けいおん! 3期が『じゃずけん!』になっても全然かまわない。 2010年07月30日 けいおん! トラックバック:0コメント:0

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最近の生活パターン。

けいおん!を見る⇒論文を読む⇒今日もやられやくを読む⇒けいおん!を見る⇒論文を読む⇒(ループ)

論文は大学時代より社会人になってからの方が頭にすこーんと入ってきます。
けいおん!も。
おそらくは。

けいおん!! BD1巻が明日届く予定なので今日はもう寝る!



拍手ありがとうございますー!
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あまりの暑さにユグも吹っ切れた。 2010年07月25日 落書き トラックバック:0コメント:0

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「……そ、そんなものすごい変態的なこと、私、無理です絶対!
 そんなことしたことも考えたこともないです!
 そんなことしたら、もう恥ずかしくて生きていけないです!
 第一、そんなこと社会的に絶対許されませんし、一つの生命体の行為として考えても滅茶苦茶おかしいと思います!
 で、でも、だからこそ、しちゃいます!!
 私、ご主人様が望むなら、どんな痴女痴女プレイだってしちゃいます!!


(ただしユグ基準のプレイに留まる)

●●

猫から見た人間社会は実に滑稽で馬鹿馬鹿しいものだった。
――というのが、『我輩は猫である』の通低音である。

その二番煎じとして、メイドさんから見た人間社会というのを書こうというタイプのアイデアは一般的に存在しており、
また、それらの物語が別段目新しい内容にならないことも同様に広く知られている。

殺人事件や情事を目撃してしまった家政婦の物語は数多く存在する。
大抵、家政婦ないしメイドさんは必死に人間関係の修復を試みることになり、
結果として事件を解決したり、夫婦仲を復活させたりする。

このことから、メイドさんは『家族』という閉じられた小さなコミュニティーゾーンに突然発生した『観測点』かつ
『力点』として作用するひとつの装置であるといえる。

なぜそのような役割のキャラクタが『メイドさん』という属性でなければいけないのか、
という問いかけには単純明快な解答が存在する。
――メイドさんは『理想的な他者』だからだ。
長い歴史を持つ『家族』に他者が入り込む場合には、学校の先生だったり友達だったり隣人だったりという、
上下関係が可逆的となる可能性がある属性があだになる。
学校の先生には逆らえないし、友達には空気を読むし、隣人に迷惑を掛けても面倒なだけだ。

その点、メイドさんには命令し放題だし、暇なら遊び相手になってくれるし、
八つ当たりや愚痴をぶつけても許してくれるし、いつも気を使ってくれるし、
もしもなんなら夜は布団の中で添い寝してくれたりもしてくれる。

いやいや、そんなメイドさんは漫画の中にしかいないから、
――と思う人もいるかもしれない。
私もそう思う人間の一人である。
しかしながら、世の中は不思議なもので、想像しうるものはだいたい存在しうる。
いやいや、いくら想像しても100mを5秒じゃ走れないし、
――と思う人もいるかもしれない。
しかしながら、計算してみればたったの時速72kmくらいのスピードであることがわかり、
すなわちその程度ならば車を走らせればすぐに達成できる。

メイドさんとはそのような類の願望の達成に似ている。
だからこそ、物語においては『漱石の猫』同等の立ち位置を獲得することができる。

――私はそんなことを思いながら、私の横に寝ているユグを見眺める。
ユグは私に顔を向けて横向きに寝ている。

ユグの寝顔はハムスターに似ている。

ハムスターの寝顔を見たことがない人のために簡単に説明する。
一言で言えば、これ以上ないだろうというくらいの幸せそうな気持ちよさそうな寝顔のことである。
なぜ、ハムスターはこんなに満たされた顔で寝ているのか、私はいつも不思議である。
その不思議さがユグにも当てはまる。

ユグはなぜ、こんなにも幸せそうな顔で寝ているのか。

ユグに悩みは無いのだろうか。

でも、悩みがあってもなくても、寝るときくらいは幸せそうに寝たいな、と私は思う。
かくいう私も自分の寝顔が実はハムスターに似ている可能性もなくはない。

ユグの右手が私の側にある。
その手は軽く握られたグーである。
ユグの手は小さく、ふにふにしている。

なんとなく、私はその手にいたずらがしたくなる。
ユグを起こさないようにゆっくりと両手でその指の一本一本を広げようとする。
ユグのグーの手には力が全然入っていなかった。
ちょっと動かしてやれば、いくらでも自由な手の形に出来た。

私はユグの指の一本一本を広げていく。
そしてふやけたパーの形へと動かしていく。
ある程度指と指の隙間が出来たところで、そこへ私の指を絡めていく。

ユグのぬくもりが身体全身へと伝達していく。
私はこの手の繋ぎ方が好きだ。
なにか、特別な感じがする。
友達でもなく仲間でもなく家族でもなく師弟関係でもなく、
なにか、別な、異質な親愛関係。

私は目をつぶる。
手を繋いだまま、眠ろうとする。

眠る前に、色々考えごとをする。

頭の中で進行中の物語について。
私の将来について。
デフレを終了させるための過激な方法について。
物語の内容は文体に依存するのかどうかという件について。
世界全体の様々な要素の推移を正弦曲線で近似することの妥当性について。
漫画について。

私の脳内思考はふらふらと揺れ続けて一カ所に留まることがない。
暗闇に線を描いては消えていく『点滅する蛍』みたいに、青白い残像を瞼の裏に焼いていく。

結局のところ、どうなのだろう。
結局のところ、どこへ行くのだろうか。

私の人生はどこへ辿り着くのだろうか。
そのとき、私の中の物語はどのように変容するのだろうか。
できれば良い人生にしていきたい。
そのために考えること、行動することがそのまま物語になるのが一番いい。
私は私の人生をより良くしようと考える。
その考える過程が物語になるのが一番ベストだ。
時間が無駄にならないし、物語を深く考えることが世界を深く考えることに繋がるならば、
私はより一層、物語へと没頭できるようになる。

物語をただの妄想・夢物語にしてはいけない。
私はそう思う。
こうして布団の中で考えること一つ一つに意味が無くてはならない。
そうしなければ、時間を無駄に捨ててることになる。

物語は自分自身を高めるためだけに作らなければならない。
あるいは、自分の一歩先のビジョンを設計するために空想されなければいけない。

……と、威勢よく思うものの、実際にはそれが
どのような物語なのか、私の中には答えがない。
だけれど、その物語がどのような形態であるかは想像できる。

(1)その物語は世界の要素を全て含んでいる。
(2)その物語は世界の要素の外側に位置している。
(3)その物語を語ることが、世界を語ることに直結している。

だから、つまり、それゆえに、

(4)その物語は私自身をも含んでいる。

●●●●●●

発生し得ることは発生する。
発生率0.01%の『ほとんど起こり得ない』イベントも、実際には1万回に1度の割合で起こり得る。
工業製品ならば、1日5万個生産する部品の内、毎日約5個の不良が発生する程度の頻度。
これが些細なことなのか、致命的なことなのかは個々のケースに依存する。

