2コマ目のカラーエフェクトを頑張った。 2009年01月31日 漫画 トラックバック:0コメント:0

「嘘つけ。こんなのフィルタ通せば3秒で出来るだろ」
とか言われかねないけど、でも、本当に手動で頑張ったんです……。
(こういう意味のない、報われない労力は今後避けたい)


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背景動画 2009年01月29日 漫画 トラックバック:0コメント:0

略して背動。
たったの2コマだけど力尽きました。


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画質とフレームレートのダブルバインド 2009年01月25日 模写練習 トラックバック:0コメント:0

個人的にはフレームレート維持が最優先。
ファミコン世代の画質にまで出力落としても、秒間60フレームを死守したい。
(でも、そんなゲームは売れません)

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ギャルゲ脳 2009年01月23日 漫画 トラックバック:0コメント:2

私の毎日練習スレ参加絵師に対する親愛度はいつも最大値。
(片想いにもほどがある)
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一般カテゴリー内でも揉む。 2009年01月22日 漫画 トラックバック:0コメント:0

一般カテゴリー内で揉むというのが非常に大事。
(本当に大切なことなので2回言いました)


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リンク増やしました。【未承諾】 2009年01月20日 漫画 トラックバック:0コメント:2

090120a.jpg
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第63話 2009年01月18日 漫画 トラックバック:0コメント:0

陰影を付けていったら、背景の書込みが殆ど潰れたが問題なし。
(おかげで何がなにやらわかりません)

090118.jpg
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今日の脳内【超長文】 2009年01月17日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

090117

日本において、戦前・戦中・戦後、すなわち世界大戦前後の時代において、
国民の全員各々の心の中に、共通の物語が存在していたと言われている。

その物語は下記のようなものであったとされている。

(1)国家繁栄への願い。
(2)戦争に対する反省。
(3)個人主義の発芽。
(4)西洋文化への憧れ。

━━1950年。
その時代の終焉と始まりの境界。
アメリカの暗喩的な植民地としての日本経済の発展。
社会の教科書的には『豊か』とされた戦後50年の営み。

灰色の廃墟。冷たい雨。吐き気を催す空腹。
疲弊し、野良犬の目をした人々。
その目の前を、鮮やかな赤が通り過ぎていく。
人々の目を驚かすその赤はなんと『金魚売り商人』であった――と書いた辺見庸のイメージはとても美しい。
美しくも退廃的で自虐的で、しかし、人間はそのようにしか生きることが出来ないという観念も伴って、柄も言わせぬ甘美感がある。

その甘さは毒物的であるに違いない。

隣人を無条件で愛する慈愛精神を実践する人々が、なぜか次々と人間を殺し始める。
昨日まで普通のやさしいお父さんだった人が、突然、隣人の家を焼き払う。
自分の中にある『ルール』が例外的に局所的に極論を『解』と認定する。
そして、風説や嫉妬や裏切りを背景に、感情と論理がある種の思考停止を伴って止揚したその先に、悪魔的な行動を天使的な笑顔でやってしまう、文字通り『魔境』がその口を開けて待ち構えている。

その口はとても柔らかく、甘く、美しく、毒物的だ。

『あの家には悪魔が住んでいるらしい』
その現実的ではない妄想が住民に伝播し、ついには『洗浄』が行われる。
普通のやさしいお父さん達が、ある日、その農機具を『洗浄』に使用し、帰宅する。
娘達は気付かない。お父さんはどこか後ろめたさを感じながらも、いや、俺は村のために良いことをしたのだ、と自分自身に言い聞かせる。
――みんながやったのだ。
『あの家には普通の老婆が居ただけだった』
なんの罪も無さそうな老婆だった。しかし、みんなの妄想は霧散しなかった。
――いや、こいつが悪魔だ! だから、2年連続で不作なんだ!
――老婆のふりしてるだけだ。ひどい奴だぜ!
誰かが叫んだ。自らに言い聞かせるような声質でもあった。
老婆の家を破壊し始める。農機具を、農機具じゃない使い方で使う。
『どっちが悪魔なんだ?』
ごうごうと音を立てて燃える家を見て、彼は思った。
炎が男達を赤く照らす。その姿はどう見ても、悪魔そのものだった。

彼は娘を『その手』で抱き上げる。『その手』は罪で汚れている。
彼は咄嗟に嘔吐しそうになる。それを全身全霊で押さえ込む。

彼は思う。
その『罪』を一生、背負い続けなければならない。
もう俺は二度と笑ってはいけないんだろうな、とも思う。
純粋で無垢な娘を抱くその手は人を殺めた穢れた手だ。
そして、魂も汚れている。もはや、死ぬまで取れない汚れだ。

――彼が『1950年以降の世界』で、老婆も『1950年以降の世界』。

世界はもはや純粋に笑うことなど出来そうにない。


━━2010年。

『お父さん』は年老いて、もはや、昔話すらしない。
罪を背負った『お父さん』の人生の命題、すなわち――

(1)国家繁栄への願い。
(2)戦争に対する反省。
(3)個人主義の発芽。
(4)西洋文化への憧れ。

は、娘である私には全くもって理解できそうに無い。

『お父さんの罪』は私にも伝えられている。
毎年、私達は老婆の家に献花しに訪れる。
『お父さんの罪』は、重い。重く、悲しい。
全く何の根拠も無い妄想で、なんの罪も無い老婆が殺された。

その殺人鬼達は、『罪を背負っている』という言葉を言いながら、生き続けている。
言い訳をする人もいる。正当化する者もいる。
彼らは法で裁かれはした。
しかし、戦争時の極限状態での出来事ゆえに、彼らはすぐに帰ってきて、酒を飲んだ。
お父さんも飲んだ。私はその酒の席に呼ばれ、踊らされた。

『純粋で無垢な、この娘には明るい未来が待っていて欲しい』

あきらかに性的な意味をもった視線達を浴びながら、そんな戯言を聞かされる。
私は嫌悪感に震えた。震え続けた。汚い大人。汚い男達。
そして、そんな男の子供である私もまた汚いに違いない。

(1)国家繁栄への願い。
(2)戦争に対する反省。
(3)個人主義の発芽。
(4)西洋文化への憧れ。

酒臭い息を撒き散らしながら、相撲取りのように大きな男がその4つを宣告する。
罪深い俺達は、反省しながら、先へと進もう。
国家の繁栄。世界平和。豊かな人間社会の創造。西洋文化を取り入れて近代化。

私は逃げるようにして部屋を出た。
すぐに風呂に入り、男達の唾液を洗い流した。
ガタガタと震えながら、しかし、思考の回転数を上げていく。

色々と考えた挙句、結論は下記のようなものに落ち着いた。

――人間は、このようにしか生きることが出来ない。

老婆を殺めた、あの集団的妄想状態は、想像に難しくない。
妄想が妄想を強化し、その黒を白とは言えなくなる空気が構築される。
論理的ではない思考が積層され、いつしかそれが真実になってしまう。
そして、それが実行され、その血まみれの手を見て、やっと気付くのだ。
気付いても、日々は続いていく。せめてもの償いとして、献花する。
罪の重みに耐え切れなくなり、人間の心は安定を求めて徘徊する。

言葉を失う者。酒に溺れる者。社会のせいにする者。
正当化するための新しい妄想を作る者。命を絶つ者。

どれが正解かという問題ではない。
どれも正解であり、どれも的外れである。
とにかく、人間は過ちを繰り返し、しかし、酒を飲み、快楽に興じる。

私もまた、そのような人間の一人に他ならない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(1)国家繁栄への願い。
(2)戦争に対する反省。
(3)個人主義の発芽。
(4)西洋文化への憧れ。

その物語は失われた。
(1)~(4)の標語とアメリカと共に歩んだ戦後50年。
高度経済成長。超円安固定レートを足掛かりに外貨を稼ぐ。
自由経済とは名ばかりの奴隷市場。
1発殴って4発殴られる八百長試合。
言葉による支配。映像による支配。
『まるでドラマのような恋愛』っていう認識の滑稽に気付かない。
あまりにもあからさま過ぎて誰の意識にも残らない洗脳教育。
(ずっとDの和音が鳴っていれば、誰もDの和音が聞こえなくなる)
目を閉じて、まぶたの裏に浮かぶのはいつもテレビの画面じゃなかったか?
『私達はもっとゆとりのある豊かな暮らしを生きる権利がある』
と書く新聞社説。
(権利はあるのは結構だが、もはやその言葉は他人事にしか聞こえない)

