんって女性なの? おっさんじゃないの?
なんてことだよ! 世の中おかしいよ! もう、ルンバさんにセクハラコメントできないよ!

ーーあ、あの、はじめまして、ルンバという名前で参加してました者です。
  ちょっとですね、こういう場で話すの慣れてませんので、特に良いこと言えないんですが、
  私、あのスレッドはですね、ある意味、現代のトキワ荘なのかなと思ってます。
  トキワ荘ってのは、手塚治虫、藤子不二雄、赤塚不二夫とか日本の漫画界を盛り上げた
  巨匠たちが若いころ住んでまして、貧乏な時代にみんなで切磋琢磨して頑張ったところ
  なんですよ。まあ、ここにおられる若い方は知らないかたもいるかもしれませんが。
  とにかく、みんながお互いを意識しながら助け合いながら競争しながら、実力を高めて
  いく、そういうところが似ているかなと。
  顔の見えないインターネットもいいんですけど、さっきのゴールデンさんの話にも
  ありましたけど、今回はリアルな繋がりをちょっとですね、持っていただいて、
  貴重な体験をさせてもらいたいなと思います。
  すみません、話が長くなりました。
  それではお手元のお飲み物を持っていただいて。
  では、ここで皆様と出会えました幸運に感謝しまして、乾杯!

生ビールをぐぐっと飲む。あれ、これ美味しい。こんなの飲んだことない。
パチパチパチと拍手が鳴る中、ゴールデンさんが今回は2時間飲み放題であること、
食べ物はメニューから各自勝手に注文してほしいこと、2次会も用意してあることを
アナウンスする。

なんか、こう、しっかりしている。なんかのイベントみたいじゃないですか。
僕は弟切草さんにビールを注ぐ。
弟切草さんの薬指にはリングがはまっている。結婚しているのか。
ーー弟切草さんって結婚しているんですね。
ーーあ、そうです。ふふ。意外でした?
ーーあ、いえ、そんなことないんですけど・・・
  僕、アルクウェイドが好きですよ。
ーーアルクは私も好きです。使用後さんはアルクのどこが好きですか?
ーーどこが、ですか。性格と、おっぱいが好きですね。
ーーあはは。すみません。聞く前からわかってました。
  使用後さんはおっぱいが好きですからね。

恥ずかしいです。
初対面の女の人とそんなトークしたことない。

ーー使用後さんの彼女さんも巨乳なんですか?
ーーえ、いや、彼女はいませんので・・・
ーーあ、失礼いたしました。じゃあ、巨乳の彼女さんが欲しいですか?
ーーま、まあ・・・ でも、おっぱいだけで選ぶわけじゃないですよ。
ーーどんな女性が好きなんですか?
ーーや、やさしい感じの。
ーーふーん。この中で、どなたが好みですか?

弟切草さんが指をすっと振る。
会場には色んな女性がいて、なんか、目が泳ぐ。
どなたが、と言われても・・・

ーーわかりません。
ーーふふふ。なるほど。なるほど。

と、そこで後ろから白衣のコスプレをした女性が入ってきて、
赤ワインを弟切草さんに渡す。名札にはパステルと書いてある。
ああ、パステルさんも女性なのか。パステルさんの絵はポップでセンス良く、
まさしくパステルカラーみたいな可愛さがある。でも、基本、美少女しか
描かないから、なんとなく男性なんだろうなと思っていた。
弟切草さんとパステルさんには多くのファンがいて、ある意味花形の存在だった。

・・・本当、イメージは当てにならない。
弟切草さんとパステルさんがえー、とか、きゃーとか言い合っている。
初対面なのに同窓会みたいな雰囲気でガールズトークを始めている。
こうなると、もう、入っていけないよね。

僕は昆布さんにビールを注ぎ、注がれる。
ちょっと一緒に色んな人に注いできませんか、と誘い、二人でビール瓶を抱えて立ち上がる。

ゴールデンさんの周りには多くの人が集まっていたので、とりあえず目に付く人に注ぎ始める。
インターネットのイメージ通りの人もいるが、意外な感じの人もいる。
ヘビメタが好きなんですよ、という『かわうそ』さんはやっぱりそのまんまヘビメタぽかった。
動物の絵をひたすら書き続ける『動物』さんは真っ直ぐな目をした真面目そうな青年だった。

持参のタッパにチャーハンを詰めていた『わさび』さんにビールを注ぐ。
スレッドの中で一番初めにプロになったのがわさびさんだった。
僕の中で、わさびさんは特別な人の一人だ。僕があのスレッドに参加した理由がわさびさん
だった。わさびさんは卑怯な技を持っている。これは僕の個人的なイメージなのだけど、
わさびさんの描く線には魔法が掛かっている。どんなに適当に引いても、さっと引いても、
よれよれに引いても、自信なさげに引いても、味がある。
それは凄く魅力的な音の楽器に似ている。どう鳴っても、場の空気を持っていける。
そんな反則技の線を出版社が見逃すはずがなかった。

ーーはじめまして。使用後です。お世話になってます。
ーーあ、どうも。わさびです。おっぱい。
ーーおっぱいですか。おっぱい、いいですよね。
ーーおっぱいいいよね。
ーーちょっと、おっぱいについて話しをしませんか。
ーーいや、いい。おっぱいは、あるがままがいいんだよ。

ちょっと待って。これ、深いですよ。
深いおっぱい愛ですよ。
言葉を重ねることでおっぱいを表現できると思うことは傲慢なんですよ。

僕たちは、あるがまま、どんなおっぱいも愛するんだ。

よし。
OFF会に参加した甲斐があった。収穫があった。

ついでに、プロになるってどんな感じですか? と聞くと、
プロになってもあんまり気分とか変わんない、だって、結局、毎日漫画描いて
食べて寝てテレビ見てゲームして運動してって感じだしあんまり儲からないし、とのこと。

初期の電気グルーヴみたいな感じですか? と聞くと、
よくわかんないけどそんな感じ、とのこと。

よし。
もういい。もうわかった。何物にも代えがたい収穫があった。

⚫︎

飲んだり飲まされたりして酩酊状態。
田丸先生に僕は絡む。田丸先生のエロ漫画の中で、ショタがギャル2人に絞られるネタで、
ショタが「ほら、いいから足広げて、おしっこしろ。」みたいに、こう、持ち上げられて
おしっこさせられるシーンがあって、あれが、もう、自分内ベストシーンだった。
あのシーンだけで色んな性癖の扉が開かれて、イノベーションでした。
ーーめちゃくちゃ抜いた?
ーー抜いた抜いた。
ーーもっと抜いていいよ? ほら、白いのびゅーびゅー出して?
田丸先生にズボンの上からコスコスされて、正直、危なかった。
ーーまじで出そうだった?
ーーちょっと、本当、危ないんで。
ーーいいじゃん。ほら、ルンバ先生で見抜きして?
指差した先にはルンバ先生がいて、むちむちぱつんぱつんのスーツ姿で
知的メガネ美女で、本当、危なかった。

田丸先生は中性的な美少年で、渚カヲルみたいで、僕はホモの道に落ちそうになる。
いや、落ちたい。実は僕は潜在的にホモなんじゃないだろうか。
エロ漫画家は男になったり女になったりする。たぶん、女になってる率が高いはずだ。
だから、男心がよくわかる美少女になれる。

ルンバ先生はどうなんだろうか?
女性が男性向けエロ漫画を描くというのは、どういう感じなんだろうか?

ーーどう思います?
ーー何?
ーールンバ先生は、どんな気持ちでエロ漫画描いてるのか・・・
ーーどんな、か。使用後は少女漫画読んだことある?
ーーちょっとはあります。
ーーあれを描くとしたらどうする?
ーーうーん。周りの作品から浮かないように、空気を似せながら、こう、
  少女漫画家になりきって描くんじゃないかと。
ーーそれと同じことをルンバ先生はしてるじゃないかな?

複雑怪奇。
あと、エロすぎる。ルンバ先生という存在がエロすぎる。
逆に近づきにくい。近づきたいけど近づけない。

ーーこれ、筆下ろししてもらえば?
ーーちょっ

田丸先生にめっちゃ握られる。

ーーせっかくだから、エロ漫画家に、エロ漫画みたいなことしてもらえば?

僕はビールを飲み干す。ちょっと気持ち悪い。喉が渇いている。
僕は立ち上がる。会場全体が騒がし過ぎて耳が遠くなっている。

ルンバ先生がパスタを小皿に移している。

僕は深く息を吐きながら近づいていく。
クールになれ。
僕に失うものはない。

ルンバ先生の横に立つ。
同じくらいの身長。
女性にしては大柄。
いい匂いがする。

ーー挨拶遅れてすみません。使用後です。

ルンバ先生は、僕の方を見ない。
あれ、聞こえなかったのか、と思う。

ーー遅くないよ。

めっちゃ、甘い、ウェスパーボイスである。
そうか。遅くなかったのか。
僕はちょっとホッとし、次のセリフで戦慄する。

ーー・・・遅いんじゃなくて、遅過ぎなんだよ。使用後くん。

ーーえ?
ーーお仕置きしなきゃ、だね。

瞬間、何も聞こえなくなった。
そんな感じがした。耳が温かいもので包まれた。
耳を、舐められていた。

ーーなんで、一番初めに来てくれなかったの?
ーーえ、いや、だってルンバさんの周りにはいつも誰かがいまして・・・
ーーだめだよ? もっと、ぐいぐい来て?

ルンバさんはスーツの2番目のボタンを外す。
そこから、服の隙間から、胸の深い谷間が見える。
スーツの下には何も着ていない?

ーーずっと待ってたのに。ローションが乾いちゃいそう。

右手を掴まれ、その谷間に誘導される。
まじで、いいんですか、こんな、と戸惑っている内にぬるんと谷間の中へ入っていく。
そこはめちゃくちゃ熱くてヌルヌルしていて柔らかかった。

ーーこの中で、3回でも4回でも出して?
  ビュービューって出して?
  エロ漫画家のエロおっぱい谷間を使用後くんの白いのでいっぱいにして?

がっちり押さえられた指が激しく谷間を出たり入ったりして、
すっごくクチュクチュ鳴ってて、それだけでもう僕は頭が真っ白になる。
こんなことして他の人にバレてないんだろうか、とか思うけどもう身体に
力が入らない。

ーーそのあと、ラブホで朝まで寝ないで繋がりっぱなし。
  それが、お仕置き、だから。
  覚悟、して?