ここでもうひとつ、発展問題として考えておくべきことがある。

不良発生率0.01%の部品を100個組み合わせて1つの製品と
なる場合の、製品としての不良発生率についてである。
もしも、部品段階で不良を発見できなかった場合、単純に考えて不良発生率は1%にまで跳ね上がる。

不良発生率1%は製品品質としてはNGである。
99個合格で、1個が不合格。
それはもはや工業製品としては成り立たっていない。
単純に製品価格と製品仕切(工場出荷時の価格)の差を見眺がめるだけで、その理由がわかる。

たとえば、コンビニ弁当で言えば、こうである。
(1)コンビニ弁当を10個売ったが2個余った。
(2)その2個を廃棄した。
(3)そのために、コンビニ弁当10個分の利益が消えてなくなってしまった。

●●

発生率0.01%の疾患。
これを多いと見るか、少ないと見るか。
判断は疾患にまつわる各種条件に依存するわけだが、そこには人生観というものも少なからず関わってくるだろう。
1万分の1という数字のリアリティーに触れたことがあるかどうかという経験が、そのまま人生観へと反映される。

もちろん、私にはそういう経験はない。

『魚の目、虫の目、鳥の目』という昔から言われる知覚スケールを想定するに、
私は実際には虫の目以上の尺度で世界を見たことがない。
見たことがないから妄想する。

ここで突然、物語が始まる。

世界は閉じている。
閉じた世界に住んでいる人間もまた閉じている。
彼ら、彼女らは生まれながらにして『閉じ師』であった。
彼らはとても上手に扉を閉めた。
梱包をした。窓を閉め、ドアに鍵を付け、目を閉じた。
世界はきれいに整理され、そしてラベルを貼られた後、密閉された容器に閉じこめられた。
もちろん、それは世界の表面をちょっとつねった程度のものでしかなかった。
けれど、実際にはそれで十分だった。
彼らは世界の表面にちょこっと群生している炭素系生命でしかなかったからだ。

ところで、『閉じ師』の反対の『開け師』が存在する。

発生率0.01%の割合で、『開け師』が生まれる。
世界の人口が10億人だったら、10万人の『開け師』が存在することになる。
それはちょっとした規模のCITYの人口に相当する。
ちょっとした映画のDVD売り上げ枚数に相当する。
ちょっとした深夜アニメのDVD全巻の売り上げ総数に相当する。
すなわち、そう大した数じゃないと見るのが素直な感想ではあるまいか。

そんなマイノリティーな『開け師』は今日も世界のどこかでドアを開けている。
封印を解いている。
心を開かせている。
開けなくてもいい何かも開けている。
開けて怒られるタイプの人間。

『閉じ師』から見れば、やらなくてもいいことばかり
して、不器用で、どうしようもない存在。
だから、『開け師』はいじめられやすい。
そして、『開け師』は自分が『開け師』であることに誇りが持てない。
劣等感。羞恥心。恥の多い人生を生きてきました。
開け師の中には閉じ師を演じるということで自身のコンプレックスを解消した者もいる。
属性転換。
まあ、それで幸せになれるならそれもまた人生なのだろう。

ところで、私は『開け師』である。

なんで?
と言われても結果論だからしょうがない。
私はいかにも『開け師』的な行動をとる。
閉じているものは開けてしまう。
封印は勝手に解いてしまう。
パスワードも南京錠も破ってしまう。
天の邪鬼とよく言われた。言いたい気持ちもよくわかる。

でも、『病気がそうさせた』だなんてことは私は言わない。
私は私のそういう属性であるがゆえにどうのこうの、という言い方はしない。
結果的にそのようにカテゴライズされてしまうにしても、そこには私の自由意志を織り交ぜたい。
私は私的な行動を行い、それが結果として『開け師』的になっている、という手順を踏みたい。
とはいえ、こんなのは私の内部処理に他ならず、殊更声を大にして言うべきことでもないかもしれない。

●●

うーん。
暑すぎて頭が上手く動かないので今日はここまで。

●●

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2DADD2 2010年07月16日 文芸(長文) トラックバック:0コメント:2

いつも忙しくて何事にも飽きやすいあなたのために、僕はこれから長々語ろうとしていた内容を5行でまとめる。

(1)僕たちの病院内に、ものすっごく可愛い、可愛すぎる少女がいるという噂が広がっていた。
(2)その少女は超絶的天才かつ超絶的頭が残念な子であり、簡単に言えば西尾維新の描くキャラクタみたいな感じであるらしい。
(3)僕はその少女のことが非常に気になる。探偵のように情報を集め、そして、少しずつ近づいていく。
(4)と、いう前振りからして簡単に想定できるオチが待っていて、その少女とは僕の同室の友達の『るきにゃん』だった。
(5)と、ここでどんでん返し。ここまでの話は実は全て『僕』のコスプレをした『るきにゃん』が語っていた。しかし、僕は僕のままである。


ということは。つまり。

……どういうこと?

●●

僕たちは常に物語の中のキャラクタのように生きなければならない。

最近、特に切実にそう思う。
例えば、MMO(大規模オンラインゲーム)の世界の中でMMOをする人はいない。
MMOのフィールドの中で、活き活きと世界を駆け巡り、身体を鍛え、みんなと力を合わせて困難に立ち向かう……、
というのがMMOの中で僕がしたいことであり、
MMOのフィールドの中で、MMOを立ち上げ、MMOをするという『多重MMO』などは当然、僕がしたいことではない。

上の書き方はちょっとややこしいかもしれない。

もっと簡単に言えば、僕は、
『MMOがしたいわけではない』。

僕は、
『活き活きと世界を駆け巡り、身体を鍛え、みんなと力を合わせて困難に立ち向かう』
ということがしたい。

だけれど、現実社会は複雑であり、色々な原因で上記のような素晴らしい生き方はできそうにない。
だから、MMOという『物語』を通して、上記のように生きようとする。

結果として、こうなる。
『MMOの中で、活き活きと世界を駆け巡り、身体を鍛え、みんなと力を合わせて困難に立ち向かっている』
上記の文章の余計なところを削除すると、こうなる。
『MMOをしている』

すなわち、結局のところ、僕は『MMOをしている』に過ぎない。


と、ここまでが前振りである。
上記の『MMO』はいかなる名詞にも置き換え可能であることは改めて言うまでもない。
MMOという言葉にぴんと来ない人は、自分の趣味をなんでもかんでも当てはめてもらってかまわない。
音楽、ゲーム、読書、マラソン、旅行、けいおん、ブログ、お絵かき……