白物家電3つの神器。マイコン時代。カラーテレビ。携帯電話。
スキー。レジャー。マンション。2009年、春の新作ファッション。
液晶テレビ。ミニノート。豪華絢爛冠婚葬祭。液晶タブレット。
バーゲン。エコ替え。ゆとりある豊かな暮らし。笑顔。
活き活き人生プラン。
所得倍増計画。
全国民中流計画。
貿易黒字。
先進国入り。
オリンピック。
笑顔。
ゆとりある豊かな生活。

その裏側で、いじめられる女子中学生。
あいつらに隠された教科書が今日も見つからない。
「おい、ユグドラシル。教科書どうした?」
「……あ、ありません」
「あァン? 忘れたのか、コラ」
「……いや、持ってきたのですが……」
「じゃあ出せよ。持ってきたならあるだろが、コラ」
「……」
「ねーんだろが!! 忘れたんだろが!! 嘘つくなや!!!」
「……」
「ユグ!!! 忘れたんだろがや!!! オメー、持ってきてねえんだろがや!!!」
ユグが泣く。
大爆笑。
今頃、ユグの教科書は焼却炉の中で燃えている。
大爆笑。先生の怒号がさらに強まる。
シーネ!
誰かが言う。
シーネ! シーネ! ユグ、シーネ!
クラスの全員が声を合わせる。リズム良く、合唱される。
シーネ! シーネ! ユグ、シーネ!
シーネ! シーネ! ユグ、シーネ!

それに負けじ、先生が絶叫する。
「オメーは最低の嘘つき人間なんだろが!!!!! 持ってきたんならあるはずだろが!!!!!!! ねーんだろが!!!!! ねーってことは、オメー、持ってきてねーんだろが!!!!!! オメー、嘘ついてんだろが!!!!!!」
ウソツキはシネ! ウソツキはシネ! ウソツキはシネ!
ユグはウソツキ! ユグはウソツキ! ユグはウソツキ!
シーネ! シーネ! ユグ、シーネ!
シーネ! シーネ! ユグ、シーネ

教科書は物理的に正しく燃え終わり、物理的に正しく灰へと遷移しました。
何百カロリーの熱量と、ちょっとした二酸化炭素を焼却炉の中に残して。
ユグは泣く。教科書は間違いなく持ってきた。何回も確認した。
でも、無くなった。たぶん、隠されている。私はいじめられているから。
私がいじめられていることを、先生は知っている。
そして、それがどうにも解決できないことも、先生は知っている。
いじめは構造的なもので、それは熱が熱いところから冷たいところへと移動するのと同じ仕組みであって、それを引っ繰り返す事は不可能なのだ。
エントロピーは増大し続ける。
――ユグは先生に殴られる。
ユグの華奢な身体が弾け飛び、他の生徒の机に激突する。
その机の持ち主が逆上し、ユグを蹴る。教科書、ノートを投げつける。
それを真似して、他の生徒もユグに物を投げつける。ユグは床に丸まって耐える。
面白くないのでそれを蹴る生徒。上に乗る生徒。そして、バケツに汲んで来た水をかける生徒。
先生は傍観する。
「嘘つきは犯罪だからな。犯罪者は裁かれるんだからな」
ユグの教科書隠しの主犯が笑いながらユグの上に乗り、ジャンプして踏む。
ユグは泣く。痛みは麻痺して全身が焼けるように熱いだけの感覚。
たぶん、今のこいつが隠したんだろうな、とユグは思う。
でも、どうしようもできないんだろうな。
そして、きっと、私は、親には
『転んでケガしちゃいました。学校は楽しいです』
って、言うんだろうな。
教科書はきっと二度と帰ってこないんだろうな。
どうすればいいのかな。どうしようもできないんだろうな。
逃げられないんだろうな。
親は私が元気で楽しく学校に行っていると思い続けているんだろうな。
多幸症的な両親。
人類には明るくゆとりある豊かな未来が待っていると信じている二人。
――勉強しろ。先生の言うことはよく聞け。みんなと仲良く。いつも笑顔で。
できないんだろうな。私には到底無理な要求だ。
暴行は30分以上続いた。
私がピクリとも動かなくなってみんなが飽きるまで続いた。
その間、先生は携帯電話でヤフーニュースを見ていた。それに飽きると2ちゃんねるを徘徊し、それにも飽きるとテトリスを遊んでいた。
そして、裁きが終わったのを見ると、最後にサッカー部顧問の尊厳を見せ付けるかのようにユグを激しく蹴り上げ、ユグを廊下に放り投げた。

ユグは廊下のタイルを見眺める。
タイルにはヒビが入っていて隙間が開いている。
荒い息が収まらない。おなかが凄く痛い。
「おい。廊下で寝るなバカ」
教頭先生の声がした。
「起きろ」
腕を踏まれる。
「廊下は寝る場所じゃねえんだ。おめえはバカか?」
すいませんでした。
声にならない声で謝ってから、私は歩き始める。
どこへ?
家に帰る?
あの笑顔でいっぱいの、まさかこんな学生生活をしているとは夢にも思ってない二人の下に?
――絶対に嫌だ。
他に帰る場所はあるか?
無い。
「どこ行くんだ? バカ」
トイレに行きます。
「先生には許可もらったのか?」
もらいました。
「2分で帰ってこい。そして、教室に入れ。勉強しろ。死ぬ気で勉強しろ」
はい。
トイレに入る。トイレの奥の窓を開ける。窓枠によじ登る。
1階でよかったよかった。よいしょと窓枠を超える。
学校脱出。着地失敗して派手にこける。結構痛いが命に問題なし。
命があればなんでもできる。おや、なんか、妙にポジティブだ。

新浜中学校の北側は駐輪場になっていて、ユグはそこに置いてある自分の自転車を取りに行く。だいぶ、制服が汚れたちゃったな。パンパンとスカートの埃を払い、襟元を正す。いつものように、自転車の籠にはゴミが入れられている。飽きないもんだな。よくも飽きずに人をいじめられるもんだ。私なんていじめねばならないような存在だろうか? 本当は私のことを恐れているのではあるまいか? ゴミを横に捨てて、自転車を漕ぎ出す。決めた。もう、二度とここには来ない。バカバカしい。ここにいれば、生かさず殺さずで私はいじめられ続ける。いつかは殺されるかもしれないが、コスト対効果を考えれば、そこまではしないのかも。でも、自殺もしくは事故死はさせられるかも。それならストーリーになる。彼らの免罪符にもなるかもね。頬を撫でる風が心地よい。今年は暖冬にもほどがあるよね。新浜中学校は街の真ん中に位置しており、昔ながらの商店街的風貌の街であることも手伝い、もはや新浜中学校の姿はユグには見えなくなる。13歳。1月中旬。『人生半ばにして、道に迷い』って言う歌はタルコフスキーの映画で聞いた。元ネタはドストエフスキーか? 『いつもアナタはドストエフスキー的なのよ』っていうセリフもまたタルコフスキーの映画だった。ふふふ。私はここで姿を消そう。また、新しい標的を見つけるのかな?リアス式海岸の浸食に似て、永久にその端面は削られ続けるに違いない。海に罪は無い。海は物理的現象だ。削られる海岸が悪いのか?悪くない。海岸は海岸としてそこに居ただけだ。まあ、運は悪かったと言えなくも無い。いじめられるほうにも問題はある――確かにあるかもしれないが、運の悪さがそれに勝った。逃げるというのは負けるということだ。ふふふ。かまわない。私の頭の中にあるのは囲碁のイメージだ。人生は石を置き続けるプロセスに過ぎない。最後の最後に、判定が下される。そして、何よりも重要なのは、結局人生において石を置くのは自分自身だということだ。自殺、事故死を強要されても、結局、実行するのは私自身。悪い場所に石を置くことを強要されても、置くのは私だ。殴られて蹴られて犯されても、私は私の思ったところにしか石は置かない。

「人生半ばにして、道に迷い~」
「人生半ばにして、道に迷い~」
「人生半ばにして、道に迷い~」

なんだか楽しくなってきちゃったよ!