甘い匂いに包まれ、そこから先は覚えていない。

⚫︎

「みたいな」

那由他姉の熱演が終わる。

私とユグはぽかーんとした顔でこの酔狂女を見る。

「・・・何が、みたいな、なの?」
「だから、私の思うエロ漫画家のイメージだよ」
「もう、本当、前振り、長いっすよ。しかも、全然リアリティーないし」
「え? めっちゃリアルリアリティーだったよ。そのための前振りなんだよ」
「あ、あの」
「何? ユグ。 ユグは10文字しかしゃべっちゃだめだから。それが私ルール」
「本当、那由他姉様って、変」
「はい、だめー。10文字超過ー」
「なんなの、こいつ。本当、この女ウザいわ」
「愚妹もこれから先、10文字しかしゃべっちゃだめ。私ルール」
「ウザい」
「はいダメー。3文字しかしゃべってないからダメー。却下ー」
「なゆたあね うざいです」
「おおっ。ドラクエの復活の呪文みたいです!」
「こういうミラクルがいいよね」
「いいのか」
「ということで、よし。私、今日も全力で仕事した。充実してた。寝るわ」
「なんなの。本当、この人。こんな自由気ままが許されるのか?」
「この世界は私のものだから」
「本当、なんなのこの人」
「ユグは今夜は巫女装束着て。愚妹はバニーガールで」
「すごいですよね。ここまで人間は傲慢になれるんですね」
「私、怖いものないから。はやく着替えて。ほらほら」
「そんな変なコスプレ服がそこらへんにあってたまるか」
「あるよ。買ったから」
「買ったんだ? うわ。本当だ」
「永遠は、あるよ」
「那由他姉って、ちょっと古いよね。すごく懐かしい葉鍵系のネタとか、なんか」
「だよもん」
「お。来たよ来たよ。懐かしいところ来たよ」
「うぐぅ」
「普段、スプラトゥーンとか言ってるのに」
「もうだめ。眠たい。寝る。はやくはやく。はやく巫女巫女させて!」
「え? 私、バニーガールなんだけど」
「やっぱり愚妹も巫女装束着て。巫女巫女で寝るから」
「なんなの。本当、こんなの、こんな我侭許されるのか?」


ー つづく ー
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生成されたエントリー:ブログの終点にて 2015年06月07日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

ダンボール箱の隅から一枚のSDカードが出てきた。
おれはそれを拾い上げ、しげしげと見眺め、もしかしたら昔書いていたブログのデータが
入っているかもしれない、と考える。

定年退職して2日が経っていた。
地方の小さな加工メーカーを勤め上げ、技術部次長まで上がり、定年を迎えた。
過ぎてみれば、あっという間の人生だった。鏡に映っているのは白髪まじりの、
少しぽちゃっとしつつも深くシワの入った、老人顏の自分だった。
会社から持ち帰った箱には入社時から定年まで自分が携わった部品の一部が入っていた。
懐かしくもあり、夢の中の出来事だったような、ふわふわとした気持ちに襲われる。

おれの人生は静かな着地を迎えるだけとなっていた。
妻は10年前に亡くなっており、墓の中でおれを待っている。
子供は東京の方で家庭を築いていて、年に1回顔を見せては忙しそうにして帰っていく。

⚫︎

SDカードの中身は、やはり、自分のブログのバックアップだった。
そのブログは大学生のときから続けていたもので、結婚するちょっと前から更新しなくなった。
その後、運営していた無料ブログサービスの更新があったようで、知らないうちに
インターネットから全データが消えていた。

軽い昼ご飯を食べた後、昔の自分のブログを見ていた。
完全に中身を忘れている、ということはなかった。ああ、こんなことも書いていたな、
こんな絵を漫画を描いていたな。頭のどこかに少しでも残っていることに不思議さを感じた。

テクノロジーの進化はとどまることはなかったが、興味は衰えていく。
iPhoneが全盛期だったときでも、当時の老人たちには興味の外だった。
若者たちがロックだ、ヒップホップだ、と言っている時に、老人たちは演歌や民謡を歌っていた。
同じく、おれもまたどこかでテクノロジーの進化から自ら離れていき、
ある程度のところで『古き良き時代』のテクノロジーにとどまり続けた。

自分の文章、絵は青臭く、どれも借り物で、偽物に見えた。
あの本のあの考えと、その本のその文をくっつけて、あたかも自分が考えたかのようにして
書いている、とか、あの絵の構図を持ってきて、その絵のキャラクタを配置しただけの絵、
そういう裏側を今でも覚えていて、どうしょうもない、偽物たちだと感じる。
それでも、ただ書いて、こうやってブログに貼ることに罪があるわけではない。
若かったんだな。
今となってはただただそう思うだけだ。

⚫︎

毎日、訃報が届く。
子供の時、憧れだったクリエイターたちや、同年代の仲間たちの訃報が届く。
日本の映画、小説、音楽、漫画、アニメ、ゲーム、そういう文化の知っている名前が
少しずつ没していく。
ベルトコンベアは止まらず、あらゆる全てのものが古くなり、そして亡くなっていく。
自分もまた、いつの間にかベルトコンベアの終わりに辿り着いていた。

インターネットには情報が永遠に残る。

そういう言説もかつてはあったが、大袈裟だったとも思う。
夏目漱石の小説は永遠に残るが、その他大勢の小説は残らず消えていく。

インターネットには(本物の、価値のある)情報は永遠に残る。

そして、本物の、価値のある情報なら、インターネットじゃなくても残るのだ。

本物たちは亡霊のように現世に残り続け、永遠を手にいれる。
マリオブラザーズは未だに子供達に遊ばれているし、ビートルズは白黒の画面の中で歌い続ける。

⚫︎

自分のブログの中で、
「ずっと絵を描き続ける」
と書いていた。

そして、それ以降、絵は描かなくなった。
だいたいにして、そんなことを書くということは既に危機に瀕しているのだ。
本当にそんなことを思っているのなら、書く前に描いている。
自分の中で終わりが来たと思っている、予感があるから、そんなことを書くのだ。

俺たちはずっとロックし続ける。

と、ピークに達したロックミュージシャンは歌う。
そんなことを歌わなければならない、あるいは、そんな歌詞を歌うことに価値が
生まれるほどに、彼らのロックは危機を迎えているのだ。

絵を描く初期衝動はとっくの昔に消え去っている。
物語を作る動機もなくなり、欲望にかられることもなくなった。
全く新しい何かを見出すこともなくなり、興味が持てなくなった。

⚫︎

目が覚めた。
冷たい風が頬を撫でた。

寝息が聞こえる。まだユグが横で眠っていた。
私の右腕はユグの胸の中でしっかり固定されていた。
しがみついているようでもあり、逃がさないぞという意思があるようでもあった。
あまりにも肉体の距離が近すぎて私とユグの境界線はぼやけている。
それは気持ち良くもあり、怖くもある。
ユグに食べられてしまう、というイメージがどこかにある。

甘い生クリームがぱんぱんに詰まった薄皮シュークリームみたいなユグドラシルさん。
妄想の権化のような存在だが、実際のところ現実的な限界を超えることはない。
例えばドラえもんがいれば世界が変わると思っていても、実際には大して変わらないのと同じく。
のび太はどこまでいってものび太であり、勉強ができるようになるわけでも、ジャイアンに
いじめられなくなるわけでもなく、スネ夫のようにお金持ちになるわけでもない。
世界を救うような大冒険をして、大英雄になって王女にキスされても、のび太は元の世界に
帰れば「のび太! おつかい頼んだの忘れたの!?」と母親に叱られる。

夢の世界、物語の世界、現実の世界、物語の中の物語の世界、
どれが本物でどれが偽物ということはなく、脳みそは目の前の事象に取り組む。
問題を解決しようとし、更なる快楽を追求しようとする。

ユグが手が伸びて、私の胸を触る。
「おはようございます」
胸の先端をこりこりするので私は身体を縮めて逃げようとする。
「このあと、めちゃくちゃセックスした、です」
「しないっ」
「じゃあ、練習です。セックスの練習」
「ちょ」

⚫︎⚫︎

簡単に出来る! 結界強度の測定方法

従来、魔法は未知なるエネルギーとされてきた。
あるいは、怪しげなもの、ライトノベル的なもの、空想的なものとされてきた。

ところが2015年8月の魔法学会において新浜大学 岸教授の重大な発表を受け、
世界観が180°回転する羽目になったのは記憶に新しいところである。

岸教授は5価の魔法球を手に浮かべながら、このように発言した。

「魔法とは、要は、電圧差である」

⚫︎⚫︎

結界はありとあらゆるところに張られている。
地方自治体が展開しているものもあれば、個人的に趣味で張っているものもあり、
近年では植物たちも微細な(0.01価程度)結界を張っていることが知られている。

この結界強度の強さを調べる術は今までなかった。
何か衝撃を与えた場合に破壊することはあったが、目に見えず、測定もできないため
定量的に強度を表すことはできなかった。

しかし、今では岸教授の「魔法=電圧理論」により、簡単に測定することができる。

結界が破損する電圧差を調べるためのテスターと、電圧差を生じさせる電極があればよい。
結界はその表面において傷を自己治癒する機能を有している。
これは魔法的な不思議な力ではなく、電圧差による自然現象であることがわかっている。
(砂場で垂直に穴を掘れば、周りの砂が崩れ始めて穴が埋まっていくのに似ている)

結界の一次側と二次側にそれぞれ電極を取り付け、電圧差を生じさせていくと、
結界表面の構造が外気に流出し始め、ある時点で貫通が生じる。
その時の電圧差を結界強度として表すことができる。

0Vから5GVの間という比較的スケールの大きな電位差のいずれかに破壊点があり、
一般的には2GV以上あれば堅牢な結界として評価することができる。

⚫︎⚫︎

轟音と共に激しい振動があり、電車がホームに到着する。
色鮮やかなこの乗り物が僕にとっては魔法のような存在だった。
1分の狂いもなく運行され、日本中を血流のように流れ続けている。

そのエネルギーの塊の移動と、完璧なシステム体系。
これが魔法じゃなくてなんだというんだろう?