要するに、本人は『何か(1)』を通して本当にしたい『何か(2)』をしているつもりでいるけれど、
結局は、『何か(1)』しかしていないということだ。

『何か(2)』は『何か(2)』を直接的にすることでしか行えない。
代替行為は代替行為でしかない。

だから、例えば僕が『物語の中のキャラクタのように生きたい』と思うならば、
やはりここは本当に『物語の中のキャラクタのように生きる』しかない。

その際に生じるギャップ、理想と現実の大きな差は『実際の行動でもって』埋めていかなければならない。

と、僕は9歳のときにそう思った。
そのときから、僕は僕のことを『僕』と呼ぶようになる。

●●●●

毎晩、るきにゃんは枕を持って僕のベットに潜り込んでくる。
そして、ほとんど一方的にしゃべりまくる。

「ごはんを食べながら、ちょっと私、思ったんです。
 あなたはご存じかどうかわかりませんが、5・6年前、
 『スーパーフラット』という文化的態度が流行ったんです。
 簡単にそれが何かを説明しますと、それはまさしく言葉の字面そのもので、『超フラットな思考』のことです

 まあ、絵でも物語でも文章でも思考でも行動でも、なんでもいいんですが、
 具体的に言えば、全ての奥行きを排除するんです。
 全てを平面的に捉えるんです。
 パースというものすら無いんです。疑似的に圧縮された空間という考え方すら無いんです。
 例えば、絵の場合ですと、それはもう、ベタっとしたぺなぺな平面的な絵になるわけです。
 空間が無いので構図というものがありませんし、そもそもカメラが存在しません。
 カメラは無いけれど、描こうという意志だけがあるわけです。
 だけど空間がないから全てが同一平面に列挙されてしまう」

るきにゃんはオレンジみたいな甘い匂いがする。
そして、声も甘い。
どんな言葉も丸く滑らかにしてしまう魅惑の声色。

「どうして、このような態度が流行したのかといいますと、
 時代としての文脈から発生した、いわば、発生するべきして発生した思考傾向だったのです。
 古来から少しずつ増加しつつあった情報量が、ある時を境に一気に爆発的、指数的に急増しました。
 人々は、情報過食状態になり、気が滅入ってきました。
 それは例えば、スパムメールが毎秒100通も降り注いでくる受信トレイを見て途方に暮れるのと同じようなことです。
 電子メールなら受信トレイを閉じればおしまいですが、現実はそうはいきませんでした。
 目をつぶっても、耳を塞いでも、生きるためにはいつかはそのポートを開かねばなりませんでした。
 ところが、開いた途端、目の前で待ちかまえていたメッセンジャーが伝言を始めるのでした。
 そのような情報環境の中、生物はやっぱりよくできているもので、やがて情報耐性というものが付き始めます。
 それは言ってみればフィルタリングというやつです。
 スパムメールと大事なメールを仕分けるために、全ての情報を同一平面に並べ、その内容の文脈を無視して、
 ただの文字列として処理することにしたのです」

ぎゅう。

……熱が入ってきたるきにゃんが僕の手を強く握るが、僕にはどうしようもない。
第一、僕はるきにゃんの言っていることの半分以上がよくわからない。

「ある文学者は、小説をバラバラに分解しました。
 書いた作者、出版社、時代、言語、そういうものを消去し、ただの文字列だけにしました。
 そうしないと、正確に小説を読むことができない、と主張しました。
 例えば、若い中学生が書いた小説だ、というイメージがあると、そのようにしか読めなくなるからです。
 長年の歴史の中でずっと奴隷として支配され続けてきた民族が歌う歌、というイメージがあると、そのようにしか聞こえなくなるからです。
 彼は全ての前後の文脈、奥行きを消去しました。
 そして、スーパーフラットな文字列のみを読むことにしました。
 音楽も、思考も、人生も、社会も、おおむね、そのような形で奥行きを失い、平面化しました。
 そのようにしなければならないという前提がまずあり、そして、そのようになっていったのです」

……うーん。
わからない。
どこか変な話だと思うが、どこが変なのかもわからない。
ただ興味がないからそう思うのかもしれない。

「そして、今もその思考をベースにして世の中は動いています。
 今、そのようなスーパーフラットという言葉が聞かれなくなったのは、すでにそれがベースとなって組み込まれているからです。
 すでにOSがそれになっているために、今更OSについて語る人はいませんから」

●●●●●●

インターネットを断って、1ヶ月が過ぎた。
インターネットだけではなく、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌を断って、1ヶ月が過ぎた。

禁断症状は2週間を過ぎたあたりから激しくなった。

溜まりに貯まったであろう、googleRSSreaderが気になって気になってしょうがなかった。
世界がすごく変わっているのではないか、何かものすごい魅力的な商品・物語が生まれているのではないかという妄想が途絶えなかった。

機会損失。
何か重要なものを味わえないのではないかという焦り。
悲しみ。
欠落感。

もしかしたら、タイムマシンが出来てるかも。
もしかしたら、不老不死の薬が出来ているかも。
もしかしたら、日本人全員に1億円ずつプレゼントされているのかも。

でも、僕はそれらを知り得ない。
閉じられた世界で閉じたまま生きて死んでいく。
あわれ。
閉じた人生。

と、思う反面、実際には世界は何も変わっておらず、詐欺師とノイズだらけなんだろうなあとも思う。
嘘を嘘で固めて、勢いで押し切ったり、
自分はこういうキャラですから、と悪い方向に開き直ったり、
自虐と自慢だけを垂れ流したり、
世界を恨みながら爆弾を自作し続けたり、
画期的な商品という名の普通の商品を出したり。

情報が途切れたせいで、僕は世界を良くも悪くも想像する。
実際、どうなんだろう。
世界は良くなっているのか、悪くなっているのか。
僕としては、±ゼロかなと思う。
でも、熱力学的には、少しずつマイナス方向へいっているのかなとも思う。

ここでいきなり話は変わる。

2次元アディクトのるきにゃんは当然ここでは2次元な情報を断っている。
2次元な情報とは漫画、映画、小説、ドラマ、いわゆる物語のことを指す。
なぜ、そんなものを断たなければならないのか、僕にはよくわからない。
でも、るきにゃんはその『なぜ』に超簡潔に答えを与える。

「私は、物語に欲情してしまうからです」

欲情。

って、何?

僕にはよくわからない。
わからないならそれでいいです、とりあえず私のベットで一緒に寝ましょう、と言われる。
なぜとりあえずそんなことをするのかわからない。
るきにゃんのベットはふかふかでやわらかかった。
ベット以上に、るきにゃんの身体がやわらかかった。

華奢。

無意識の内にるきにゃんをぎゅーっと抱きしめたときの感想が、華奢、であった。
変な気持ちになった。すぐにその理由に気付く。

あまりにもるきにゃんが近くにいすぎる。

僕が離れようとすると、るきにゃんの手が僕の服の中に入ってきた。
わわわ、と思って変なことをしようとしている手を押さえると、るきにゃんが僕の身体の上に乗ってきた。
重くて、いい匂いで、柔らかい。
そして、僕の耳に唇を当てて、小さな声で言う。

「私、今、欲情しまくりですよ?」

るきにゃんの唇がぬるぬるぬるぬると僕の首筋をなぞっていく。


●●●●●●

【物語 案(1)】

2010年にもなって、今更ながら、俺はブログを作ることにした。

もともと、俺は人のブログを見るのが好きなのである。
ブログには色々な種類がある。
ニュースサイト、役に立つ情報をまとめているブログ、
漫画を描いているブログ、漫画を描こうとしているブログ、
個人的な出来事を書き連ねる日記ブログ、嘘ばかり書いている日記ブログ……
その中で、俺はどんなブログを作ればいいのだろうか、と
ちょっと悩む。