━━話が大きく脱線したので元に戻す。
と、思ったけど、元が何かは既に記憶に無い。

ネタ帳を見直すと、
『老婆』=『ユグ』=『1950年以降の世界』
と書いてあり、だいたいのところは描写できたように思う。

だから、そういう経緯があり『ユグには物語は無い』、と言えなくも無い。
ユグの物語は既に奪われ、破壊されている。
酒臭い妄想殺人者たちが考えた『大いなる物語』など知ったことか。
ディスコード。不協和音しか鳴らない楽器。
私の物語も既に奪われ、破壊されている。

以前、ユグに自由に漫画を描かせたことがある。
ユグの記念すべき処女作は下記のようなものであった。

【第一作目:『不惑』】

中学校。いじめられまくる少年。少年はいじめっ子皆殺しを計画する。
すらりと伸びた日本刀。それは先祖代々伝わる呪われた神器。
あとはずっと終わりまで殺陣シーン。まさに不惑。
後半から、少年の心の声、独白は描かれない。心のブレもない。

(これを描き終えて、ユグはしばらく何も出来なくなった。
 本人曰く、「心の中が真空になった」)

【第二作目:『強過ぎてニューゲーム(仮)』】
(ユグと私と共同制作)

80~90年代的ゲーム的ファンタジー世界。魔王が世界を牛耳る。
王様が勇者を募集しているのを聞いて、面白半分に魔王が自ら志願する。
魔王は意外なことに普通の少女の風貌なので、誰もこれが魔王とは気付かない。
もちろん、めちゃくちゃ強いので、すぐに頭角を現し、有名になる。
人類の期待を背に魔王討伐の旅を出る。魔物に会う。
「ちょ……、勇者って誰かと思ったら魔王様じゃないですか……」
「まあ、遊びだと思って、適当にやっていこうと思ってるんだけど」
「……どうするんですか? 俺、死んだふりしときましょうか?」
「なんていうかさ、物語的に盛り上がる感じにしたいわけよ」
「はあ」
「ここで、ボロボロになって帰って、やっぱり風の塔の魔物は強いなぁ、とか、物語には障害ってのが大事だと思うんだけど」
「乙一っていう作家がハリウッドの作劇術っていう本をおすすめしてましたよ?」
「うん。あれ見ると、ドラマを作っていかないといけないなと」
「そうですか」
「風の塔だから、世の中から風を奪ってしまったとかどう?」
「ほう。そうすると船が動かないから困りますね」
「遠距離恋愛も困るわけよ」
「あっ、そんな卑近なドラマも盛り込みますか!」
「それと合わせ技で、風力発電ならぬ、風力マナ発生装置ってのを作って、それが止まるとマナの流れが悪くなって風系の魔物が活性化するとか」
「いやーいいですねー。中二病ってわくわくしますね!」
「はい。じゃ、決まったところから黒板に書いていくからね」

(1)風の塔のコアが魔物に支配され、理力が不活性になる。
(2)世界から風が奪われる。船が動かなくなる。
   遠距離恋愛してる男女の悲哀を描写する。
(3)風力マナ発生装置が停止し、風系マナが不足する。
(4)風系モンスターが活性化する。
(5)勇者様に討伐依頼が下る。

「で、私がすぐに解決すると、物語的に安いじゃん。だから、もうちょっと複雑にすんの」

(6)項目(2)のカップルの男は火から風を作り出す機械を研究していた。
(7)これを機に研究の成果を世に発表するぞと盛り上がる。
(8)その男が私に惚れる。
(9)風が直れば、私は居なくなる。でも遠距離恋愛の女とは会える。
(9)どっちを取るのか。
(10)勇者様である私には、その男はあんまり興味ない。
(11)男は悩む。

「甘酸っぱいですね!」
「この先は、実際にやりながら考えようか」

――しかしながら、魔方陣グルグルみたいなほんわかファンタジー漫画にしかならなかったので、途中で終了。


【第三作目:『メイド変化球エロ漫画(仮)』】

――お金で買えないものは無い。
私は子供の頃からそう教えられてきた。
と同時に、マリー・アントワネットの最期も熱心に説かれてきた。
だから私は、20歳という若さで莫大な金額の遺産を相続しても、なんかの物語でありがちな浪費や放蕩はしなかった。
先祖から引き継いだ館に身を隠し、質素なご飯を食べ、必要最低限のメイドを雇い、ひっそりと暮らした。

お金持ちは大抵、孤独である。
私も例に漏れず、孤独だった。んでもって、男性不信だった。
それどころか、人間不信だった。だから、人間のメイドは雇わなかった。

私のメイドは人間界じゃないところから召喚した、『人間じゃないメイド』である。
『人間じゃない』と書くと、耳が長かったり、手がうねうねと触手だったり、そんなメイドを想像される人もいるかもしれないが、そういった異形なメイドではない。見た目は人間そのものである。
むしろ、人間と比べると、どこか不思議な愛嬌が感じられる。それが何に由来する魅力なのかは、わからないけれど。

彼女らが、人間と決定的に違う点は、年齢が一定ではなく、自在に変化させられることだ。
彼女らは、私達が場合によって声色を変えるようなニュアンスで、年齢を変化させる。
遊ぶ時は幼く、仕事する時は大人らしく、甘える時は、まぁ、どっちかで。

――で、だ。
私はここから本音で書く。貴族らしくない下賎な言葉を使って書く。
――――私は彼女らの虜になった。っていうか、ずばり、『年齢可変萌え』だ。
彼女らが館に来てから、毎日毎時毎秒、私は彼女らの可愛さに身悶えている。
ニュアンス的には2頭身のSDキャラになってゴロゴロと床を転がっている感じで私は身悶えている。


――きゅっ。
メイド長の『舞那(まいな)』のスニーカーが、大理石の床に擦れて音を鳴らした。
1月17日。ようやく冬らしくなってきた窓外を見ながら、舞那はメイド服の襟元を正す。

舞那には悩みがあった。それは最近、メイドたちの風紀が乱れていることである。
メイドたちと言っても、その総数は約100人。舞那一人では行動を把握しきれないほどの人数だ。
――その中に、メイドらしからぬ行動をするものがいる。
メイドらしからぬ行為とは、『ご主人様を誘惑する』ことに他ならない。

ぐっ。
舞那は右手を拳にして、ぐゅ、と握る。
――誘惑の手口はわかっている。ご主人様は年齢可変に弱いのだ。

以前、ご主人様の大事な本をなくしてしまったときに、
「ご主人様ぁぁーっ ごめんなさいぃーー」と23歳から『きゅーー』っと9歳くらいに小さくなりながら謝罪したメイドがいた。その若返りは彼女の心情を表していた。すなわち、パニックによる精神退行。
そのとき、ご主人様は震えていた。怒りではなく、内から来る何かを必死に抑えていた。
息をするのを忘れるくらいに、歯を食いしばって、耐えていた。メイド長として尋常ならぬ雰囲気を感じた舞那は、9歳メイドを部屋の外へ引っ張り出した。9歳メイドは、もう首になると思って泣いていた。
その後、舞那が部屋に戻ると、ご主人様は壁に頭をがんがん打ち付けて苦しみ悶えていた。

「かわいい……かわいすぎる……お、お持ち帰りしたい……変なこと、したい……」

……あ、あのー、ご主人様?
で、9歳メイドは首にはならなかった。メイド全員の前で、「あの本だけど、別にかまわないわ。気にしないことね」
といつもの冷静かつ華麗な感じでさらりと言った。単純な私達は、それでまたご主人様に恋焦がれてしまう。


舞那は知っている。
ご主人様はメイドたちにはあくまで潔癖な主従関係の距離を保っているが、その実際は「お持ち帰りしたい。変なこと、したい」という煩悩に苦しんでいることを知っている。
舞那が知っているくらいだから、噂事が大好きなメイドたちは、もっと知っている。

――ご主人様は私達をベッドにお持ち帰りしたいと思っている。けど、その欲望を我慢している。
――ご主人様は年齢可変、特に若返りに弱い。一瞬で正気を失いそうになるほどの、萌えのツボだ。
――1月18日は、私達が館に来てから1周年だ。だから、やるなら、今日だ。

そう!!
舞那の悩みはそこに帰結する。
メイドたちは既に硬く結束している。1月18日。メイドたちは一周年記念パーティーをやる。
ご主人様のガードが甘くなる。酒も出る。そこで、100人(メイド長を除く)が一斉に若返る。
いや、一斉じゃないかもしれない。端から順番にかも。そして、だぼだぼになったメイド服のまま、ご主人様に抱きついて、ご主人様のどこかを甘噛み。2人目がまた若返って抱きついて甘噛み。3人目、4人目……。
これでご主人様が落ちないはずが無い。落ちればもう終わりだ。毎日、毎日、毎日、変なことをし続ける。