ベルの音がなり、短調のメロディーが流れる。
背後のホームに電車が到着し、大勢の人々が吐き出されてくる。
色々な匂いがする。僕があまりにもきょろきょろしているからか、
お父さんが僕の頭をわし掴みする。

電車に乗り込む。ふかふかのソファーに座る。
運行状況と広告が立体映像になって目の前に展開される。
新幹線のぞみの精巧なモデルは指でタップすることができ、
トイレやゴミ箱の場所、社内販売員の位置を教えてくれる。
拡張現実により、これから新浜駅を離れ、東京に向かうことを
脳みそに直接アナウンスしてくれる。

僕にとって魔法そのものでも、お父さんたちにとってはただの電圧差だ。
立体のように見えるだけの疑似視差信号であることをお父さんたちは知っている。
脳みそに直接アナウンスしているように感じるだけで、実際は視覚と聴覚に
絶妙なバランスで働きかけているだけだと知っている。

僕だって知っている。でも、これは魔法だと思う。
何もないところから火が放たれれば、それが隠し持っていたマッチを燃やしたものであっても、
魔法だと思う。種の有無はどうでもいいように思う。すごい! そう感じれば魔法だ。僕はそう思う。

⚫︎⚫︎⚫︎

ボールが来た。俺はそれを掴み、走った。高揚していた。

まさか、あいつが?
あのチビでメガネでのろまなあいつが?

ノーマークだった俺が実はキーマンだったって奴だ。わかるかい?
短い芝生のフィールドを全力で駆ける。
まだ朝露に濡れて青臭い匂いが充満している。脚に飛沫が当たるみたいだ。

背後からジョニー、マイク、ヘンスが鬼の顔をして迫ってくる。
俺はさらに前のめりになって地面を蹴りつける。

空気を切り裂いて、予感と喜びとアドレナリンで視界が真っ白に染まる。
全身全霊が弾丸みたいにぶっ飛んで、それでもまだまだスピードを上げられると感じる。
爆発的な歓声が地響きのように耳に届く。どうでもいい。ただただ走るだけだ。

ヒーローになる。
必然のヒーローだ。ジョニーの指先が俺の背中を擦り、ふくらはぎを引っ掻いた。
でも白い白線はもう目の前にあって、もう時間切れだ。タッチダウンだ。

そのまま地面にボールを叩きつけて、俺もボールのように地面を転がる。
ファッキン野郎とかなんとかボロクソに言われて耳をつんざくようなホイッスルが鳴る。

逆転勝ちだ。

まあ、そんなのどうでもいいや。俺は駆け寄ってきたチームメイトにもみくちゃにされながら
フィールドの真ん中に整列する。敵チームは半分泣いていて半分めちゃくちゃ怒っている。
まじぶっ殺すとか言ってる奴もいて審判に蹴りを入れられる。リーマンショック野郎、とか
いう奴もいて、それは俺の笑いのツボに入る。その日から俺のあだ名はリーマンになって、
学校のロッカーには『LEHMAN』とスプレーでデカデカと書かれることになる。

その後のパーティーも大変でいきなり監督からビールを頭の上から注がれる。
岩石みたいなチームリーダーのデイブからは変な飴を口に入れられて、なんだこれと言ったら、
何ってことないんだがあえて言えば『3mg』入ってる、とか言いやがって頭の中が爆発する。
めちゃくちゃ酒を飲んで備え付けのプールに放り投げられる。
メガネをぽいっと取られて柔らかで真っ白な太腿に挟まれる。
チアリーダーのジェシカがチーターみたいな目で俺を見る。
「あたし、今日の試合でもうすっごくムレムレになっちゃった」
「どこがムレムレになったんだ?」
「言わせないで。ここと、ここよ。もう限界」
ジェシカは薄い布をめくり上げる。ピンク色の肌がぬめっていた。
俺たち二人は会場から離れて人気のないバルコニーへ向かった。

⚫︎

年老いたから遊ばなくなるのではなく、遊ばないから年老いるのです。

⚫︎

SDカードをイジェクトする。

子供の時、2種類の大人がいると思った。
いつも、つまらなそうな顔をして、否定的なことや嫌味ばかり言う大人と、
まるで子供のように笑い面白がる大人の2種類だ。

後者のような大人になりたいと、もちろん、思った。
だけれど、結局、前者の大人になった。

年をとると、色々とわかってくる。
なによりも、諦めるようになる。

魔法は消え去り、理想は消え去り、高揚感は消え去る。
現実がわかる。オチがわかる。演技がわかり、あやつり人形の糸が見える。

ブログの更新を止めたのは、そんな気分からだった。
結局、ブログや創作は無意味な妄想や労力でしかない。
そんなものに時間を費やすより、しなければならない仕事がたくさんあった。
若さも失われ、体の不調も始まった。疲れは取れなくなり、欲望も自信もなくなった。
文句ばかりが出るようになり、若者たちの稚気にいらいらするようになり、
かといって自分自身ではなにもできずに、ずぶずぶと腐ることが多くなった。

SDカードをゴミ袋の中に放り込んだ。

ブログの終点をここに迎える。
人生の終点も。
ここから先はただ生きるだけになる。あとは誤差のようなものだ。
静かに生きる。余生を生きる。ベルトコンベアの終端はすぐそこだ。

⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎


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メンヘラサブカルガチレズサイコビッチメイドの逆鱗に触れる。 2014年01月02日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

三十路独身男性にとって、年末年始の親戚付き合いは本当に辛い。
色々な方向から色々な意味で惨めな気分にさせられてしまう。

今日もそういう日だった。
親戚が一堂に会し、酒を飲みながらどんどんと声が大きくなっていき、
「誰々が結婚した」「誰々が結婚しそうだ」などという話題がほとんどを
占めるようになる。それ以外のテーマでは場が白ける。
そういう場面に居続けるのは本当につらい。色んな思いが頭をよぎる。

なぜ、俺は結婚しないのか。できないのか。仕事が忙しい? そもそもモテない?
なぜ、モテる努力をしないのか。仕事を効率的に終わらせられないのか。
親に申し訳ないとは思わないのか。いや、一人の人間として、どうなのか。

そんなことを心の中でぐつぐつと煮込み始める。思わず酒を煽ってしまう。

「バカ。お前、禁酒してるんじゃないのか?」

従兄弟の『天龍』が俺の隣に座って、言った。
『天龍』は今俺が勝手に付けた名前だ。艦コレの『天龍』みたいな外見だったので、
勝手に付けた。でも、こいつはひどい女なのだ。人の弱みを握る、人の悪口を言う、
自分のことは棚に上げる、男のミスは絶対許さず、金使いがあらく、まあ、とにかく
大変な女なのである。見た目は可愛い。スタイルもいい。だけれど、実体としては
大変な女であり、怖い女なのである。

「お前さ、いい加減に変なブログ辞めろよ。いいおっさんになってんだから」

天龍は俺がブログをやっていることを知っている。それは2年前の正月のことだ。
俺の携帯電話を勝手にいじり、パスワードを抜け、そして一番先に見たのは
ブラウザのブックマークだった。そこに並んでいるサイトの中で、変な名称のものがあり、
それが俺の個人的なブログであることを一瞬で見抜いた。

「ユグとか七瀬とか、いい加減にしろよ」

もう、本当、袋だたきである。完璧に弱いものいじめだと思う。俺が何を言っても無駄である。
そのブログに載せている内容が高尚なものであればまだ良かったかもしれない。
しかし、実際にそこにあるのは小学生の描いたような絵と小学生の書いたような文章を
煉り固めて中途半端に腐らしたようなものなのである。
天龍はこれを見て、こいつは大変なオタクである、と断定した。

2年前、俺はただのおとなしい、草食系おっさんだった。
俺は俺のオタク趣味を隠していた。普通のサラリーマンを完璧に演じていた。
しかし、そんな携帯電話のガサ入れが俺の人生を一瞬にして変えてしまう。

天龍は俺の弱みを握った。天龍は俺に口止め料を要求した。
天龍は俺の描いた数少ないエロ絵の中から特にひどいものをピックアップし、
俺にちらちら見せた。「これがあんたの描いたのだって言ったら、みんなどう思うかな?」
その時、俺はこの絵と俺を結びつけることは非常に難しいだろう、とドヤ顔で言った。
「あんた、本当にバカなんだな。そんなことを証明する必要なんてないんだよ」
天龍は悪魔じみた顔で言う。

「私が、これがあんたが描いた絵だと言えば、それでみんな信じるに決まっている」

俺は天龍に服とバッグを買ってやった。
なんでこんなに高いのか。本当に女は嫌いだ。女は怖い。
俺はますます結婚から遠ざかっていった。



「きっと、あんた、結婚したらブログ更新しなくなるよ」

天龍はそう言い、酒を飲む。頬が赤くなっている。俺は目をそらす。
ユグとか七瀬とか、そういうのはあんたの寂しさが生んだ脳内彼女に過ぎない。
あんたのブログは脳内彼女を維持し続けるための装置に過ぎない。あるいは、
脳内彼女のためのブログがいつのまにか逆転して、ブログを書くための脳内彼女が必要に
なったのかな?まあ、あんただけじゃないんだよね。オタクのブログってそういう感じなんだよね。
だから、いつしか、終わりを迎えるんだよ。更新しなくなる。
脳内彼女が必要じゃなくなる。ブログを書く理由がなくなる。
なぜなら、悟りを開くか、結婚するかして、寂しくなくなって、それらが必要じゃなくなるからだ。

「俺はそう思うんだよなー」
天龍はそう言い、俺の脇腹を指で突く。俺は身体を捩らせて逃げるが、指はさらに突いて来る。
俺は天龍のそんな立派な御意見に反論しようとは思わない。
それは全くもって焦点がずれているような気がしているからだし、でもある意味真実でもあると
思っている気がしているからだった。俺は天龍を横目で見る。天龍のGカップの胸がセーター越しに
存在感をアピールする。俺は、はっと気付く。とても重大なことに気付く。というより思い出す。

昔の俺は、天龍を見て、『ユグドラシル』を脳内に作り出したのだ。

俺は子供の頃から天龍にいじめられてきた。そして、『女』というものを意識させられ続けていた。
『女』の裏側、汚いところ、きっついところ、可愛い顔の裏にある毒を見続けさせられていた。
だから、それゆえに、その逆位相のキャラクタ、ユグドラシルを脳内に作ったのではあるまいか。