まず、俺は俺の趣味のことを書こうと思った。
でも、俺はあいにく、大した趣味が無い。
趣味が無いから特技が無い。
知識も無い。何事にもやる気が無い。
楽器は弾けない。歌も下手。絵も下手。文章も下手。
映画は見てない。漫画も最近興味ない。
仕事だけの生活だから、仕事以外の知識はほとんど頭からなくなってしまった。
かといって、仕事の内容を書くわけにはいかない。
第一、仕事の愚痴ばかりになりそうだし、家に帰ってまで仕事のことを考えたくも無い。

俺はブログの投稿画面を前に悩む。

とりあえず、えろサイトに飛ぶ。
最近のお気に入りはライブチャットである。
えろ画像集めに飽き、AVに飽き、風俗通いに飽きた末のライブチャットであった。
重いトップページを読み込むと、チャット嬢たちが小窓にずらりと並ぶ。
素人はここで選り好みをするが、俺レベルになると選ばない。
どうせ誰でも同じであり、結局のところ選んでいる時間がもったいないことにいずれ気付く。
ログイン。入室。

「こんにちわー」

俺レベルになるとテキストチャットではなく、ボイスチャットである。
声の情報量はバカにしたものではない。同じ挨拶でも全く正反対の意味を込める事だってできる。

「こんにちわー。選んでくれてありがとー」

チャット嬢がヘッドセットマイクをしてカメラ目線。
俺側のカメラはOFFである。俺レベルになると、情報の絞り方をかなり工夫する。

世間話⇒チャット嬢のプロフいじり⇒リアル話(プロフの裏を読む感じの)
⇒セクハラ⇒俺はもう○○○○してるよ発言⇒カメラに写さなくていいからお前もしろ発言
⇒びしびしと調教する⇒終わり⇒世間話⇒退室

……ふう。

俺はブラウザのタグを閉じ、再びブログ投稿画面を前にする。

賢者モードの俺はブログについて真剣に考え始める。

まず、いくら頑張ってもお金はもらえないであろう。
別に人気サイトになろうという気はない。
自分に得する、自分にとって楽しいサイトにしなくてはならない。
自己満足でもいいではないか。
自己成長がそこにあれば。
単なる時間つぶしではない何かがあれば。

……で、それはいったい、どんなブログなの?

さあ?

結局わからないので、俺はライブチャットサイトに飛ぶ。
適当に選んだ嬢のプロフに人妻と書いてあったので、そこらへんをいじることにする。

「旦那さん、悲しむだろうな。こんなに可愛い奥さんがこんなことしてるなんて知ったら」
「……そ、そんなこと」
「ほら。手が止まってるよ奥さん。奥さん。ほら。ほら。どうなの? どうなの!? ほら!」

俺レベルになるとライブチャットがえろい理由が
『自分の声でセクハラ発言を堂々とすること』
にあることを知っている。
変な言い方かもしれないが、俺は自分の発言に興奮している。

「奥さん! 奥さん! いくよ! いく! 奥さん!」
「あっあっあっ」

ベタな官能小説そのもののように思われるかもしれないが、
ベタであるがゆえに興奮するというのもまた事実である。

「奥さん! 子供が悲しむんじゃない!? 子供が! 奥さん!」

ここまで来ると面白発言そのものかもしれないが、言葉面に意味は無い。
全てが雰囲気に支配されている。

誤解されると悪いのでここで重要なことを書く。
俺レベルになると、2回目以降は声のみプレイに終始する。

しかも、俺レベルになると、時間厳守。
無駄な金は使わない。

……ふう。

俺は再びブラウザのタブを閉じる。

●●●●●●

僕は情報断ち生活の中で気付く。
僕は僕の心の動きに非常に関心がある。
リアルな状況に自分自身が位置しているとき、僕はどんなことを考えるだろうか?
と、いうことに僕は非常に興味がある。

るきにゃんがいない昼下がり、僕は1つの着想を元に、小説を書き始める。

【物語 案(2)】

お絵かきブログを通して知り合った少女と僕はファミレスでリアルに邂逅する。
少女は制服姿だった。制服は制服だけれど、正確に言えばゲームの中の世界の制服だった。

「環姉」

と僕は少女に話しかけた。
少女は恥ずかしそうに笑った。ちっとも環姉には似てなかった。
だけれど、僕はそれでも全然満足だった。嘘だらけの現実。現状。偽物の環姉。

全然問題ない。

僕はそう思う。
僕は偽物を偽物として受け止める。愛してみせる。僕は少女を愛する。

「ゆのっち」

と少女は僕に話しかける。
僕もまたひだまりスケッチ的な制服を着ている。
髪型も出来るだけ似せて、性格だって出来るだけ似せてみせる。

嘘を嘘で塗り固めて。違和感だらけの偽物の世界。
だけれど、それは異常な状況かもしれないけれど、僕はむしろこんな感じが愛しい。

「いきなり本題だけど、環姉は最近はどんなゲームをしていますか?」
「え?」
「ごめんなさい。いきなりですけどw」
「うーんと、最近は、まあ、最近のゲームじゃないけれど、斑鳩ですね」
「斑鳩」

斑鳩。

これは僕の勝手な思い込みだけれど、斑鳩が好きな人はゲームが好きな人だ。
ゲームに『ただのゲーム』と『純ゲーム』があるとしたら、斑鳩は
『純ゲーム』に相当する。

僕はぎゅうっと手を硬く握る。
僕は斑鳩好きな人が大好きだ。逃がしたくない。
僕は斑鳩が好きだと公言する人全てが好きだ。

「斑鳩の、どんなところが好きですか?」
「全部が好きだけれど、強いて言えば、斑鳩のニュアンスが好きです」

ニュアンス。

ひるがえって、僕はどうだろう?
僕は斑鳩の何が好きなんだろう?

正直、僕はSTG好きとしては軽薄でミーハーなタイプだ。
レイディアントシルバーガン、いわゆるRS1に惚れ込み、そこで初めて
ゲーム製作会社としての『トレジャー』を知った程度の人間だ。

そして、トレジャーという名前を意識して過去を振り返って初めて、
ガンスターヒーローズ、ダイナマイトヘッディー、ガーディアントヒーローズ、
ゆけゆけトラブルメーカーズ、バンガイオーという往年のお気に入りのゲームが
全てこのトレジャー製作であるという事に気がついた。

前川正人。
井内ひろし。
NAMI。(仙波)
HAN。
スタッフの名前を追いかけ、その系譜を辿る。

メガドライブ。コナミ。ゲーム創世記。洋ゲー。
すなわち、ゲームの原点へと遡る。

斑鳩には、その歴史の全てが濃縮されている。
斑鳩はいかにもゲーム的である。
敵の配置は『この順番で倒してください』と言わんばかりだ。
だけれど、そういうのがゲームであるのだ。
このシーケンスの背景にリアルな物語が根底にあるかもしれないけれども、
しかしながらあくまでもこれはゲームではあるのだ。

ゲームに徹する。

僕が斑鳩について一言で言うなら、これに尽きる。

斑鳩はゲームに徹している。

ゲームである事に自覚的である。
ゲームとは何であるのかを知っている。

……(中略)……

環姉は僕にゆのっちであることを求める。
僕はゆのっちであろうとする。

環姉が僕の指の付け根を舐める。

僕はゆのっちであることに自覚的であろうとする。
僕はゆのっちとは何であるのかを知っているつもりだ。

●●●●●●●●●●●●●●●

本当って何だろう?