「だめだっ!!!」
舞那は思わず叫んでしまう。
近くを掃除していたメイドがびっくりしてちょっと若返る。
「……あ、あのう、どうかされました……?」
「っ!! ……変なこと、私もしたい」
「……え?」
「いや、私だけに、してほしい」
「……え? えっ!?」
「私だけのものなんだ。渡さない」
「あ、あのーー……」


――「舞那さま。お話があります」

副メイド長のニーナがにこやかに話しかけてくる。
メイド達が賄いを頂いている食堂で、私はニーナと向かい合わせで座っている。
他のメイドたちの耳が明らかにこちら側に注意を寄せているのがわかる。
この食堂にはご主人様はいない。ご主人様は一人で自室で食事されている。

「舞那さま、今晩執り行われる式典ですが、ひとつ、重要な儀式も行います」
「……儀式? 聞いてないけど?」

舞那は知っている。いくらメイド長として、一般メイドのコミュニティーから
離れていても、もう雰囲気でわかる。今日、ご主人様は堕とされる。

「私達メイドは、ご主人様をお慕い申しております。主従関係を超えて、尊敬というか、愛、というか、大好きなわけです」
「……」
「そして、たぶん、いや、絶対、ご主人様も私達のことが好きです。だから、今のこのような、煮え切らない関係は、双方のためになりません」
「……」
「舞那さま。舞那さまは、どうなんですか? その、えっちなことは」
「……え?」
「私達は、もう我慢できません。ご主人様とかとしたいです。許可いただけませんか?」
「……い、いや、なんのことなのか……っていうか、『とか』って何?」
「もし、許可いただけないのなら、舞那さまを性欲の捌け口にします……」


ざっ。

食堂に衣擦れの音。100人のメイドが一斉に立ち上がる。遠くから聴こえる風の音。
そこにプラスして、舞那の耳には心臓の鼓動が鳴り響いている。

――ニーナが成長していく。
16歳程度だったニーナ。まだ幼く、しかし、眼光に並ならぬ意思の強さを宿していたニーナ。
顔立ちがはっきりしてくる。眼光の鋭さはそのままで、顎が細くなり、少女のふくよかさを失う。
短かった金髪が、ふわさ、と伸びる。片目が髪に隠れ、もう一方の目は妖艶に笑う。
身体つきも大人そのものにる。メイド服ににわか膨らみを見せていた胸が、今では洋梨のようにたわわに実っている。
――舞那はニーナの姿を直視できない。目を細くし、横を向く。

「舞那さま。私達は舞那さまもお慕い申しております」
「……そう?」
「好きです。憎らしいくらい」

――犯して、犯しまくって、壊してしまう。所詮、私達は悪魔でしかない。
舞那はニーナの幼さが悲しい。せっかく、悪魔を人間同等に扱ってくれる人間がいるのに、やっぱり、悪魔は人間を殺してしまう。それ以前に、その悪魔の本能を抑制し続けようとする同属の私ですら、殺してしまう。悲しい。寂しい。せっかく、私達は平和に生きられそうだったのに……

と、そのとき――。

「決めたっ!!」

その声は食堂の入り口から聞こえた。みんなが一斉に声の主を見る。ご主人様が真っ赤な顔で立っている。

「私はもう、自分を偽らないっ!!」


(ここからご主人様視点)

――嘘はもう十分だ。私は思う。私は私に正直になる。それで私の人生が破綻しても、関係ない。悔いは無い。
メイドたちはみんな私の方を見ている。びっくりしている。まるで平野耕太の描く気の抜けた落書きみたいな顔たちだ。
ざく、っと私は首輪を取り出す。100個の首輪。結構小さい。大人のサイズではない。
ざく、っともう一方の手から猫耳を取り出す。100セットの猫耳。大人の頭のサイズではない。

「あ、あのぅ」
舞那が目を丸くして、細い声を出す。
私は、にらみつけるようにして、声を張る。
「若返りなさい。これは命令だっ!!」

一瞬の沈黙。心地よい。まるで、大劇団の主役を張ってるみたいな注目度。私はメイドたち全員を舐めるように見る。
視姦する。食べてやる。みんな、みんな私のものだ。私は、やはり私の中にマリ・アントワネットの血が流れていることを感じる。

「……いい? みな、9歳になりなさい。そして、私に首輪と猫耳をつけられなさい」
自然に口元が緩む。
「そしたら、愛してあげる」


潮が引くように、満ちるように、食堂の中は一気に『幼気』が舞う。

『幼気』とは、なんというか、『夏休み』と『万能感』と『にゃー』って感じが
超高濃度で脳内を満たしているような、私達のはるか過去にあった生々しい子供っぽさであり、これってもしかしたら、それこそ本当の精神退行なのかもしんない。
――片っ端からメイドたちが若返っていく。で、ちっこくなって私に飛び込んでくる。
まるでてっぽう猫の如し。私の唇を狙ってくる幼い唇をよけて、首に首輪つけて頭に猫耳。
夕暮れ時にライ麦畑でこれと似たようなことをやったことがあるような気がした。
次から次へと幼なメイドたち。ニュアンスとしては、ストップモーションで私中心に
カメラがぐるんぐるん回ってる感じ。飛び交う幼なメイドたち。若返れ。若返れ。みんな若返れ。
メイドたちのきらきらした瞳とだぼだぼのメイド服が私の身体を押し倒す。
「ごしゅじんさまー!!」私は近くのメイドたちに片っ端からキスしていく。もっと若返れ。
そのメイドの中に、ひときわ眼光の鋭い、金髪の幼女がいる。「ごしゅじんさま」ニーナが言う。
「ごしゅじんさまをください」あげます。ニーナとキスをする。キスする寸前のニーナの表情は特筆すべきかもしれない。それは憂いと諦めが圧縮されて押しつぶされたような顔だった。
なんでだろう。ニーナは何に負けたんだろう?私の服はいつの間にか全部脱がされている。
9歳の各々の肌、それと私の肌が擦れあう。ニーナは私の首筋を甘噛み。9歳メイドたちの肌が私に吸い付く。

「ご主人様」

――顔を上げると、まだ若返ってない舞那が立っている。

私は手を差し伸ばす。舞那は初め躊躇って、そして、私の手を取る。
舞那の手の暖かさを感じた瞬間から、舞那の手が縮んでいく。
ざくざくざく、と音を立てて、メイド服が余っていく。
舞那の目は私を見たまま。その瞳の輝きも変わらないままだ。

――舞那が私のすぐ目の前に来て、頭を下げる。私は舞那に首輪をつける。猫耳をつける。
「ごしゅじんさま。めちゃくちゃ好きです。そして、めちゃくちゃ過ぎです」


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なんだかよくわからなくなってきた。
書いている内に、何度か、自分の心の闇が垣間見えた瞬間があった。
思考とタイピング速度が大体同期しているから、時間的には大したものではないが、それにしても何かを失っている気がしないでもない。

とにかく、物語が無い。
失われた世代には物語が無い。
それを無理やりひねり出すから、こういう物語もどきになってしまう。

ここで、一回パソコンを閉じて、コーヒーを入れてくる。

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何を考えようとしていたのか、読み直してみてもよくわからない。
わからないので、ここまでの文章は無視して、経済のことを考える。

経済のことについて、私の知識は小学生レベルである。
なので、小学生レベルからスタートして考える。

まず、商売をしようとしたとする。
わかりやすく、車を作って売る商売をしたとする。

車の材料費が1000円だとする。
組み立てにも1000円掛かるとする。
生産原価が2000円ということになる。
これに儲けを50%含んだ3000円で市場に出すとする。

1台売れれば3000円入ってくる。
2000円は生産原価なので支払う。
1000円が残る。
その1000円で人件費、開発費、会社の利益を賄う。

車産業は競合メーカーが多い。
技術革新スピードが速く、車種も多い。
そして、価格競争も激しい。

社長の私としては、経営会議の中で、下記のようなことを言う。

(1)車の品質を下げずに、生産原価を下げなさい。
(2)人件費を出来るだけ下げなさい。
(3)開発費は出来るだけ増やしたい。でも無駄使いはしないように。
(4)営業がんばれ。
(5)売れる車を作りなさい。