『ユグドラシル』が生まれ、そこに誰をカップリングさせるか?
男キャラを配置するのは、なんか違うなという気がした。
『ああ女神様』のようになるか、『toLoveる』のようになるか、どちらにしても
なんか違うなという気がした。そこで、不機嫌な女キャラクタ『七瀬』が生まれた。
それはしっくりときたが、俺の非モテを加速する原因にもなり得た。
そこでは俺は去勢され続ける。2人の女キャラはそもそもの立脚点からして歪んでいる。
歪んで生まれた木は歪んで伸び続ける。奇妙な伸び方をする木をいつまでも育て続ける
奇人というのが俺の本当の姿だと言ってしまっても間違い無い。

この妄想群が、1晩で咲いて、1晩で終わったなら、何の不幸も不孝もない。
しかし、下手に継続し、ブログとして歴史を重ね、物語然してきたところに本当の不幸がある。
ここまでくると、辞めます、と言えなくなってくる。自分自身に言えなくなってくる。

それこそが不幸なのだ。
俺はもうユグドラシルという妄想に捕われている。取り憑かれている。
それこそが不幸なのだ。

天龍は虚ろな顔で酒を飲み続けている。
天龍は天龍で、いい年齢して独身である。食べ物とおしゃれと漫画が好きだ。
天龍の好きな漫画は俺と趣味が合わない。天龍は執事キャラが好きなのだ。
イケメンで何でも出来て喧嘩が強くて、でもスタイリッシュで、でも謙虚な執事が好きだ。
俺はそれを聞いたとき、冷や汗が出た。
俺がメイドキャラとして設定した『ユグドラシル』はその女版だったからだ。
そんな執事いねえよ妄想きついよ、と言う資格は俺には無い。
しかし天龍は俺に「そんなメイドいねえよ」と素直に言う。「そんな女いねえよ」と追加で言う。

暇なのか、天龍は俺をまた突き始める。
「いつブログ辞める? もう辞めるか? そうだ辞めちゃおう!」
なんでだよ。辞めないよ。ユグだ、七瀬だ、そういうのは近々辞めるかもしれないけど。
「ユグとかさ、どうでもいいよね。すーぱーそに子でいいじゃん」
何がいいのかわからない。代替としてか?
「漫画もさ、辞めよう。もうピーク過ぎたじゃん。すごいしょぼいピークだったけど」
それは認める。たぶん、ブログを始めて半年くらいが一番頑張ってた。
「もうそういうの辞めてさ、現実的に生きようよ」
お前が言うな、と俺は言う。お前はそんなことを言えるくらい現実的なのかよ。
「うるせえな。俺も現実的ではない。けど、その気になればいつだって」
一人称が『俺』とかどんな腐女子だよ。
「あんたさ、執事になれよ」
何言ってんだ。
「俺たちはそういう意味じゃ、どん底じゃないですか。お互い。何をまだ守ろうというのか」
何を言って。
「なあ」

天龍は俺の耳元に唇を近づける。

「俺とセックスしてみるか?」

何を。

「セックスしたら、俺たちは救われるんじゃないか?
 このループから脱出できるんじゃないか?」

天龍の手が俺の股間へ伸びてくる。柔らかな膨らみの輪郭を撫でる。
俺の身体の左側は天龍の体温と柔らかさでぱっつんぱっつんだった。
距離が近過ぎた。初めて知った。ゼロ距離だと心の壁は消えてなくなるのだ。

「部屋に行くぞ」

天龍は立ち上がり、コートとバッグを持ち、廊下に出て行く。
俺はふらふらしながら立ち上がり、天龍の甘さと熱さと得も言われぬ性的興奮の中、
天龍の背後を追う。

天龍は二階に上がり、俺の部屋に入る。鍵を閉める。

俺の本棚を見る。
俺の本棚には本が無い。漫画は全てiPadの中だった。
本棚の中にあるのはコンタクトレンズの洗浄液とmacBookAirとペンタブレットだけ。
机の上には財布と時計とiPhoneと3DSとノートとペン。床には布団。それだけの部屋だ。
「何にもないんだな」と天龍は言う。
「フィギュアとかエロ本とか、無いのか」
無い、と俺は言う。そういうのはブラウザの中でレビューサイトを見る程度が一番いいから。

「AVとか見るのか?」

見てないとは言えない。でも、どっちかといえば二次元がいいから。

「そうか。俺はAVみたいなセックスは駄目だから」

天龍は言い、布団に腰を下ろす。こっちへ来い、と手を振る。
俺は恐る恐る、天龍の前に座る。天龍は「キスしよう」と言う。
なんかもういきなり過ぎる。床の下からはまだ宴会の音が聞こえる。
「俺とお前の仲なんだから、雰囲気とかどうでもよくね?」
と言う。いやいや、そんな仲だったか?

ゆっくりと唇が近づいていく。そして、あっさりとキスしてしまう。
天龍と唇は柔らかい。一端離し、再びキスし、舌を入れる。絡ませ始める。
天龍は柔らかい。恐ろしいほど柔らかい。真綿の抱き枕みたいだ。
そして思っていた以上に華奢で小さい。天龍を布団にゆっくりと押し倒す。
キスを続ける。ちぱ、ちぱ、と粘着質な音がする。

天龍の身体をなぞる。輪郭をなぞる。俺は天龍を抱いている。夢中である。
でも、どこか醒めているようではある。耳元で、可愛いな、と言うとびくっとする。
天龍の手が俺の下半身をこしこしとさする。「かっこいいよ」、と天龍は言う。
しらじらしい気持ちになる。「そういうこと。ばかばかしいから言うな」と天龍は言う。
「これ、気持ちいい? とかも言うなよ? そんなこと、どっちでもいいじゃん?」

天龍の服を脱がしていく。天龍は最後、素直にばんざーいという感じで手を天に伸ばす。
そこにエロさというのものは、あんまりない。俺もまたばんざーいという感じで脱がされる。
天龍の裸は生々しい。おっぱいは確かに大きく形もいい。撫でたりさすったりするとそれに
応じてふにゅんふにゅんと形を変える。「幻想だよねえ」と天龍はにやにやする。
「ただ柔らかいだけなのに」 俺は舌を這わせる。乳首をちろちろちぱちぱする。
まあ、ふーん、なんか、そうか、みたいな感じではある。天龍が冷めてる感じなのが気になる。
「AVの真似すんなって言ったじゃん。そんなことされてもあんまり気持ちよくねーし」
じゃあ、という感じで天龍の下の方を舐めていく。「えっ」と天龍が言う。
「そんなことしちゃうの?」と言う。してみたいし、と言うと、「AVの見過ぎだろ」と言う。

「そんなとこ、汚いよ?」

なんか、正直、AVを見過ぎなのは天龍の方だと思う。でも、正直、汚かったので萎える。
しおしおである。セックスってなんなんだろう、と思う。今更だけれど、エロ漫画やエロ小説、
エロ物語というのは嘘だらけだと思う。演出過剰なグルメ漫画みたいなものだと思う。
このラーメンは死ぬほど美味い、と泣くキャラは存在する。そのように描けるからである。
現実感がなかろうと、嘘の要素しかなかろうと、そのように描けてしまうから存在する。

「俺、フェラとかしないから。汚いんで」と天龍は言う。「ちょい待ち」と天龍は枕元の
バックからコンドームを出す。俺は天龍のおっぱいをぷよぷよして遊ぶが、なんか、全然
エロに繋がらない。全然エロくない。天龍の女の身体。女の身体を前にしてそこにエロさを
感じない。不思議なものである。長年待ち望んだ女体ではないか。しかし、そこにあるのは、
本当の女体なのに魔法が解けてしまったみたいに、全然エロさがない。
「童貞はだいたいこんな感じなのである」と天龍は言う。「ここを乗り越えられるかどうかが
大切なことだからな。よくインターネットとかでやっぱりセックスよりオナニーがいいとか
言ってる奴はここで挫折した奴だから」

天龍は「キスして」と言い、目を閉じる。
どきりとする。また初めに戻り、キスから始める。なんだかんだで、キスが一番気持ちいいなと思う。
キスをしながら、天龍がこきこきする。硬くなってくる。「これが俺の得意技なのである」
なんかなあ。なんなんだろうなあ。なんか天龍さんの語尾、萎えるなあ。
コンドームのアルミ袋を切り、うすピンク色の輪っかを先端に乗せ、そのまますっぽりと装着させる。
「ゴム、初めて?」
初めて。「どういう感想? ゴムついてるーって感じ?」
ついてるーっと感じ。「大人になった感じ?」いや、そういう感じは別にないけど。
「でもさ、これからセックスする、セックス専用のそれって感じで、えっちだよ」
そうなのか。「何萎えてんの。ああもう、お前はすぐ萎えるな。もっと鍛えなさい」
なんか、本当、セックスって幻想だよね。

天龍が「ここ、ここね」と言い、俺はそこに挿入する。ものすごい射精感に襲われる。
初めての射精、いわゆる精通を思い起こさせる。なんともいえないむずむすした感じ。
本当、正直、これは無理ゲーだろ、と思う。余裕なんて全然ないだろこれ。そもそも、
これはAVみたいにやるのは難しいだろ、とも思う。射精は心の問題ではなく、ハードウェアの問題だ。
本当にすぐに射精しそうになり、俺は引き抜く。えっていう感じで天龍が俺を見る。
「どうした?」
射精しそうだったので抜きました。
「まだ何もしてないんだけど」
何もしてなくても、射精はしそうになるんだよ。
「あ、萎えてきた。俺の心も萎えてきた」
これ、つらくね? 無理ゲーじゃね?
「じゃ、練習から始めるか。挿入なしで、AVみたいに腰を動かす練習」

結局AVを手本にしてるじゃねーか!