僕は突然そう思う。
僕は僕の文章を読み返して、なんだか嘘臭いと感じる。

少なくとも、ブログには本当のことを書かなくてはならない。

僕はそう思うが、脳内でしかブログを運営したことのない僕が言っていい言葉ではない。

話を変える。

会社帰りなのだろう、疲れた表情のおじさんがゲームセンターでゲームをしていた。
おじさんが遊んでいるゲームは古いゲームで、『魔法大作戦』というSTGだった。

僕はwikiで確認する。そして確信する。このゲームはおじさんが高校生だったころに
市場に出たゲームなのだ。
このゲームはおじさんの青春時代の背景だったのだ。

おじさんの疲れた表情を僕は遠くから見眺める。

ブレイブブルー、QMA、MFC。
僕の青春時代のゲームもいずれ古いゲームになっていく。

けいおん。ストパン。WORKING。荒川UG。
そういったものも、いずれ古いものになっていく。

僕はあのおじさんのように老いていく。
そして、ふと何かを思い出したかのように、ゲームセンターに立ち寄り、
その甘美な思い出に浸りながら100円を投下する。
荒々しいディスプレイ。今となっては雑な演出。ゲーム性。

色んなことを走馬灯のように思い出すに違いない。
嫌なこと、良かったこと、トラウマ、思い出し笑い。
懐かしい音楽と色彩。
時代は過ぎていく。思い出はいつだってやさしい。
やさしくて柔らかい。



残機を失い、おじさんは立ち上がる。
ワゴン車に乗り込み、エンジンを掛ける。

おじさんの脳内にはどんな絵が浮かんでいるのだろうか。
僕はそれを想像したい。

仕事。家族。ゲーム。過去の思い出。失った事。思い出したくない事。

国道は混んでも空いてもいない。
快適なスピードで車は進んでいく。
懐かしさが指先にまだ篭っている。あの頃のおじさんにはまだ可能性があっただろうか。
そもそも、おじさんの可能性とはどのようなものであったのだろうか。

押入れの中。
ダンボールの中。
そこにはおじさんの描いた、4コマ漫画が眠っている。
今となっては古い絵柄。ネタのテンポ。どうしょうもならない燃えないゴミ。
今更これらがどうにかなるとは、さすがのおじさんも思ってはいない。

第一、おじさんにはもう漫画を描こうという気持ちは残っていない。

おじさんは青春時代、毎日のようにつぶやいていた呪いの言葉を久しぶりに口にする。

『漫画は夢物語しか描けない』

その言葉は青い。
そして、その青さを、こんなおじさんになってもまだ、おじさんは引き継いでいる。
だから、ゲームセンターに行って、年甲斐もなく魔法大作戦を遊んでしまう。

家に着けば、色々な問題が待ち構えている。
子供の教育をどうするのか。妻は旅行がしたいと駄々をこねる。
会社の仕事は問題事を多く抱えている。貯金はゼロ。日本全体を覆う不況の嵐。

日常が待ち構えている。
おじさんを更におじさん的にしていく日常が、おじさんを今か今かと待ち構えている。

空は青い。その青さは今も昔も変わらないようであった。
おじさんはその精神状態が子供の頃から劇的に変わっているとは思っていない。
でも、おじさんはおじさん的にしか振舞えなかった。

おじさんはアクセルを踏み込む。
窓外の風景が若干歪む。
だけれど、おじさんの目は、何の感情もなく、ちっとも輝かなかった。

●●●●●●●●●●●●●●●●

僕はいつもセーラー服で過ごす。

病院の中だけれど、点滴をしているわけでもないし、安静にしてなければいけないわけでもない。
だからパジャマを着る必要は無い。
となると私服なのだけれど、私服を何着も持ち込むわけにはいかない。
だから、セーラー服になる。
学校の制服。まあ、芋っぽいが、僕らしいといえば僕らしい。

話は変わる。

病院には情報は何も無い。
人間関係以外に何も無い。
けれど、病院内の人間関係なんてそんなに面白いものでもない。

退屈しのぎに、僕とるきにゃんとで物語を創作しようとする。

物語のルールは無い。
整合性も必要ない。でも、部分部分のリアリティーはしっかりすることにした。

【物語 案(3)】

地平線は少しずつ天空へとせり上がっており、申し訳程度の雲を挟んで天井に達している。
針山のようなビル群がはるか遠くにかすんで見える。円筒型のスペースコロニー、新しい世界だった。

私は部屋の隅に佇んで、何をするでもなかった。技術は生活を豊かにし、昔で言うところの魔法を現実のものに
していったが、それによって人間が幸せになるかといえば、そうでもなかった。むしろ、どんどん窮屈になって
いるように思えた。
印刷技術が発達し、贋金が簡単に作れるようになった。すると現金は信用を失い、みなカード決算するようになった。
昔のカードはパスワードや非接触型のICチップだったが、利便性に欠け、これまた偽造がはこびるようになると、
人間に埋め込まれた個体IDを判別するタイプになり、しかしこれもまた犯罪の手から逃れられないのだった。
IDチップを埋め込むのは眼球の裏側と決まっている。ボリビアの高官の眼球を摘出したテロ組織が国連のネットワークに
侵入したニュースはまだ記憶に新しい。そうでなくても、金持ちは首を狩られる危険性がある。いつだって、どこだって。
昔は単純だった。大家さんの家に泥棒に入っても、現金などたかが知れていた。大家さんには土地も人間も残った。
今は違う。もし、首を取られてしまえば、どこでどんな借金をなすりつけられるか、想像がつかない。
完全に破滅する。首を取られた時点で死ぬのだが、そういう意味のわからない終わり方だけは嫌だと思う。

テレビはワイヤードに吸収されて消失していった。
地デジはその旗振り役だった。テレビ局はハリウッドにおけるパブリッシャーに転向した。
動画コンテンツ製作会社とパブリッシャーは完全に分離した。人間達の興味も分離した。
オタクは一日中オタクコンテンツを消費した。一般人はニュースやドラマなど、大衆メディアを消費したが、
オタクほど熱心ではなかった。そのため、金の流れ方はオタク側へと変わっていった。チャンネルは綺麗に分離した。
お互い、なんの興味も共通点もなかった。情報の共有は何一つ行われなかった。そして、広域に触手を伸ばした
アメーバのように、やがて栄養は希薄となり、盛り上がりに欠けていき、弱体化した。
(かの2ちゃんねるのように。板とスレッドを累乗的に増やした挙句、住民たちの興味は分散化し、弱体化した)