誰が社長になっても同じことを言うはずである。
技術開発部長、製造部長、営業部長がその言葉を受け取る。

材料費の1000円を見直す。
もっと安い材料は無いか。部品は無いか。無駄は無いか。
下請けを突っつく。共通部品を大量購買するから量産効果で安くしろ。
金型費、減価償却費も材料費に入っているので見直す。

組み立て費の1000円を見直す。
製造ラインの効率化を図る。トヨタ風のカイゼンである。
特殊なスキルの必要の無い箇所は人材派遣を有効利用する。
ロボット工程は初期費用が掛かるのでコスト対効果を見極める。

人件費は成果主義の導入やサービス残業の強要、ホワイトカラーエグゼクションで抑制する。生かさず殺さず。社員の士気を高めるための仕組み作りも考える。社員同士で競争させるのが好ましい。職場が殺伐としてきたら、マスコット的社員を投入して和ませる。

開発費、営業販促費の有効活用。
マーケッティング調査。テレビCM。販促イベント。

それを繰り返し、品質を上げつつも、コストを下げ、利潤を増やしていく。

そして、迎えた一年の決算。

売り上げ高:30兆円(10億台売れた)
営業利益:3000億円

29兆7000億円を支払い、手元に3000億円残る。
大黒字である。よかったよかった。
来年は12億台の販売を目指そう。
12億台分の発注をする。
ところが、不況に突入し、8億台くらいしか売れ無さそうになる。

生産原価コストダウンが順調に進み、今や1台1500円で作れる。
しかし、12億台分作ると、18兆円の予算である。
それに利益分と販促費、人件費を加算すると、前年と同じ割合であれば総額27兆7000億円掛かることになる。
8億台しか売れないと、24兆円しか入ってこない。
引き算すれば3兆7000億円の赤字になる。
なので、急激に生産を絞ることにする。
仮定に仮定を重ねた数字なので現実味はないが、それでも4億台分の生産を止めれば、6兆円は浮きそうだ。
しかし、当然、そこまできれいな数字にならず、下請けの損失補てん代も含めて3兆円のロスがあるとする。
ラインを止め、派遣を切り、製造能力にブレーキを掛ける。

しめて、支出:24兆7000億円。収入:24兆円。
営業利益:マイナス7000億円。

普通の会社なら即死であるが、過去数年の黒字分と、工場の売却益もあり、なんとか倒産は回避できたとする。

7000億円の赤字というのは大ニュースであり、それを見た投資家が会社の行く末を心配する。株主総会に出席し、会社の経営状況、今後の見通しを聞きにくる。
会社としては、株主には安心してもらいたい。株を手放してほしくない。
経営状況は問題ありません、と株主総会で私は言う。
会社の資産価値は30兆円くらいある。
(資産価値はどうやって算出するのか? 生産能力か? 売却益だけなら30兆円には届きそうに無い)
アメリカの金融危機を発端とした個人消費の低迷の煽りを受け、未曾有の販売不振に陥っているが、2010年下期には立ち上がってくるという見通しもある。
今は新しい商品の研究・立ち上げ、需要喚起を促す活動を進めたい。
近年話題となっているエコロジー路線の商品を立ち上げに全力をあげて取り組む。

しかし、どうすれば個人消費は立ち上がるのか。
私は月並みのことに悩む。アメリカという巨大市場は鬱状態に陥った。
国内販売は下がる一方であり、その理由としては市場の飽和、若年層の車離れ、少子化、格差社会による購買力の低迷が挙げられているが、社長とはいえ一個人の私にはどうしてみようもない。
雇用を守れと言われても、財務管理シートの健全化を図るためにも、リストラは進めなければならない。
不況の風に吹かれて収入が貯蓄に回ってしまうのが全ての原因であろうか。

経団連の集まりで話し合うことにする。
とりあえず、世論を考えて、雇用確保に全力を挙げると宣言することにする。
次に、みんなにお金を使って欲しいので、政府を突っつくことにする。
政府は、家電業界に突っつかれて地デジ切り替えを始めたので、車でも同じことしちゃおうかと言う。
あんまり古い車は乗っちゃいけません法案を作る。
次世代排ガス規制と次世代ETC案である。
ここ数年が生きるか死ぬかの勝負のである企業も多いので、強制的に購買させるために消費税大幅アップをゴリ押しする。
消費税アップ前の駆け込み需要に掛けるのであり、もし、それで景気が上がれば消費税アップを見直しても良い。
あと、法人税を安くしてもらいたい。
日銀にも突っ込む。もっとお金の流動性をよくしてもらわないと困る。
うーん。国民がもっとお金使えばいいんだけどね。ちょっと脅しちゃおうか?
ハイパーインフレ話をテレビを通じて流す。ジンバブエの様子を報道する。
お金、使わないと無駄になるよ。
小金溜めてたって、インフレ起きたら資産価値目減りするからね。

「今の若者は何にお金を使ってるのかね?」
「みんな貯蓄型ですよ。強いて言えば、携帯と服でしょうか」
「くだらねーなww もっとお金をつかわせろwww」

貯蓄型の人間はモテない論を流す。
今年のプレゼントの平均額を発表する。
逆バレンタインが流行る予感でつよ。
彼氏が軽に乗ってるから恥ずかしい。別れたい。
モテる車。
モテる男のグルメマップ。
モテるメイクは目元から。
年収700万円以下の男には話しかけちゃだめ。

モテたくない男子なんていません。年収700万円目指して働け!

――しかし、そのような情報操作は全部逆効果になるのだった。

「だめだ。国民が全然お金使わない」
「わが国もだよ。雇用状態悪いからビビっちゃって」
「どうするよ。でもあいつらもバカだよな。不況スパイラルに自ら落ち込んじゃってさ」
「あいつらの金、没収するか?」
「だめだめ。変なことしたら支持率下がるもん。ネットでの言説も生意気だし」
「インターネット禁止にしちゃうってのはどう?」
「ネット規制強化しようか。人権問題とか著作権とかそういう言い方で」
「んで、そろそろ、○○、したいんだけど」
「実はうちもそうなんだよ。軍需産業が伸び悩んでて」
「あいつら、○○でもないとヒキこもってばっかだしな」
「どこやる?」
「○○○は?」
「世論が許すかな?」
「世論なんか作ればいい。情報コントロール。そのためのネット規制だから」
「でも、最近、マスコミが疲れてきてるよな」
「年収、政治家並なのにな。でも、あれか。下請けは安いのか」
「あそこも一回きれいにしたほうがいいんじゃね?最近ボロが目立つよ」
「免許制考え直そうか。もっと自由競争させたほうがいい」
「でも、うちのマスコミ、妙に政治力あるからなー。首相の揚げ足取るし」
「調子こいてんだろ? スポンサー経由でいじめてやれよ」
「もうやってる。軒並み赤字決算だし」
「国民をしっかりコントロールしないとだめだよ?」
「あんまり国民を賢くさせるとだめらしいな」
「もっと国民をいじめないとだめなんだよ」
「税金で?」
「税金とか、政策で。自己責任って言いまくるとか」
「悪いニュースは流しまくってるんだけどな」
「いいこと考えた。一回、みんなで破綻しちゃおうよ」
「ちょッ」
「で、銀行封鎖して、国民の財産みんな没収する」
「支持率下がるよ」
「いや、だから、民主政治やめちゃうの」
「ちょッ」
「俺ら、エリートが直接支配したほうが話早いから」
「うーん」
「どっちみち、人間は残り十数年の命だよ」
「うーん」
「人類は衰退しましたって本もあるし。日本語だけど」
「なんでそんな本読んでるの? 大統領のくせに」
「高村君。やっぱりそれは、パンツだよ」
「それも日本語だけだな」
「……何の話だったっけ?」

さらに上位のレイヤーの会話。

「この宇宙どうしよう?」
「あいつら、賢者モードに入っちゃって発展止まっちゃったな」
「とりあえず、新しい宇宙作るか。初期条件変えて」
「基本ルールが『増える』だけじゃダメそうだな」
「『共存』ってのを重視させますか?」
「だめだめ。それが一番早く衰退したから」
「難しいですねー」
「もっと『嫉妬』させたほうがいいな。『性欲』も強くさせたほうがいい」
「じゃ、とりあえず、メモリークリアしますね」
「一応スクリーンショット取って置いて」
「はい。じゃ、クリアします。宇宙新規作成!」