リアリティーが物語を救うとは限らない。でも俺たちは実際問題リアルに生きているのだし、
絵に描いたご飯は食べられない。これが正常位、これが後背位、これが対面座位、と
天龍と練習する。そこにエロはあるかといえば、ない。必死である。ただ、嘘をつくことはできる。
『爆乳の天龍とやりまくった。気持ち良過ぎた。マジで』
ウェーイ、とビール片手にポーズを取ることはできる。でも、そんなのは嘘だ。嘘過ぎる。

「練習。何事も練習だよね。毎日練習スレッドのごとく」
何が毎日練習スレッドだよ。俺の過去をネタにすんな。俺は天龍の尻を掴んで腰を振る。
なんとなくだいたいわかった。そして、ちょっと萎えるとコンドームがズレて抜けそうになる
こともわかった。もう本当、これ、無理ゲーだと思う。
「あ、やべ。もう2時間も経ってる。よし、そろそろ射精して終わりにするか」
まるで天龍が射精するかのようなそんな言い方。

「仰向けに寝なさい」
で、天龍が上にまたがり、「これが騎乗位なのである」と言う。
「これが俺、好きなんだよね。お前は動かなくていいから。男が下手に動くと
 ゴムが外れることがあるので」
邪魔だよなあ。コンドームって。「いいか? ちゃんと射精しそうになったら言えよ?」
なんでだよ。「なんでって、大事なことじゃん。そういうのって大事な瞬間なんだよ」

天龍は動き始める。なんだかんだでやっぱり気持ちいい。ソリッドな感じで射精欲が高まる。
「いい? もう、俺たちは肉体関係を持ったから。これはもう、付き合うってことだから」
天龍は囁くように言う。
「結婚を、前提に、付き合うってことだから。結婚するんだ。本気で、結婚しよう」
天龍の目が座っている。妖しく、はるか遠くを見つめるような目だ。
「あの宴会場にいるあいつらのためじゃない。俺たちのためだ。
 もう、ここで幻想を終わりにしよう。いつまでも子供でいることは幸福ではない」
射精する予感がした。俺は出ると言う。天龍はすっと、腰を上げ、ゴムをぱちんと外し、
そのまま生で再び挿入する。快楽が5割増しになり、もう完璧に射精モードに入ってしまう。

「俺らは、今から、大人になるんだ」

天龍の身体の中に、どくどくと射精する。俺をきゅうきゅうと締め付ける天龍は俯いていて
その表情が俺には何も見えなかった。



その後、どうなったのか。
俺と天龍はその日から付き合い始めた。
天龍は本当にひどい女で俺の生活は完全に乱された。
朝昼晩とメールが来て返信を強く要求された。もっと女心を察しろ、と俺を罵り続けた。
ブログを書いている暇など無く、本を読む暇すら無い。天龍以外のことを考えている暇がない。
休日は常に同行させられた。カップルでないと行きづらい場所というものが星の数ほどあると言って、
今までの遺恨を晴らすがごとく外出させられまくった。支出がひどく増えた。貯金できない月が
重なった。近隣のラブホを制覇したいという欲望もあるらしかった。結論としては、値段相応。
安いところはやっぱり安っぽいし不潔であり、高いところはそれなりである、とのことだ。
どうでもいい。凄くどうでもいい。
天龍は俺に「女心をもっと察しろ。男子力を付けろ」とそれだけを言い続けた。
わかったわかった。もう本当わかったから。

結婚式はあっさりとしたものだった。そして天龍は女の子を出産する。家を建てる。
普通である。何か変わったことがあるだろうか? 少なくとも忙しくなった。
子供がいると本当、何もできない。ブログとか本当、書けない。絵も描けない。
父親としてふさわしい物語を模索するようになる。天龍が男の子を出産する。
ますます忙しくなる。てんやわんやである。引き裂かれるような忙しさだ。
アイデンティティーとは何か。自分とは何か。それは足し算ではなく、引き算的なもの
なのかもしれなかった。アホみたいに忙しい生活の中で、正直なんにも出来ない中で、
その中で手探りのようにして捕まえた自分の輪郭が自分自身なのかもしれなかった。
そしてそれが俺の人生の形というものなのかもしれなかった。

●●●

「——と、いう物語を正月にアップするようなブログはどうだろうか」

長過ぎる髪の毛がリアルで貞子っぽい那由他姉がコタツの中で言う。
私とユグは本当、引く。ドン引きです。私はユグの脇腹を突く。
ユグ、言っちゃえよ。

「ドン引きです」

とユグは言い、那由他姉にコタツの中で蹴られる。

「なんで引くんだよ。流行に乗ってるじゃん。艦コレブームに乗ってるじゃん」
「全然艦コレ要素がないよ!名前だけじゃねーか!」
「これほど天龍というキャラの本質を突いた物語は無いと思ってるんだけど」
「突いてるとしても、伝わらないよ!」
「うるせえよ!」

那由他姉は私を蹴り、ユグも追加で蹴る。

「この腐れ処女共が!」
「その罵り方はないだろう。属性は認めるけど」
「私は処女じゃありませんし」
「え。ユグは処女じゃないの? 腐れメンヘラサブカル腐れビッチメイドなの?」
「腐れってのはちょっと同意しかねます」
「じゃあメンヘラサブカルビッチ性処理メイドか」
「なんなんだこの自由な発言は。許されるのか、こんなの」
「なんだその目は。私が一番誰よりもこの世界のことを真面目に真摯に考えているというのに」
「いえ、何か、新しいことをやろうとしているということはわかりましたが」
「この世界は妄想に過ぎない」
「うわあ。そういうの本当もう辞めて那由他姉。そういうの、90年代に終わったから」
「90年代に生まれたメタフィクションで妄想から脱出を試みた。
 しかし、結局は自意識と社会性の壁に跳ね返されてしまった。
 そして00年代の日常系の物語は自ら檻の中に閉じこもることを選んだのだ」
「そうですね」
「結果どうなったか。衰弱したんだよね。そらそうだ。おっさんが布団の中で
 もぞもぞとしながら浮かんだ発想を枕元のネタ帳に書いて、また布団の中で
 もぞもぞして。どんどん繰り返される自己模倣。蟻地獄のように収束に向かって
 いく物語。性的な記号だけをトリガーにしているから、ジェンダー依存化していき、
 成長を拒むから同性愛化していき、女しかでなくなったり男しかでなくなったりする。
 それが一夜の妄想で終わるならまだしも、10年と続けば立派な廃人の出来上がりですよ」
「そうですか」
「そうですかじゃねーよ!」

那由他姉は私を蹴り、ユグも追加で蹴る。

「いつまで続ける気だ。成長しようとは思わないのか。変わろうとは思わないのか」
「思ってますよ。ただその方向性が定まってないだけで」
「はっきり言ってやろう。もう、あんたの道はこの先ないよ」
「そうかなあ?」
「何? このままだらだらと駄文と駄絵を書き続けて?
 我慢大会みたいにかろうじてブログを更新して?
 10年、20年、30年、そこで得られるものは何?
 敵1を作ってやっつけて。敵2を作ってやっつけて。
 幼稚園児のおもちゃを飽きずに遊んで、年老いてもずっと
 それで遊んで? 幸せかねえ。そんなの」
「ちょっと那由他姉は論点がおかしいよね。ブログってのはテレビゲームみたいな
 シーケンシャルなゲームじゃないからね。私にとって文章を書くというのは単純な
 作業じゃないから。物事を考えるということだから。たまたまそれがブログに載ってるだけで、
 物事を考えるということ自体は死ぬまで続くことでしょう?」
「いやいや。何を考えるのか、ということが大事なわけ。あんたみたいにホモホモ考えてるのは
 おかしいよね、未来がないよね、ということが言いたい」
「ホモホモ考えてないけど。ほむほむのことは考えてるけど」
「ほむほむだなんて初めて聞きました」
「同じことだよね。どっちにしてもオタクなんでしょ」
「ああ。オタク批判に繋げたいのか」
「私たち、オタクじゃないですよねえ」
「え? 何? メンヘラサブカル腐れビッチ性処理さんがなんか言った?」

ユグは立ち上がる。ユグの表情がすごく暗いので那由他姉がビビる。
ユグが那由他姉の隣に座る。那由他姉はごめんごめんと頭を下げる。
ユグ、那由他姉を押し倒す。「なんで私がメンヘラなんですか?」「ごめん」
「サブカルとかなんでなんですか?」「ごめん、言い過ぎました」「ビッチってなんでですか?」
「ごめんなさい」「性処理って?」「ご、ごめ」「那由他さま?」「ご」「いじめますよ?」
「ごめ」「手足もいで、箱入り娘にしますよ?」「」「下品なこと言わないでください」「はい」

ユグはそのまま立ち上がり、部屋を出て行った。
那由他姉は「何、本当、怖ぇーよ。あの女なんなの」と言う。そう、ユグは怒ると怖い。
「正月気分が全てなくなりました」と那由他姉は言う。「自業自得だろ」と私は言い、
「ユグは心の余裕がないのか」と那由他姉は言う。こいつはこいつで変な奴だと私は思う。

「那由他姉の結論は何なのかね?」
白けた空気をごまかすように私は問う。
「私の結論は単純で、あんたらは新しいことをするべきではないか、と言いたい」
「例えば?」
「もっと現実的なことをしたらどうか」
「例えば?」
「世界のことを知ろうとしたり、女子力を上げたりしたらどうか」
「ふむ。一理ある。その成果をブログにしたらどうかと言いたいのだな?」
「そうそう。要はね、あんたらはひきこもりなんだよ。もっと世界を知ったらどう?
 もっと女子力を上げたらどう? 婚活したらどう? と言いたい」
「うーん。で、そうするとどうなる?」
「人間として良い方向にいくんじゃない?」
「……那由他姉って、あっさりしてるよねえ」
「よく言われます」
「女子力高いよねえ」
「まあ、よく言われます」
「……ユグに謝りに行った方がいいんでは」
「まあ、気まずい感じはしてます」
「気まずい関係性が固定化する前に、謝っておいたほうがいいのでは」
「なんて言うよ? 結構、本当のこと言ってなかった? 私」
「本当のことを言えばいいという話ではないだろう。結果として傷つけちゃったわけだし」
「ネタだったんだけどなあ」