隣のアパートに住んでいる大学生はとても真面目な男子だった。
毎朝8時に部屋を出て、夕方6時に帰ってきて自炊して、夜の11時には消灯した。
土日はパチンコに精を出していたようだった。深夜に騒ぐこともなく、AVの音声を漏らすこともなく、
静かに大学生活を過ごしているらしかった。たぶん、勉強もしっかりやってるんだろう。
彼女をアパートに呼ぶことはなかったけれど、そこらへんもしっかりしてたんだろう。
ゴミ出しも問題ない。容姿は普通。車は無い。オタク趣味が少しあるかもしれない。私の妄想だけど。
テレビの音が聞こえるということもない。ゲームしてる音も聞こえない。ギターも弾いてない。
普通。普通過ぎて普通じゃないだなんて、そんなのは邪推というものです。

――でも、事実、彼は普通じゃなくて、ずっと私の身体を狙っていた。



――その男の悩みは色々あった。
まず、フィルムノワールをどう捉えるべきという悩みである。
フィルムノワールとは、俗に言う、『悪い映画』のことである。
犯罪を犯す主人公が出てきたり、薬や快楽に溺れたり、報われない人間を描いたりする、
なんとなく暗い映画のことである。この対極にあるのはハリーポッターだったりアルマゲドン
である。
人間を食べたり、少女を犯したり、真面目な良い人間を自殺に追い込んだり、
果たして、こんな映画が許されるのだろうか、そういう問題である。
結論は無い。
例えば、SINCITYである。見せ方がうまいから、エンターティメントになっているが、
へたすれば、狂気の犯罪者予備軍的な映画である。生きたまま手足をもぎ取られ、
生きたまま犬に内臓を食われる。さすがの俺も、どうしようか、と思った。
エンターティメントになっているから、許されるのだろうか。
返す刀が崩れ漫画に襲い掛かる。
許されるのだろうか。
許す? 誰が? 神が。

話は変わる。

こんな大人になりたくなかった、そんな大人になっている現状。
ゲームセンターに行った。いい大人のくせにだ。
斑鳩をやった。大往生をやった。1942をやった。グラディウスをやった。
閃激なんとかをやった。センコロをやった。とにかく色々とやった。
全然、気持ちが満たされない。夏休みの気分にならない。唯一、1942が良かった。
そのあとやったスターフォースもよかった。グラディウスもよかった。
昔のゲームで、なんだかSTGの大部分の要素が出尽くしているような気がした。
その気持ちを確かめるためにCAVEをやった。しかし、確かに、これはこれで面白い。
即ち、俺は何もわかっていない。
凄まじい寂寞感に襲われた。
逃げるようにゲームセンターを出た。
もうしばらくここには来られない。
俺の中で気持ちの整理がつくまでは。
気持ちの整理? なんの気持ち? 頭の中に虫姫さまのBGMが鳴り響く。
ついでに烈火のBGMも。どっちも並木の曲だ。並木の、何かが欠落しているがために、
STG的に聴こえる、あの楽曲たち。
1942の手ごたえは確かなものだ。このぶんだと、ゼビウスも相当面白いだろうな。
その流れでスターフォースが生まれて、東亜、アレスタ、ビデオシステム、カネコ、
ライジング、達人王、そして、CAVEだ。匠、童、トレジャー、そして、今に至るんだ。
しかし、1942のゆるやかな難易度曲線を体感し、俺は不安に襲われる。
なんなんだ。これは。ゲームとは、なんなんだ。俺は何をやっているんだ?



これは株主らの積もり積もった不満を反映したものである。
代表取締役には営業畑の芝浦実宇氏が着任し、新執行役員は「新しい感覚を持っている人物」を
多く登用した。

芝浦氏は株主総会の壇上にて、当鉄工所の現在のポジションと今後のビジョンを示した。

「新浜鉄工所は昔ながらの工作機械製作を主として行ってきた。
 最近では多角経営という名目で、映像メディア及び書籍の企画・販売も行っていた。
 しかしながら、正直なところ、先に述べたメディア産業への進出は失敗であった。
 第一に、技術力が乏しかったことが上げられる。4年の歳月と多くのコストを費やしてきたが、
 現場のモチベーションが高まらず、企画陣の自己満足の域を出ないものが多かった。
 メディア産業への投資は、本筋である工学産業への悪影響をも齎した」

「工学産業の品質やスピードに低下が見られ、未来技術への先行投資もストップした。
 幸いなところ、今現在では市場に迷惑を掛けるところまでは至っていないと判断しているが、
 しかし、このままでは弊社のブランド力の弱体化を齎す危険性が高い。
 元経営陣は、工学産業をさらに切り詰め、メディア産業への更なる投資を計画していたが、
 もはやそのような夢追いごとが許される状況ではないため、市場によって駆逐されたと考える」

「かといって、工学産業が明るいわけではない。工学産業は泥舟に近いかもしれない。
 しかし、メディア産業は工学産業以上に泥舟である。今後、メディア産業への投資は
 ほぼ完全に廃止する。残務処理は95%近く終了しており、メディア産業開発チームは
 事実上解散する。右の開発で培ったノウハウが完全に無駄になるとは考えていないため、
 メディア産業開発チームはそのまま工学産業チームに転属とする」



オナニーは自然に開始された。布団の中が湿った匂いを発していた。W32SAを酷使し、動画や静止画をDLし続け、50mm×80mm程度の液晶画面で情報を得続けた。その間、右手は激しく茶絵自身の性器とその周辺を蠢き、指先をくねらせていた。時折分泌される愛液を自身に擦りつけ塗りつけながら、彼女は自慰にふけっていた。1時間ほど過ぎ、ある程度の満足を得た。途端に性欲が失せ、メモリーに蓄えていたそれら情報を全て削除して、茶絵は布団を出た。不思議な気持ちだった。休日ごとに全く同じ事をしていた。情報は日々更新されていた。それを茶絵は消費していた。飽きもせず消費していた。そして、いつもメモリーを綺麗にしていた。茶絵はトイレに愛液をふき取ったティッシュを流した。そのとき、自分の乳房を強く鷲づかみした。もはやなんの快感もなかった。そこにあるのはただの肉のかたまりだった。茶絵は一種の虚無に襲われた。意味のない事を繰り返しているんじゃないだろうか私は。一時期、茶絵はあるワイヤード掲示板に精力的に書き込みを続けていた。そこではある厳しい文章的な拘束条件が課せられていた。しかし、その条件を満たしさえすれば、何を書いてもいい場所だった。それは一時期の日活ポルノに似た先鋭的な文章表現の場だった。茶絵は日中の仕事をしながら、たまにその掲示板について考え、現実逃避することがあった。生活を削り、ただ扇情的な文章を書き連ね、しかし作家本人は保守的な常識的な生活をし、何か黒いものを心の中で燃やし続けている。まるでゲイカルチャーのようだとも思った。茶絵のその掲示板への献身は、ワイヤードに接続する手段がW32SAしかなくしてしまった時から、少しずつ勢いを失っていった。今現在、茶絵はその掲示板を見ることさえまれになってしまった。茶絵は思う。私は停滞している。私自身が停滞してるのに私自身は日々老いていく。ムーアの法則に置き去りにされてしまったチップメーカーみたいに、停滞はもはや弱体化だ。だから、茶絵はテレビレス、ワイヤードレスを進め、自分内のリストラを始めていた。漫画・プログラミングも停止した。茶絵は工学とテキストの2本に絞った。人生の全てをその2本に集約するつもりだった。それくらいの覚悟、タスクの集中なくしてはこの停滞から逃げられないだろうと思ったからだ。事実、その方向性は支持された。家からはテレビ、ワイヤード端末が消えていった。唯一、W32SAを例外として。その例外に逃げ込んでいるのは事実茶絵であった。その例外からねじこむようにワイヤードに入り込んだ。その結果、茶絵は布団の中で自慰に耽り、貴重な時間を浪費している。しかも、そこにはなんの恒久的な価値がないことを証明するかのように、さっさとメモリーから情報が消されている。