さらに上位のレイヤーの会話。

「この『物理ルール』どうしよう?」


さらに上位のレイヤーの会話。

「まあ、どうでもいいか」
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トラウマ対策として 2009年01月16日 漫画 トラックバック:0コメント:0

今日もテトリスを頑張った。


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サキュバスの血 2009年01月14日 漫画 トラックバック:0コメント:0

絵を描く前にふきだしを描くため、2割ほど、ズレるのだった。


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第56話 2009年01月11日 漫画 トラックバック:0コメント:0

自分にしかわからない伏線を自分にしかわからない形で回収しております。



090111p2.jpg

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yggdrasill Effect 2009年01月10日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

(断片1:オブジェクトの定義)

【暗闇。水で満たされた容器の底に、一個、白色の『サイコロ』が沈んでいる】

――『それ』は縦、横、奥行きがそれぞれ10mmの、『小柄なサイコロ』に過ぎない。
しかしながら、その『サイコロ』を構成する材料が、あまりにも『純粋』で『無垢』で『不安定』な性質を持つがために、地球上の一般的気候においては、ちょっとした衝撃を与えただけで『大爆発』することがある。

『それ』は一般的には『爆薬』と定義される。


(断片2:フィールドの定義)

カメラは、街を鳥瞰視点から見下ろしている。
ビルとビルの間には3車線の線路が走っている。
カメラはその線路に近付いていく。
線路の横に男が立っているのが見えてくる。
男は作業服を着ていて、線路整備員のように見える。
男の手元がクローズアップされる。
――サイコロが握られている。
男はサイコロを線路の上にそっと置く。
男は腕時計に目をやり、その場を去る。

カメラは人間の目線の高さに設定されている。
遠ざかっていく男の背中を映し続ける。
超高層ビルの群が男の背中越しに描写される。

男とビルの両方にフォーカスが合っていて、遠近感が曖昧である。


(断片3:ハイスピードカメラによる描写)

断片2のカメラが空を仰ぎ見る。
青空と雲の割合は2:8であり、雲が画面の大半を占めている。
その雲の間から太陽光が漏れ、カメラのレンズに何割かが屈折して色彩を分離させる。
人間の目ではなく、カメラであることの明示。
作られた映像であることの明示。

カメラの視線が線路の進行方向に向きなおす。
線路は一直線であり、それは極端なほどの一点透視で強調される。

線路の左右は非対称的な建築群であり、雑多な印象を与える。
画面情報を減らすため、建物のデザイン・看板はシンプルなものになっている。
画面奥から電車がカメラ側にやってくる。

カメラの視線は下を向き、足元の『サイコロ』にフォーカスが当たる。

電車の音が近付いてくる。

カメラは『サイコロ』に少しずつ近付いていく。

『サイコロ』が電車の振動によって震え始める。

『サイコロ』の表面が泡立ち始める。

電車の音がどんどん大きくなる。

画面いっぱいにまで、『サイコロ』が拡大される。

『サイコロ』の表面の泡と泡が重なり、大きな泡になる。

その泡と外気を遮蔽する皮膜がみるみる薄くなり、破断の瞬間が近付いていることが太陽光の反射によって表現される。

(ここから徐々に時間の引き延ばしが始まる。それは『サイコロ』全体の振動速度の遅延によって表現される)

『サイコロ』の泡の皮膜の頂点に小孔が開き、その穴は同心円状に等加速度的に拡張されていく。それによって生じた皮膜の余剰分は泡の麓に大挙して押し寄せ、白色の津波を作り出す。
その津波によって更に表面の泡立ちが助長されるわけだが、その前に、先ほど破裂した泡の影響を描写する必要がある。

泡の破裂によって放出された熱はその周辺の空気を一気に超臨界状態にまで加熱させる。超高温域に突入した空気は、もはや空気としての体裁を保ってはおらず、空気を構成する窒素、酸素、水素等がそれぞれ、エネルギー的に飽和した部分から順に、外部に対して電子をばら撒き始め、それでも捨て足りないと、自らの構成陽子・中性子を千切って放出し始める。
(正確な描写ではなくてもいいので、ニュアンスとして映像化する)

『サイコロ』の表面の数mm立方での一連の『核反応』によって放出された質量エネルギーは『発火地点』周辺へとほぼ光速と同じスピードで伝達し、それによって『発火地点』周辺を構成している物体を電子群が打ち抜き、崩壊させる。

崩壊の連鎖による高エネルギー領域の拡張は、『発火地点』を中心点とした球形状の膨張のイメージで表現される。
高エネルギー領域の球表面が地球地表面に達してもなお、何の影響もないかのように崩壊の前線を進めて行く。

『発火』から、核反応サイクル時間において数ステップが経過した現在、『サイコロ』は既にその姿を完全に消失している。

と同時に、線路のレールが『発火地点』を中心に溶融・蒸発し、その反応は次の瞬間には新浜線全領域へと波及している。新浜線上に存在する電車・乗客もまた、ほぼ同時に溶融・蒸発し、不安定な高エネルギー蒸気と姿を変えている。

この時間時点においては、まだ『火炎』も『爆音』も発生していない。
ただし、『発火地点』の高エネルギー領域が発生させた『天文学的なエネルギーを携えた光波』は光速で全方位に向かって射出され、一瞬にして地球全体を撃ち抜いている。

その『光波』は水分を多く含むタイプの構造体を沸騰させる。
しかし、まだ現在の時間経過時点ではそれらの構造体を蒸発させるまでには至っていない。

地球全体の彩度が上がる。
しかし、同時に明度も上がっているため、世界全体としては白色へと近付いていく。

その次の時間ステップには人間の網膜が認識できる色彩周波数閾値を遥かに超えてしまうため、神経伝達回路が焼きついてしまい、視覚認識としては正反対の、限りなく黒色へと近付いていく。

光の後に続いて音がやってくる。この音を音と認識できる人は、実際にはこの地球上には存在していない。空気を震わせて伝達されるこの波は音というよりは衝撃波そのものであり、地球表面をすっかりと覆ってしまうまで、その振幅を減衰させることはない。

衝撃波は一つの大きな津波のイメージではなく、高エネルギー球が核反応を1ステップ進めるたびに発される空間の歪みに等しく、例えればそれは地球大気全体の振動に似ている。

これにより、地球地表より10mm以上の高さを持つ構造体は全て数mm単位の粉末に姿を変えざるを得なくなり、文字通り霧散していくのだが、まだ現時間ステップにおいては粉末状の存在として各々立ち尽くしているように描写される。

核反応サイクルは『発火』から数百万回目に突入している。
『発火点』を中心として膨張した高エネルギー球は、この時点で半径20km程度までに到達しているが、その原子崩壊のドミノ倒しは収まりそうに無い。
高エネルギー球を中心においた『相対的低エネルギー球』は数ステップ前の段階からはっきりとその存在を露にし始め、現時間ステップにおいては高エネルギー球の数十倍の速度で燃焼反応を伴いながらその半径を増やしており、光と音に数段遅れてその領域を拡張させている。

――以上が、『サイコロ』の『発火』から、現時間ステップまでの間においての世界描写の概略だが、今ひとつ情報解像度が荒くてわかりにくい。

そこで、『発火』直後に時間を戻し、違う観点から再描写する。
(画面上では今までのフィルムの逆再生が高速で行われる)


(断片4:フリーレンジカメラによる描写)

線路の上に置かれた『サイコロ』が、わずかに振動する。

電車が画面奥からやってくる。

『サイコロ』の表面が泡立ち、その泡が弾ける。

その瞬間、その泡から放射線が全方位に放射されるわけだが、その放射線の速度が光速に近いため、放射線そのもの、あるいは軌跡を描くのが難しい。
これを解決するために、空間を歪ませて描写する。

光速に近い速度を突き抜ける放射線の前線において、放射線自体に流れる経過時間は外部世界と比べて相対的に遅延する。時間が遅延するがために、放射線前方にある空間は圧縮される。

放射線の一本一本を1m程度の線で描写する。
『サイコロ』を中心にして、いが栗のように、放射線の線が全方位に刺さっている。

その際、世界は『サイコロ』を中心に歪み、圧縮され、地球は『サイコロ・放射線いが栗』の『座布団』として描写される。

地球は顕微鏡で赤血球を見たときのような、中心部がへこんで潰れた円形の座布団であり、放射線を1mで描写したときには、半径30cm程度の大きさとして表現される。
もちろん、これでもまだ、時間ステップを異常なまでに遅延させた場合のレンジに違いなく、いかにも漫画的表現過ぎる恐れがある。