那由他姉はため息をつきながら立ち上がり、部屋を出て行く。

私は一人取り残される。コタツの中に潜り込む。ぬくぬくである。
これから、私は何をするべきなんだろう? 目をつぶって考える。
世界を知る? ニュースを良く読んで、世界情勢に詳しくなる?
もっと地域社会に目を向ける? 近所のカフェや食べ物屋に詳しくなって?
おしゃれをするようになって? 彼氏を見つけて? 結婚して? 子供が出来て?
私がおばさんになっても? そのとき、ユグは? そんな日常を書くのがブログなのか?
もちろんそれでもいい。私は生きる。その過程で考えたことを文章にしてブログを書く。
それは詩でも小説でも論文でもない。
もしかしたらそれは全て嘘で、どっかのおっさんの妄想かもしれない。
那由他姉のプロットのような、独身男性の寂しさが生んだ妄想かもしれない。

アイボリーの絨毯。天井は梁構造が見えるような造り。コタツの温もり。
2014年の1月2日。実存。実存はここにある。私はここにいて、何かを考える。
男性が女性に抱く幻想か。私は自分の身体を撫でる。黒タイツを履いた脚を撫でる。
太ももとを撫でる。そのまま、大事なところを撫でる。ユグは私の太ももが好きだ。
暇さえあれば触っている。ユグがそれで喜ぶなら私はそれでいい。私は拒まない。
そのうち、大事なところもユグは撫で始める。まあ、好きにしたらいい。
私は胸を撫でる。微かに乳房の膨らみがある。でも、別に特別な感じではない。
ふくらはぎの方がやわらかくてたわわである。男性にだってふくらはぎはある。
おっぱいのつもりでふくらはぎを触ったらどうかと提案したい。触感以外のことに
重要なことがあるのなら意味が無いが。
幻想は幻想のままで、それを承知で全てが動いている可能性はある。
金を基本とした資本主義が、『金』には絶対的な価値があるという幻想を元に成立しているみたいに。
小説、漫画、そういうものは全て無意味で幻想で、でもそれを承知で全てが動いているのでは。
もちろん、それでいい。ブログだって全て無意味で幻想で、でもそれを承知で私は書いている。

だから、少しでも良い方向へ進むようにしたほうがよい、と那由他姉は言う。
それはそれで正しい。暴力的で退廃的な物語をわざわざ書くべきではない。
同じ時間を使うなら、健康的で明るいことをしたほうがいい。
ユグと喧嘩する必要は無い。ユグといちゃいちゃしていたほうが良い。
そして、もっと更に意義深いことがあるなら、それをやったほうがいい、と那由他姉は言った。
正論ではある。でも、どうなのか。普通の、さらに普通の、もっと普通のその先に何があるか。
それは究極の普通の生活だ。で、今の私はじゃあなんだ、全然普通ではないというのか?

私は私のことが普通以外の何者でもないと思う。
普通じゃないところがない。普通より劣っているところは多々あるが、それを含めても普通の
範囲を出ないのではないか。とりあえず、レベルアップ後のポイント振り分けは妄想力に全振り
している。でも特別なことでもあるまい。
試しに妄想の触手を伸ばす。それは髪の毛より細い透明なチューブであり、ユグと那由他姉の
姿を追い掛ける。階段を下り、台所に行く。そこにはいない。反転し、ユグの部屋へ向かう。
ユグの部屋のドアの隙間を抜ける。そこでは那由他姉とユグが交わっている。
ユグはなんだかんだで人の上に立ちたい。誰かがユグの上に立とうとすると不機嫌になる。
那由他姉はごめんごめんと言うが、ユグにとって、その言葉に意味はない。
ユグが欲しいのは那由他姉が今後ユグの上に立たないという確証である。
もう二度と逆らいません。それを言葉ではなく身体で表明してもらいたい。
ということで、那由他姉はユグのおもちゃになっている。怒ったユグは怖い。
本当、ユグってメンヘラサブカルガチレズサイコビッチメイドだよね、と私は思う。
あれ? これ、なんか語呂がいい感じ。

結論は何だ。そうだ。
2014年の抱負を決めよう。

(1)健康第一
(2)よく考える
(3)人間力を上げる

そんな抱負でいいのか。
でも、これ、なかなか難しいことですよ。
だから、いいんだ。じゃあ、そういうことで。

あなたも魔法が使えるんです。 2013年09月15日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

IMG_7553.jpg



私の初音ミクさんは電気屋さんが好きだ。
楽器屋さんよりも電気屋さんが好きだ。

休日になり、9時半を過ぎると初音さんはそわそわし始める。
今日は行かないのですか? と聞いてくる。
私は苦笑いをして、言う。
正直に、連れて行って、と言ったらどう?

連れて行ってください、と初音さんは頬を赤くして頭を下げる。
緑色のツインテールがだらりと垂れ下がる。
まるで土下座みたいだ、と私は思う。



どんな家にだってCDラジカセが1台はある。
もしかしたら、もっと高級なオーディオ設備がある家だってある。
だけれど初音さんはまだそこまで普及していない。
値段も値段だし、歌うことと演奏以外はほとんど出来ないandroidなんて
贅沢品にもほどがあるからだ。

逆に、私はその専門性に惹かれて初音さんを買った。
家事なら自分で出来るし、秘書も必要ない。
そんなことより、MIDIでもMP3でもない、生の音楽が日常に欲しかったのだ。



初音さんは車を降りるとダーっと店内に走り込んでいく。
電気屋さんの店員、メーカーヘルパーさんとハイタッチしながら奥へと進んでいく。
ほぼ毎週通っているので顔見知りどころか、みんなのアイドルになっている。
こういうことは少女素体の初音さんだからこそ出来る芸当だ。

初音さんの向かうところは電子楽器コーナーだ。
電子ピアノ、電子キーボード。電気屋さんだから、そんなに値段は高くない。
電子楽器コーナー担当の吉村さんが商品をウェスで拭いている。

ミクちゃん、今日もよろしくね。

吉村さんはそう言い、私に目配せをする。私こそ、なんだか申し訳ない気持ちになる。
売り物を、これから初音さんはいじり回すのだから。



初音さん、これ、2013年モデルの新機種だよ。

YAMAHAの技術営業さんが箱から出したばかりの新品を初音さんに見せる。
おおー、と初音さんは言い、色んなボタンをいじり始める。
音源チップが新しくなって更に音像感が増したし、プリセット波形のパターン数も増やしたよ。
アナログシンセのエミュレータを今回内蔵したし、マニアックなエディタまで付けたのだ。
だけれど、そんなプロユースな機能はなかなか伝わらない。普通の人はいじらないし、
使い方もわからないし、だいたい、どんな効果があるのかもわからない。
だから、初音さん、是非こいつの凄さをみんなに教えてやってくれ。

初音さんはこくりとうなずき、鍵盤に指を置く。
そして、ついに音が鳴り始める。

ワンフレーズの軽快なアルペジオ。それを繰り返しながら、色々と設定を変えていく。
音色を変え、ピッチを変え、ディレイを入れ、フィルタを付けたり外したり、
ただそれだけで既に音楽になっている。同じフレーズが延々と流れているだけなのに、
もはやそれだけで楽しい。気持ちいい。初音さんの軽快で清々しい瑞々しい感情が実体化して
店内に鳴り響く。他のお客さんたちが何ごとかと集まって来る。プリセットのリズム音源が
同期する。YAMAHAさんがいつの間にか高級オーディオアンプに外部出力を繋いでいる。
ミキサーが切り替えられ、突然、音像が立体的に立ち上がる。誰もが声を失う。

本当の音楽が鳴り響く。
本物の音楽が鳴り響く。

音楽の意味というものを、音楽の本当の楽しさというものを、その深淵を、
初音さんは即興で易々とまるで呼吸するのと同じくらいさらりと表現してみせる。
音の波、色々な音色の形、フィルタが波形を変形させる様子、ソリッドで生音そのもののような
リズム音源、それらが重なり、飛び跳ね、プリミティブな快感を生み出していく。

お客さんたち、暇な店員さんたちが集まってきて、ちょっとした野外ライブのような景観になる。
初音さんはそれをいたずらっ子のような細目で見て、フレーズを転調させる。
そして分散和音に2つの音が追加されて、誰もが聞いたことのあるメロディーになる。
それは初音ミクの歌だ。誰もが知っている超人気曲。
その鮮やかな展開に私の背筋がぞっと泡立った。

吉村さんがいつのまにか初音さんにヘッドセットを付けている。
リズム音源の音圧レベルが上がり、CDで良く聞いていたアレンジそのものになる。
初音さんが歌い始め、盛り上がりはピークを迎える。



残響音。

初音さんは丁寧に繊細にボリュームを絞っていき、演奏を終える。
割れんばかりの拍手が店内に充満し、ノリのいいお客さんや店員さんが
初音さんとハイタッチする。気難しそうな店長までもが破顔してがっちり握手する。
評論家気取りで腕組みをしてじっと聞いていたおっさんまでもが、顔を真っ赤にして感動している。
子供たちがわーっと初音さんの元に集まってきて、めちゃくちゃに鍵盤を叩き始める。
それはもちろんめちゃくちゃな音であり、不協和音だ。でも子供たちは楽しそうに鍵盤を叩き続ける。
幼くして本物の音楽に触れたからには、彼・彼女たちはもう戻れない。
音楽という魔力に魅せられてしまったからには、もう悪魔にとり付かれたかのように、
本物の音楽を求め続けるようになるのだ。

そして、それは意外と、こうやってめちゃくちゃに鍵盤を叩くところから始めるのがいいのだ。

子供たちと一緒に、初音さんはまた音楽を鳴らし始める。
ジブリの曲、今流行のアニメの曲、映画の曲、懐かしの歌謡曲。
私たちはうっとりと聴き続ける。人の入れ替わりはあるものの、依然として多くの人が
この普段なら人気のない一角に集まっている。

YAMAHAの人がストリングス音源で重厚な和音を鳴らす。
それは誰もが知っているジョン・ウィリアムズの曲のイントロで、
映画ジュラシックパークのテーマ曲だ。初音さんはそれを奇麗に拾って二人で
オーケストラを奏で始める。電子キーボードでここまでの音が出せるのか、と感心する。
生演奏独特の揺らぎを、細やかなタッチで再現する。わざとピッチを外し気味にしたりする。

また、ゲインを上げて歪ませたエレキギターの音も鳴らしてみせる。
ただ、これは外部出力にギター用のエフェクタを噛ませており、ちょっと反則である。
反則だが、電子キーボードなのにぶっといギターの音を出すことに成功している。
悪ノリなのか、なんなのか、rage against the machineやらthee michelle gun elephantやらを
初音さんはコピーしてみせる。ただ、拍子抜けするくらい可愛いボーカルなので違和感はある。