視点はここで茶絵に移る。

私は便座から立ち上がる。水を流し、蓋を閉める。脳裏にこびり付いた残像は虫姫さまのレコだ。アコだ。もしくはアルトネリコ。郷愁に似たエロ同人誌。ヘタな絵も現代的な絵も同時に、床に原稿を撒き散らしたように、断片的に圧倒的な量で私の思考に展開されていく。これが私の病気だ。そして、私の敗因だ。少し昔、これを武器にしようと考えた時があった。非常にネガティブな世界ではあるが、しかし金にはなる。金になればいいのではないか。そう考えた時期がある。だが、実際には悪魔に魂を引き渡すことが出来なかった。やはり私は真っ直ぐに歩きたかった。町の裏を歩くことは好きじゃなかった。町の大通りは確かに私の居場所はないように思えた。つまらない会話で喜んで笑い続ける人たちを見ては、もう生きていけない、と思うくらいだった。しかし、町の裏もそれほどいいところではない。高橋源郎は町の真ん中にいつもいた。それは町の中で一番大きな噴水のある大広場だった。高橋源郎はその広場にござを広げていつも本を読んでいた。たまに高橋源郎は新聞記者に何かを託したり、競馬場を脚を運んだりしていた。私は彼が好きだった。彼のようになりたかった。だから、私もその公園に住み着くようになった。大江健郎がベンチでうとうとしていた。何か外国の本を膝元に置き、丸メガネの奥の目はしっかりと瞑られていた。その後ろのお茶屋では和服を着た筒井康がみたらし団子を食べている。私は私の身体がひどく扇情的に出来ていることを自覚していた。一時期は巫女装束やらメイド服を着ていたこともあった。それは今思うにあまりにも自意識過剰な気味の悪い姿であった。今の私は、しかし、巫女装束である。私はついに本当の巫女になったのだった。
高橋源郎が私の姿を見つけ、にこにこしながら近づいてくる。彼が私にとって何者にも変えがたい大切な人であるがゆえに、私は身構えてしまう。

――また春がやってきたね。もう二度と来ないかと思ったのに。

――そうですね。



突然、IKDに一通の手紙が舞い込んだ。
その封筒は真っ白な硬い洋紙で出来ており、中には1枚の便箋が入っていた。
そこには女性的な丁寧な字で、もうSTGは息絶えてしまったのでしょうか、と書かれていた。
IKDはとても嫌な予感がした。便箋を封筒の中に仕舞い込んだ。そして溜息をつき、コーヒーメーカーに手を伸ばした。
――STGは息絶えてしまったのでしょうか、だって?
息絶えては、いない。なぜなら俺がいるからだ。それは、俺も一時期はそう思った。どう作ったところで、おそらく、
俗にいう一般人の目には入らない。STGは完全にマニア向けの少量受注生産品になってしまった。なぜだろうか。俺はそれを
ゲーム性のせいだと思っていた。今の時代、ブロック崩しゲームに興じる人は少ない。少なくとも、一般人はそれを選択しない。いくら画像が綺麗になり、いい音楽がなり、いいキャラクター・世界があっても、やることがブロック崩しであるなら、やはり誰も遊ばないだろう。いくら、ブロック崩しのゲーム性がゲーム的な普遍性を持っていたとしても、そんなものは関係なく、ブロック崩し以上に楽しく、さらにブロック崩しの要素を継承したゲーム性のものが選択されるだろう。いわんやSTGをや。そういった意味では、確かにSTGは終わっている。俺達はしかし未だにブロック崩しを作り続けている。STG脳なんだと言われてもおかしくない。
でも、とIKDは思う。
もし、何十年もブロック崩しを作り続けていたら?
もしかしたら、パラダイムシフトがやってくるかもしれない。
左右ボタンだけでも、それこそMMOなんかに負けないゲーム性を復活させられるかもしれない。
ゲーム作りなんだか、CGムービー作りなんだか訳が分からなくなってきたこの世界がもう一度、原点に立ち帰れるかもしれない。
そのニュアンスで、俺はSTGを作り続ける。
いつか、その地平にたどり着く。

それは意地である。

そしてそれが意地以外の何物でもないということに俺は常に自覚的だ。
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4時間オフセットなリアリズム。 2010年07月12日 漫画 トラックバック:0コメント:0

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シャフト製アニメのテロップの9割はカットが速過ぎて読めないけれど、そこがかっこいい。




拍手ありがとうございますー!

>俺もリアルタイムモードです!
こんなところにもリアルタイムな人が!
……まあ、私の場合はゲーム内時計を4時間ほどオフセットしているわけですが!
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全ての選択肢が気に入りません。 2010年07月11日 漫画 トラックバック:0コメント:0

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選挙用紙に名前を書きながら、切なくなった。

今回の選挙の脱力感は凄まじい。
というか、年々、回数を重ねる度に悪化している。

しかしながら、フォン・ノイマンが提唱した『ゲーム理論』的には、
こういう形に物事が推移していくのは必然だったともいえる。
悪い方向への同調、いわゆる、『コーディネーションの失敗』の典型的なパターンだ。

ゆえに、今の日本は『低迷』ではない。
今の日本は『衰退・凋落』以外の何物でもない。



拍手ありがとうございます!

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けいおん!! 新OP・EDが完璧すぎて泣いた。 2010年07月10日 日記 トラックバック:0コメント:0

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けいおん!! が凄すぎる。
凄すぎてもう言葉に出来ない。




拍手ありがとうございます!

>制服をくんくんしたりムギュムギュしたりする
非常にセーターがちくちくするので脱ぎたいところですが、脱ぎませんw
ということで、普段着として着させていただきます。
……でも、ちゃんと洗って返しますから!