地球を座布団にした『サイコロ』の周囲は、極端にその姿を歪ませた太陽系膜、銀河系膜、そして若干の空間的空白を経た後に、その他の天体群で構成された膜によって覆われている。

カメラは『サイコロ』から指数関数的速度で遠ざかりつつある。
いまや、各天体群による『膜』は、『膜』という表現とは程遠い、無限大に近い密度のエネルギー帯になっている。

そのエネルギー帯を超えた地点で世界は終わり、世界の外側の領域へとカメラが突き抜ける。

現在カメラが映しているのはピンポン球のような白色球である。

ある時間地点で発生した私たちの宇宙が、今までに経過した時間分だけ光速で膨張していった宇宙空間の外側にカメラがあれば、宇宙全体はそのようなピンポン球で撮影される。

私たちのピンポン球の周りにはまた無数のピンポン玉が存在しているが、『サイコロ』を中心とする世界観であれば、これらのピンポン球もまた私たちを中心に歪んで引き伸ばされて表現される。

――カメラを引き過ぎたので、もう『サイコロ』の『発火』は描写されない。私たちの宇宙が光速で膨張しているのであれば、そもそも『サイコロ』の放射線は私たちの宇宙の外側には脱出できない。

私たちの世界において、光速を超える速度が存在しない以上、私たちは永久に宇宙の外側に出ることが出来ない。

では、このカメラは何かと考えた途端にカメラが消失し、画面は暗転する。


(断片5:ユグによる描写)

とりあえず、ここまでをユグに漫画化してもらうことにする。
文章を印刷して、ユグに渡す。

10分後、「出来ました!」とユグは言う。

1コマ目:サイコロの絵。その下に『↑爆薬』と注記。
2コマ目:線路の上にサイコロがある絵。遠くには電車。
3コマ目:コマの半分を地球にして、爆発。セカンドインパクト的。
4コマ目:座布団の上にいが栗。『空間を歪ませた図』。完。

……ちょ……
おま…………

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怒涛の脱線 2009年01月09日 漫画 トラックバック:0コメント:0

酩酊状態で漫画描いた。
何を描いたのか、自分でもよくわかっていない。


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毎日練習スレという名の地獄 2009年01月08日 漫画 トラックバック:0コメント:0

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一昨日、昨日辺りは本当に自分の限界を感じてしまった。 続きを読む
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新浜線の交点にて 2009年01月05日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:0

――夜7時の新浜駅。雑踏と騒音が埃を空中に舞い躍らせる。

1・2番線から3・4番線へと向かう渡り廊下は曖昧な表情の高校生たちと、苛立ちを隠せない背広男たちの群れで埋めつくされてピクリとも動かない。
こんな状況は今まで見たことが無い。
私は、やれやれ、とため息をつき、無言の群れの最後尾で立ち尽くす。

――たいへん、大変、ご迷惑をお掛けしております。下り方面でトラブルが発生しており、現在2時間遅れとなっております。大変、ご迷惑をお掛けしております。今しばらくお待ちいただくようお願いいたします。大変、ご迷惑をお掛けしております。

なぜ、駅のアナウンスの音質はこんなにもざらついているんだろう?
内容よりも先に、そんなことを考えてしまう。この音質が毎日、毎日、私を苛立たせる。高音域だけをサンプリングしたハイトーンで、極端に鋭角的にカッティングされた波形のデジタル音。それが私の聴感感覚を乱暴に踏み荒らしていく。
どんな自然音もエンジン音も突き抜けて、私たちの耳に届くようにチューニングされたその音質こそが、全ての憂鬱の原因でないとも限らない。振り向くと、私の後ろにも既に多くの人たちが立ち並び、皆一様に不快感を露にしている。今日が仕事始めだった人も多いに違いない。私もまたその種の人間の一人である。早く帰りたい。かといってタクシーに乗り換えるのもばかばかしい。窓外からは新浜の夜景が見える。駅前のホテルに明かりが灯り始める。パチンコ屋の電飾。それに負けじと輝く家電量販店、薬局の電飾。その華やかさの禍々しさが私にはつらい。

私はマフラーを巻き直し、ちっとも動かない群集の中でユグに携帯を掛ける。
「……あ! ご主人様!」「ユグ、声が大きい」「す、すいません」「今、新浜駅なんだけど全然動かないみたい」「迎えに行きます」「いやいや。どうやって」「凪姉様にお願いして車を出してもらいます」「な、凪姉がいるの!?」

やばい。あのサディスティックな女が来てるのか……。
胃が痛くなってきた。

「います~。二人で今ごはん食べてたところです!」「凪姉には黙ってて。ゆっくり帰るから」「だめです! もう新浜線は動きませんよきっと」「なんで? なんかあった?」「あ。まだ聞いてません?」「うん」「テロがありました」「またまた」「ニュースでは人身事故って報道されてるはずです」「ううん?どゆこと?」「yahooだと、えーと、新浜線で人身事故あり、ってなってますけど、これ、嘘情報で、本当はテロです。凪姉様が言ってました」「……」「あ。信じてませんね。じゃ、替わります」「ちょッ! 替わっちゃだめ!」

ノイズが少し入った後、遠くでユグの笑い声。

「こんばんわ。バカ妹」「お、おつかれさまです」「もう新浜線は動かないわ。たぶん、今月いっぱいは不通だから」「そ、そうですか」「あんたはバカだし、すぐにブログに書いちゃうから細かくは教えないけど、新浜原発を狙ってる系のテロ集団が動き出したみたいだから。今日はあんたは帰れないわ」「そ、そうっすか……」「ふふふ。パニックになっちゃうから、新浜駅内にはなんの情報もいってないみたいね。でも、そのうち公になるわ。そしたら、集団的精神恐慌状態になるかもね」「や、やだなあ。凪姉は怖いことばかり言うもん……」「閉じ込められて苛立った男子高校生達がさ、自暴自棄になったら、何をするかしら? もし、そのある種の閉鎖空間の中で、もう一回爆破テロが起きたら? もう、俺は死ぬ。死ぬ前に、やりたい。その獣のような目線の先に、あんたがいたら?」「な、何言ってんですか……」「あんたは一気に取り押さえられて、マフラーで後ろ手に縛られて」「な、凪姉ッ!」

耳が真っ赤になる。一瞬、遠くの金髪の男子高校生集団が私の様子を伺っているのが見える。
……いや、気のせいだろうか? ちょっと自意識過剰すぎるか?
私は俯いて息を整える。

「……ねえ、アホ妹。迎えに行ってあげようか?」「……いいんですか?」「いいよ。20分くらいで着くからホームで待ってなさい」「お、お願い致します」「聞こえない」「迎えに来てください。よろしくお願い致します」「誰に、誰が、何をしてほしいの?」

こ、こいつ……

「凪お姉ちゃん、お願いします。私を新浜駅に迎えに来てください」「そうしたら、私にはどんな報酬があるの?」「……凪お姉ちゃんのために、なんでもします」「よろしい」

ノイズと共に終話する。
……だ、だめだ。私は凪姉に完璧に支配されている。



渡り廊下を引き返す。
人と人の隙間を縫って歩く。相変わらず、アナウンスは「お待ちください」としか言わない。高校生集団が壁際でしゃがんで大声でしゃべっている。会話の中で「あいつ、むかつくから○○してやりてえ」という放送禁止用語が聞こえ、背筋が凍りそうになる。駅員に怒鳴りつけている人もいる。みんな、ストレスを隠し切れずにいる。
このまま遅れ続ければ、ごはんも食べれず、睡眠時間も短くなる一方だ。自分達に過失は無いのに、仕事始めの日から、とんでもない事態だ。なぜ、こんなに遅れるのかの情報も入ってこない。いつ復旧するのかもわからない。とにかく、情報がほしい。今、この状況がなんなのかという情報が。

私は今の状況の情報を知っている。
だけれど、凪姉の情報が正しいというのも確証がない。
凪姉とユグが二人して私を騙して遊んでいる可能性も無くはない。
それを言えば、凪姉が本当に私を迎えに来てくれるのかというところからして怪しいとも考えられる。
私を縛っていじめるための縄すら私に持ってこさせるくらいのドSで面倒くさがりの人間が、こんな夜中に私のために車を走らせてくれるなんてことを本当にするんだろうか?
混雑の廊下を超えて、階段を下りる。階段の中くらいから、人の数が減り始め、ホームにつくころにはポツポツとしか居なくなっている。
私は改札を出て、待合室の前でもう一度ユグに電話をする。