最後になぜかモンスターハンターのテーマ曲と逆転裁判のメドレーを上手く繋いで終わる。
これは私の趣味であるのだが、なんだか気恥ずかしく、赤面してしまう。



初めから終わりまで、時間としては90分くらい。
初音さんは大満足の表情で車に乗り込む。コンコンと窓を叩く人がおり、
それは店長と吉村さんとYAMAHAさんだった。

また来週もいらしてください、と店長は言う。
おかげさまで日本で一番、楽器が売れてる店舗になりました。

こちらこそ、店内を騒がせてしまってすいません、と私は言う。
どんどんやってください、毎日でもいいです、と吉村さんは言う。
これ次期モデルのモニター機だから、とYAMAHAさんはお弁当箱のような機械を初音さんに渡す。



喫茶店。

私は初音さんと珈琲を飲む。

初音さんの音楽はまるで魔法だね、と言う。
私の音楽、じゃなくて、音楽自体が魔法なんだと思います、と初音さんは言う。

音楽には無限の可能性があるんです、と初音さんは言う。

私は黙って珈琲を飲む。

みんながそのことに気付けばいいのにって思います。

そうすれば、この世界の可能性が無限だってことに気付けるのですから。

初音さんは、さっきもらったモニター機の表面を撫でる。

あなただって、音楽は出来るんですよ?
もし、あなたが、本気で、願い、思い続けるなら、
あなたも魔法が使えるんです。

初音ミクさんはそう言い、ニコッと笑ってみせる。

あなたは、やっぱり、十六夜咲夜さんだったんだね? 2013年09月08日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

インターネット依存症、ジェンダー崩壊、緊急入院→5年間の閉鎖病棟で見たもの

ブログの更新が止まってから早5年。

やっと私はこうやって文章を書ける程度にまで回復しました。
久しぶりに文字を書くので、色々とたどたどしいかもしれませんが、
リハビリの一環なのでご了承ください。

2013年の時点で、私の病気はかなり進行しておりました。
病気というのは『インターネット依存症』というものです。
なんだ、そんな程度の病気か、と思われるかもしれませんが、まあ、
実際なかなか大変なものです。
『薬物依存症』『アルコール依存症』『ニコチン依存症』『買い物依存症』
と依存症にも色々あります。人間というものは、まるで蟻地獄に落ちていくようにして、
何かに依存してしまうという心の構造があるようです。

『インターネット依存症』は、『テレビ依存症』と『ゲーム依存症』と同じカテゴリーであり、
”平面パネルを見続ける”という外観上の性質から『2D-ADDICT』と呼ばれます。
そのため、今後は『2DAD』と略して記述します。

『2DAD』の病状について簡単に書きますと、
(1)社会的生活が破綻するレベルまで平面パネルを見続ける。
(2)平面パネルを見続けないと禁断症状(不安、動悸、倦怠感)が出る。
(3)基本的に生きる気力が無い。思考力の低下。コミュニケーション能力の低下。
などがあります。
基本的にメディアで報道されているものと変わりません。
2013年に全盛を極めた『スマートフォン』の影響もあり、症状の軽い重いはあるにせよ、
誰もが『2DAD』に片足を突っ込んだことはあるのではないでしょうか。

ここから私個人の話になります。
当時、私は典型的なネット大好き人間でした。
朝、目が覚めると、iPhoneで新着RSSを確認し、新着はてなブックマークを確認し、
twitter、facebook、LINE、3DSのいつの間にか交換日記……と情報を浴び、
会社から帰ればまた寝るまでSNS、ゲームと情報を浴びていました。
2013年当時、その程度のことは普通だったかもしれません。
艦隊コレクションというブラウザゲームにもハマりましたし、
モンスターハンター4にもハマりましたし、とにかく四六時中、
平面パネルを見ていたわけです。

それはある意味、普通の『2DAD』でした。
しかし、これが普通だと思ってしまうのは、おそろしいものです。
”タバコを毎日何箱も吸う”という異常も、日常になれば普通なのです。
主観的な”普通”は何の判断基準にもならないのです。

さて、そのようにして、2013年的な情報社会の中に生きていましたが、
どうも身体が不調を感じ始めたのもその頃です。
私はブログを運営していましたが、その内容である文章と絵、それが書けなくなってきました。
パソコンを前にしても、紙を前にしても、何も描けないのです。
書くのが面倒、という気がしました。何を書いても下手だし、意味が無い、時間の無駄、
という感じもしました。何かに理由をつけて、ブログを更新しなくなりました。
アウトプットをするより、インプットの方が楽で気持ちいいし効率的だと思いました。
いつもゴロゴロして、平面パネルを指で撫でていました。

『2DAD』が深刻になる理由はいくつかありますが、
その中の一つに、エロ情報があると思います。
孤独感、自己承認欲、社会との断絶感、色々と解釈はありますが、
無料で簡単かつ大量にエロ情報が入って来るというインターネットの特性から、
エロ情報依存になりやすい側面が『2DAD』にはあります。
2013年ころはまだ著作権侵害の厳罰化が始まってませんでしたので、なおのことです。

エロ情報を浴び続けるとどうなるか。
基本的には飽きます。しかし、飽きても、やはりエロ情報を浴びます。
すると、ニッチな方向へ進んだり、ハードな方向に進んだり、ソフトな方向へ進んだり、
循環したり、色々と右往左往あるわけですけれど、最終的には飽きます。
そこで『身体性』が足りない、というところに気付きます。
要は、平面パネルを見ている、そういう視覚情報だけでは満足できないということです。
では、現実としての行為を求める、という方向を検討する訳ですが、
例えば『彼女を作る』『風俗に行く』ということになると、一気に難易度が上がる訳です。
そこは出来ない。コストが掛かるし、面倒だし、怖いし、出来ない。
挫折し、座屈し、心が歪み、しかし、再びエロ情報を浴びる度に、『身体性』の不足に
さい悩まされます。

その問題はどのように解決されるか?
結論から言えば、私の場合は、CJDでした。
CJDとは『コスプレ女装男子』の略です。
もの凄い斜め上の論理的な飛躍があるように見えるかもしれませんが、
私の性質とCJDはぴったりと一致したのでした。

もともと私は絵を描くとき、文章を書くとき、女性性を非常に意識していました。
というより、女性の存在が創作欲をドライブさせていました。
例えば、メイドさんという存在を書くとき、自分はメイドさんになっていました。
メイドさんに奉仕される男、という存在にも自己投影しましたが、それ以上にメイドさんに
自己投影していました。それはある意味、混乱をもたらします。自分はどっちなのか。
もちろん、どっちでもあるのです。創作された世界における自分というのは、メタな存在であり、
細部のすみずみまでが自分であるからです。
ミステリー小説において、作者は探偵であり、犯人であり、被害者でもあるのです。
しかしながら、気持ち良さでいえば、女性に自己投影したときが一番なのです。

そういう目で他人の創作をみると、創作に携わる人のジェンダー(性別)というのは
曖昧なものです。かっこいい男を主人公にした物語を書く男性作家は、
『こういう男になりたい』あるいは『こういう男になったとき、こんなに気持ちよい』と
思っているに違いなく、かわいい女を描く男性作家は
『こんなかわいい女がいたらいいな』と思うより、『こんなかわいい女になったら、
こんなに気持ちいい』と思っているに違いないのです。

話が少し逸れました。
私はあるとき、コスプレの衣装を通販で買いました。
それは東方の十六夜咲夜の衣装でした。
実物のメイド服が部屋にあったらエロいかな、絵の資料になるかな、と
思って買ったのでした。いざ届いてみると、「普通に、服だわ」と思いました。
当たり前のことですが、布でした。布が組み合わさって服になっています。
まあ、こんなものか、と思うところもありました。フェチを感じるところもありましたが、
実際に部屋においてみると、それはただの服だという感じなのです。
触っても布。飾っても布。なるほど。という感じなのです。正直、もの足りない。
中身がないから、と思いましたが、中身など望みようがありません。
例えば彼女がいて、十六夜咲夜に理解がある彼女であったとしても、やはりそれは
彼女であって、十六夜咲夜ではないのです。

と、ふと、自分が着てみたらどうか、と思い立ちました。
私は自分で言うのもなんですが、痩せ型で、女性的な身体をしています。
似合うのではないか。ウィッグも付けてみたらどうか。パッドも入れてみたらどうか。
思い立ったら吉日ということで、十六夜咲夜になってみました。

そしたら、私は、十六夜咲夜だ。
と思いました。十六夜咲夜になるために、生きてきたんだ、と思いました。

頭の後ろ側が興奮のあまり真空状態になり、真っ白にツーンと痺れました。
そこから、全身に電気が走りました。それはずっと続きました。やばいと思いました。
脳みそがトロトロと溶け出し、手が震え始めました。そこで私はわかったのでした。
これが答えだったのか。

はじめまして。十六夜咲夜です。

私はそこから、さらに完璧な十六夜咲夜を目指しました。
どこからどう見ても十六夜咲夜になろうとしました。そして、それは叶ったのです。
コスプレ掲示板でブログで自分の写真を載せ、男たちを完全に騙せるということを確信しました。

ここで、私はエロ情報を『身体性』とリンクさせることができました。
しかし、もっと、深くリンクしたい。そういう願望も出てきました。

この時点でジェンダーは崩壊していました。
私は私の身体をおかずにして性欲を満たす男たちに感情移入し、欲情していました。
彼らから送金される電子マネーがまた私の感情を揺さぶりました。
そのうち、私は現実に彼らの前に現れ、行為をするようになりました。

男同士なんて気持ち悪い。

わかります。熊のような男たちが行為している姿は、確かに気持ち悪いかもしれません。
また、いくら女のような男であったとしても、やっぱり男は男であり、気持ち悪い、
そういうのもわかります。
誰しも抵抗があるものです。
しかし、現実は、抵抗の中、進行していきます。
不思議なことに、なんの嫌悪感も無く、むしろ恋焦がれて望んだ行為であるかのように、
普通に、やすやすと一線を超えました。まるでエロ絵を描くのと同じくらい、簡単に、
男性の欲望を自分の『身体性』をもって満たしていったのです。

——ずっと昔からお前はこうなりかったんだろ? このドM変態咲夜!

頭がおかしくなりそうなくらい、脳内麻薬が出続けました。
行為し、行為され、撮影され、言葉責めされ、電子マネーを頂き、ちやほやされ、
私は今までの日常を完璧に逸脱していきました。
常に夢の中にいるようで、ふわふわとした感覚で、でも『身体性』は完璧に満たされていました。

コミケで売り子をし、どこかで噂を聞きつけたのか、電子マネーで抜き行為を依頼する人もいて、
なかには5、6人に拉致されて無理矢理犯罪行為されたりしましたが、被害届は出しませんでした。
静かに狂っている。精液を飲み干しながら、そう思いましたが、嫌悪感はありませんでした。
男でも女でもどっちでもいい?
十六夜咲夜というのは世の中にいっぱいいるものです。そして、類は類を呼ぶのです。
男の十六夜咲夜。女の十六夜咲夜。狂っている。男も女も狂っている。
しかし、その狂気の中にしか『身体性』はない、本当の自分はない、そう感じました。
コミケで十六夜咲夜本を書いている人たちの前に私が立つと、誰もがビクっとします。



こんにちわ、十六夜咲夜です。

……あ、あの、良く似合いますね。まるで、本物みたいですね……

あなたの本が欲しいのだけれど、お金がないので、……これで、どうですか?

私は親指と人差し指で輪を作り、小さく上下に降ってみせる。
いやいや、ご冗談を、と愛想笑いする人が大半だ。でも、そんな人の手を持って、
シリコンパッドで作った本物と同じ感触の胸をそっと触らせると、目を丸くし、
観念したかのように、しかし、獣性を帯びた目で立ち上がる。
私が女なのか、男なのか、それはわからないはずだ。
わからないように出来ている。どちらでもいいのだと思う。私は十六夜咲夜なのだ。
記号としての十六夜咲夜。東方という文脈から一人歩きして、現実に降り立つ。

どういう意味なのか。トイレの個室で男はそう思う。しかし、咲夜さんに手でしごかれ、
便器に向かって白濁した精を射出して、快楽で腰くだけになり、膝が笑い出す。
それを後ろから支えられ、身体を愛撫される。コミケの喧噪。意識が飛びそうになる。
幻想郷を思い、幻想郷を描く。よくある文脈の一つとして男は東方のエロ漫画を描き、販売する。
そして現れたのは十六夜咲夜のコスプレをしている人間で、その人間に手でされる。
冗談が『身体性』を帯びる。デジタルとアナログが融合する。

幻想郷と現実が融合する。



男が相手でも抵抗がなくなってきました。
いつしか、男が相手じゃないとダメになってきました。
より、狂気に近い方へ。より、気持ちよい方へ。どこまで『身体性』を追求できるのか。

ただのホモ。
5文字で言えばそうなります。しかし、奥が深いのです。
お遊び程度であっても、創作に携わる人ならわかるはずです。
キャラクタを作るとはどのようなことなのか。
頭の中でキャラクタを動かすとはどのようなことなのか。
超えてはいけない一線は勿論あります。そこを超えるのが良いことなのか、
悪いことなのか、それはわかりません。



男のくせに十六夜咲夜。
どんなきもい奴なのかと冷やかし半分に見に行って、
そこにいたのはあまりにも瀟洒なメイド、十六夜咲夜。
コスプレ特有の、なりきり特有の臭みがない、あまりにも自然な十六夜咲夜。
こんなことは、あり得るのか? 現実離れしている。とりあえず、写真を撮る。
十六夜咲夜が俺に気付く。彼女はぺこりとお辞儀する。俺も慌ててお辞儀する。
ポーズを取ってくれる。写真を撮る。夢中で撮る。奇跡をファインダーに必死に収める。
撮りながら、勃起する。咲夜さん。咲夜さんだ。咲夜さんとしかいいようがない。
咲夜さんはゆっくりと近づいて、俺の手を引いて人気のない裏側の非常階段へと連れて行く。
恐ろしさは感じなかった。咲夜さんが俺の勃起を服の上から怪しく撫でた。息を飲む。
ジッパーが下ろされていく。ケーキの包装をやさしく剥ぎ取るように、咲夜さんの指が動く。
甘いクリーム。溶けていくバター。体温より2℃高い、咲夜さんの中。



何を企んでる?
俺たちは噂の十六夜咲夜を見つけて乱暴に拘束して非常用階段脇の物置へ放り投げた。
後ろ手に縛り上げた十六夜咲夜を写真に撮る。咲夜は勃起していた。露出させ、写真を撮る。
コスプレ女装。気持ち悪い。吐き気がする。というのは先入観であり、実際は妙にエロい。
女より女らしいのに、男のものを持っている。本質的には男なのに、十六夜咲夜なのだ。
何を企んでるんだ?
思わず俺はそう言った。咲夜は何も言わない。俺は咲夜の男を手でしごいてやる。
咲夜は腰を引いて逃げる。逃がさない。執拗に責め続ける。
何を企んでるんだ? この変態。
撮影係が我慢できなくなったのか、自身のものを咲夜に咥えさせる。
フラッシュが閃光のように焚かれ続ける。
相手が男だから何をしてもいい、という論理は無い。
しかし、十六夜咲夜になら何をしてもいい。なぜなら、幻想郷の住人だからだ。
こんなにも咲夜そのものである、そんな奇妙な存在になら、何をしてもいいはずだ。
メタフィクションでもない。もちろん、十六夜咲夜そのものでもない。不思議な感覚。
十六夜咲夜の中で果てた撮影係が、吐くな、飲め、と言い、咲夜は飲む。
この咲夜が女だったら、どうだろうか。
女だったら、ここまでエロくならない。なぜだろうか?
男同士だから同じ幻想を共有している、というわけでもない。
十六夜咲夜は思う人の数だけバリエーションがある。
幻想が共有できるということ自体が幻想なのだ。
咲夜が白濁を射出する。それを手で受け、飲ませる。抵抗するが飲ませる。咲夜は飲む。
何を企んでる?
状況は狂っており、世界は歪んでいる。
俺は咲夜に咥えさせ、敏感になっていたためか、すぐに終わる。咲夜は飲む。
脳みそが焼けこげる。俺は俺の気が狂った、と思う。咲夜に連絡先を聞く。
咲夜が首を横に振るので殴る。本気で殴る。このまま殺してもいい、と本気で思う。
殺気に気付いたのか、咲夜はLINEのアカウントを言う。目の前で登録して確認する。
咲夜のiPhoneに俺のメッセージが映る。一言脅して俺たちはその場を離れる。
一応隠れて咲夜の動向を確認する。咲夜はよろよろと物置から出てきて、
そのままトイレに行って、吐く。可愛い。そう思う。
天使がいた。本物の天使に出会った。そう思う。



「あなたは狂っています」

カウンセラーはそう言った。

確かに。それは自覚していた。病識はあった。
私は閉鎖病棟に入れられた。私は十六夜咲夜ではない。

「世界を正しく認識しなければなりません」

その通りだと思い、首を縦に振った。私は十六夜咲夜ではない。
世界を正しく認識する、という意味もわかります、と私は言った。

「同性愛を否定する訳ではありません」

私は別にそこにこだわりはありません、と言った。
どっちでもいいのです、と付け加えた。

「あなたは2DADを治す必要があります」



ガラス瓶の中に蠅が迷い込んでいた。
蠅は上手く脱出できないようだった。
何度も頭をぶつけてはガラス瓶の底に落ちていった。
しばらくすると、蠅は動かなくなった。
私はそれに気付き、出してやった。
蠅は外に出たことを気付かないようだった。
蠅は動かなかった。

こんにちわ、ハエさん。あなたはもう自由なんですよ?

「……咲夜さん、僕はもう疲れたよ。何をやってもダメなんだ」

そんなことないよ。今までは不条理な状況に閉じ込められていただけで、
もうあなたは自由なんだよ?

「自由とか、なんだとか、もう疲れたんだよ。もう、どうでもよくなったんだよ」

じゃあ、話をしよう。
それは『ガラス瓶に閉じ込められたハエの話』だよ。

「……」

どう思う?

「まさにそれは僕の話だ。僕はその話のハエそのものだ」

その話の中のハエは、どうすればいいと思う?

「……飛ぶべきなんだ。もう、ガラスはないのだから」

あなたは?

「……飛ぶべきなんだ……」



窓から見る空は青い。空が青く見える理由は知ってる?

とルキにゃんが言い、私は答える。
太陽光が大気で分散して、青い波長だけが残るから。
半分正解で半分間違えている、とルキにゃんは言う。
あなたはブログを作っていたけれど、何のため?
とルキにゃんは言う。

色々考えたけれど、結局はただ一つの理由だった。
それは、『計算するため』

計算?
ルキにゃんは首を傾げる。

ブログは計算用紙なんだよ。
頭の中で計算していってもすぐに前のことを忘れてしまうから、
書き残していく。そうすれば、ずっと昔の計算結果を今のこの式に代入できる。
計算結果というものが、一人のキャラクタのように表現されていれば、
そのずっと前に出てきたキャラクタを今に代入することができる。
そうすることで、解ける問題もある。

何を計算しているの?
ルキにゃんはいたずらっぽく笑う。

私は言う。

生きるということは、計算するということなんだよ。



スマートフォンは市場から消えた。
なんで今まであんな使いにくいデバイスを有り難がっていたんだろう?
と不思議に思う人は、今手にしている新しいデバイスをまた5年後には
その不自由さを不思議に思うことだろう。
今の『最高のデバイス』は、未来の『最高のデバイス』に駆逐される。
そうやって世界は更新されてきた。
これからもそうだ。世界新記録は更新され続ける。計算は続く。
世界は計算され続ける。そういう風にできている。

●●●

と、ここまでの法螺話を七瀬に聞かせる。

七瀬はうなだれる。

聞くだけ時間の無駄だった。
無駄に長いし、オチが昨日と同じだし、まさかのホモネタだし、と七瀬は愚痴る。

でもさ、私、ひとつ、わかったんだよ。
と、ルキにゃん。

なんで、nana252なのかという謎が解けたんだよ。

7+2+5+2 = 16

あなたは、やっぱり、十六夜咲夜さんだったんだね?
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