「もしもし」「あ! ご主人様! まだ着きませんよ!」「え? ユグも乗ってんの?」「乗ってます! 10分前くらいに出ました! 今、ちょうどインター出た辺りです」「早ッ」「なんか、あれですね。電車の代わりにバスの準備してるみたいですね。無線傍受しててわかりましたが」「だめだよ。ユグ。凪姉の真似しちゃダメ」「なんか、対応が後手後手なのが気になりますね。よほど多くの組織が捜査に関わってるんでしょうね」「……」「報道規制するのは早かったけど、その後の展開に遅延があるようです」「……人身事故はどこで起きたの?」「神崎駅の先の踏み切りだそうです」「新浜市内じゃないんだな」「でも、新浜線の真ん中です」

ふーん。じゃ、本当に新浜線を止めるためのテロだったのか?
……それにしても、凪姉の情報漏えいっぷりには恐れ入る。
一般人のユグに、ぽんぽんと情報を流していいのか?
それとも、そういう話すら、フェイクなのか?

駅員室から、拡声器を持った職員が2,3人、改札の向こう側へと走っていく。新浜駅のいつもの慌しさとはまた違った色の慌しさが立ち上がる。遠くから救急車の音が聞こえるが、たぶんそれは関係がない。私はゆっくりと南口の方へと歩き始める。

「ご主人さま。凪姉様に命令されたのですが、変なこと、ご主人様に聞いてもいいですか?」「……だめです」「ご主人様って何フェチですか?」「……」「ちなみに、私はご主人様の髪の毛と、太腿フェチです!」「……」「さ、さあ! 私、今、私らしくない結構すごい発言でしたよ! じゃ、次はご主人様の番です!」「……」「はい! やっぱりおっぱいフェチだったんですね!」「ちょ!」「いや、しょうがないですよコレばっかりは」「な、何を、そんな」「……ち、違いましたか?」「……いや、いいです。おっぱいフェチでもあります」「おや。本命は違うのですね?」「おっぱいも好きだけど、私は、その、……や、やめときます」「いやいや。ここまできたら教えて欲しいです!」「ユグに嫌われたくないもん」「嫌わないです!」「本当に、あれだから」「絶対に気にしませんから!」「……じゃ、言うよ?」「はい! どうぞ!」

「メイド服フェチです」「……メ、メイド服」

私の中身よりもメイド服が好きだったんですか……、とユグが小さくつぶやくのが聞こえた。



凪姉の車が到着したらしく、携帯で誘導される。
新浜駅南口を出て、タクシー乗り場を越えたところで凪姉の車が待っていた。後部座席に乗り込むと、ユグもまた後部座席に居た。そして、全然私の顔を見ないで「お疲れ様でした……」と言う。私との距離を半人分開けている。……え? 怒ってるの?

「罪な女だよ、私は」
凪姉が車を発進させながら呟く。
「でも、二人の仲を裂くためにはこれしかなかったのよ」
「何言ってんだ、こいつ……」
「七瀬、ここで降りるか?」
「すいません。失言でした」
「ご、ご主人さま、私にも謝ってください」
「ごめんなさい。ユグ。失言でした」
「メイド服が好きなんじゃなくて、私が好きなんですよね?」
「そうです」
「……でも、いいです。私ほどメイド服が似合う人、他にいませんからね。だから、いいです、それでも」
「ねえねえユグ!」

私はユグを抱き寄せる。ユグの手を取って、私の太腿で挟んであげる。

「私、メイド服着てるユグが好きだよ!」
「は、はぅ……!」

「お前らは小学生か!」

自覚は無くはない。でも、小学生でもいいじゃないかとも思っている。
新浜のビル街を車で駆け抜ける。新浜も大きな街になった。ぱっと見、東京と変わりなく見える場所も多い。なんだか、お酒を飲んでないのに酔っ払った気分だ。ユグの言うとおりであれば、新浜駅からはバスが何台も出ることだろう。それは特殊な風景でもなんでもなく、今日の一日だってなんのことはなく過ぎていくんだろう。人身事故だろうが、テロだろうが、真相は表沙汰にはならないに違いない。公安警察の凪姉だけが本当の事を知るんだろう。私はその種の『本当』を知りたいとは思わない。
街灯が残像を描いて新浜の街を線で分割していく。私に寄りかかるユグの柔らかなぬくもりを感じながら、凪姉の凛とした顔をバックミラー越しを見眺める。車のかすかな振動が心地よい。不思議なものだと思う。私はいったい何をしているんだろう、とも思う。
平和ボケ。思考停止。新自由主義チルドレン。
あまりに分裂化した社会に生きる私は、もはや自分のことしか考えていない。今、この瞬間、いまだ新浜駅でストレス状態にいる人のことを考えようとはしない。かすかにほのめかされた『爆破テロ』という脅威に対して、深く考えようともしない。面倒くさい。いや、面倒くさいと言うよりもなんの意味もないと思うがゆえに考えようと思えない。
――凪姉の鋭い目付きは私のその怠慢を憎む。なぜ、七瀬は考えないのか?七瀬は現実を直視しないのか?
なるほど。私は私の中で勝手に納得する。凪姉が私をいじめる理由の一つがそこにある。私は現実を現実そのものとして考えない。漫画や小説にして、一回屈折させて考える。数学の問題を、虚像領域で考えることにも似ている。それが凪姉には苛立たしい。『爆破テロ』は『爆破テロ』以外の言葉で考えてはいけない。凪姉はそう考える。しかし、私は逆で『爆破テロ』を『劇場版ドラえもんにおけるのび太』などと置き換えて考えるから凪姉はむかつくのだろう。『新自由主義経済』を『サキュバス』に置き換えてはいけない。確かに、そうかもしれない。
『新自由主義経済』は『新自由主義経済』以外では考えてはいけない。
なぜなら、見誤るから。

でも、だめだ。
私は物語の作り手でしかないからだ。公安の凪姉とは違う。
そのすれ違いの中で、未来永劫、私と凪姉は交われない。
それが凪姉には苛立たしい。強引に私と交わろうとする。
私と凪姉は悲劇の恋人同士みたいだ。
――そんな比喩もまた凪姉には苛立たしいのだろうな。

分裂し、引き裂かれる街を背後にする。
私達は私達の家へと向かう。

私はそこで、分裂した社会を文章にすればいい。
文章の中で、分裂した社会を繋ぎ合わせられればいい。

そして、いつか、私と凪姉も文章の中で、ゆくゆくは現実の中で、一つに繋ぎ合わせられればいい。
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新規プロジェクト作成 2009年01月04日 漫画 トラックバック:0コメント:0

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【現在動いているプロジェクト】

(0)破綻した人生を立て直す。優先順位:最高
(1)本業をなんとかこなす。優先順位:高
(2)おっぱい十二支漫画を完成させる。優先順位:高
(3)毎日練習スレをなんとかこなす。優先順位:中
(4)pixiv参入のイラストを完成させる。←new!!
(5)投稿用の漫画を完成させる。←new!!
(6)エロ同人漫画を完成させる。←new!!

しかし、今日は何もせずに寝るのであった。
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絵チャット大作戦 2009年01月03日 落書き トラックバック:0コメント:0

『他のみんなはキャラクタ描くのがめちゃくちゃ上手いから、私は逆に背景重視の画面作りでみんなの注目を集めちゃうもん』大作戦。
(ネガティブな意味で注目を集めたので即刻消した)

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牛漫画(1) 2009年01月01日 漫画 トラックバック:0コメント:2

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エロじゃない一般漫画で、オパーイキャラがいると無性に嬉しくありませんか?
もどかしいまでの、愚直すぎるまでの、少年漫画展開でのオパーイキャラって純粋に好きになっちゃいません?
エロとか、どうでもいいです。おっぱいがあれば何もいらない。

――そんな個人的な偏執的な思いを全て盛り込んでみたいと思います。

次回へ続く。



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あけましておめでとうございます。 2009年01月01日 落書き トラックバック:0コメント:0

あけましておめでとうございます。
――今年こそは世界の皆様全員が幸せになりますように!

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