>ムギムギ時間ってちょっと卑猥だと思うんですが
どのように卑猥なのでしょうか。
「恥ずかしいけど、こんなこと一回してみたかったの~!」的な時間のことでしょうか?
ちょっと絵で描いてみて下さい。お願いいたしますw






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桜ヶ丘高校の制服をお借りしました。 2010年07月04日 落書き トラックバック:0コメント:2

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……超絶ぱつんぱつんになってしまいました。
中のカッターはボタン外して着たので大丈夫ですが、
セーターはのびのびになりました。

……こんなので、よかったのでしょうか……?




拍手ありがとうございます!

>僕では着れなかったので、ユグ嬢にお貸ししますね。( ・∀・)つ桜ヶ丘高校制服ユグ嬢がコスプレしてくれれば、僕の夏は始まります!

こ、こんな感じになってしまったのですが、よかったのでしょうか……。
とりあえず、全身の画像も貼りますけど、涙目です……。

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けいおん!! 13話のあずにゃんがあずにゃん過ぎて生きるのがつらい。 2010年07月03日 けいおん! トラックバック:0コメント:0

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今回は過労な会社員に漫画描く時間を確保してくれる政党に投票したい。




ところで、
隙間時間に書いていたあずにゃん文章が結構な量になってきたので、
とりあえず、途中まで貼りつけることにするのだった。

●●●

6本の弦が綺麗に共振する。
音楽理論はまだ詳しくわかってないけど、でも、大抵のことは身体がわかっている。
大事なのは、このなんとも例えようの無い、気持ちのいい音。波形。
そして、この気持ちのいい鉄芯の振動がアンプを通してダイナミックに歪んで、
大音量になって私の全身を貫いていく。

私、ギターやってて本当によかった。

本当、ギターはどんな弾き方をしても気持ちがいい。
コードとコードを繋ぐ快感。付属音を追加する遊び心。
毎日、いつも弾いていても全然飽きない。
次から次へと新しい世界が見えてくる。
音楽って、ギターって、本当に素敵です。

「あ。今日もあずにゃん、早い~」

振り向くと、唯先輩が鞄をソファーに下ろしているところだった。
そうです。
私はやる気があるのでだいたい一番乗りなのです。
偉いねえあずにゃんは、などと言いながら、ギターケースを開く唯先輩。

「さ。ギー太、今日はちゃんと練習するからね!」
「唯先輩、毎日練習しないとだめです」
「してるよしてるよ~。あずにゃん~」

と、そこで私は唯先輩と目が合う。

その瞬間、きらりん、と唯先輩の瞳が輝いた気がした。
いつものお決まりのパターンではあるけれど、私は身構える。
唯先輩はギー太をソファーに立てかけて、ゆらーっと私に近づいてくる。

そして。
やっぱり。

「あ~ずにゃん!」
「にゃっ!?」

むぎゅうと唯先輩に抱きしめられる。
頬に頬を重ねられ、すりすりされる。
いつものことなのだけれど、私の心拍数は一気に跳ね上がる。
ドキドキが止まらない。
唯先輩の柔らかさ。
ぬくもり。
至福の時間。

人目の無い部室で2人きり。

唯先輩。
唯先輩!

人目が無いところだったら、私、何をされたっていいんです。
人目があるところだと、ちょっと恥ずかしいけれど。
恥ずかしいと、素直になれないけれど……。

「あずにゃんあずにゃん。あずにゃん分補給!」
「……ゆ、唯先輩……」
「あずにゃん~。好き~好き~大好き~」
「……わ、私も、……って、え!?」
「え?」
「え?」

ぴたり。
と二人、抱き合ったまま時間が止まる。

「え?」
「え? ……って、何ですか!?
 唯先輩の『え?』は何の『え?』なんですか!?」
「そ、それを言うならあずにゃんの『え?』は何の『え?』なの!?」
「わ、私は……」

「お、今日は一番乗り! ……じゃ、なかった」

威勢良く入ってきた律先輩のテンションが一気に下がる。
抱き合ってる私たちをジト目で見る。

「あ、いえ、その……」

私は急に恥ずかしくなって、唯先輩の腕の中から逃げる。
唯先輩もあっさりと私から離れて、頭をぽりぽりとかく。

「また二人っきりでそんなことして……。どんだけ仲がいいんだ仲が!?」
「ご、誤解です!」

律先輩の声色は冗談めいてはいたけれど、
私は思わず大きな声で反論してしまう。

「仲がいいんだよ! 良すぎるんだよ!」
唯先輩も思わず大声で反論する。
なんか、反論になってないけど。

「ふーん、梓。もしかして、唯とあやしい関係なのか?
 そういう趣味なのか~?」
「そ、そんな!」
「私はOKだよ! あずにゃん!」

え!?
OKなの!?
そういうの、いいの?

一瞬、視界が真っ暗になって、真っ白になった。
頭がくらくらする。

……いや。
いやいや。
でも。
どうなんだ?
私の心はどうなんだ?
私は唯先輩が好きだ。
好きで好きでどうしょうもない。
もし、本当に唯先輩がいいなら、
私はいつだって何をされたっていい。

でも、だ。

でも、唯先輩は軽音部みんなのことが好きだ。
私が特別というわけじゃない。
唯先輩は本当にいい性格してるから、誰のことも好きになってしまう。
みんなをやさしく包み込むような、それでいて、
しっかりとやるときはやるようなかっこよさもあって。
だから、みんなも唯先輩のことが好きだ。
憂だって、純だって、唯先輩に憧れている。
みんなに愛されてる唯先輩。
私だって、唯先輩を愛してる。
でも、唯先輩の私に対する『好き』は、たぶん、違う。
『好き』なのかもしれないけど、亀のトンちゃんにだって同じ『好き』を言うんだろう。

たぶん。

いや、本当のところはわからない。
教えてくれない。
唯先輩は教えてくれない。
だから、唯先輩はみんなにやさしいから、私にだけ特別っていう感じがしない。
私は何ひとつ確信が持てない。
私は何一つわからない。

私は唯先輩の本当がわからない。

「おーい。梓ー、戻ってこーい」

はっ。
どうやらぼーっとしていたらしい。
いつのまにか、澪先輩も紬先輩も揃っていた。

「梓、どうかしたのか?」
「まあね。さっき私が部室入ったとき……」
「や、やめてください律先輩!」
「何? 何があったの!?」
「紬先輩! 食いつかないでください!」
「あずにゃん。照れてる? 顔真っ赤だよ」
「そんな! 唯先輩のせいじゃないですか!」
「いや、梓。もう全部言っちゃって、楽になったらどうだ?」
「な、なにを言うんですか!?」

「何? 何の話?」

え!?
いつの間にかさわ子先生もいた。
やばい。私、全然周囲が見えてない。

「な、何でもないです! 練習しましょう練習!」
「えー? いいわよ練習なんて。それよりお茶とケーキが大事なんだから」

「失礼します。お茶の最中悪いんだけど、今年の部活動スケジュールがまだ提出されてないんだけど」
「あ、和ちゃん。和ちゃんもお茶飲もうよ」
「で、律。梓が何をしたんだ?」
「え? あ、うん。言っていいのか? 梓」
「だ、だめです!」
「何かあったの?」
「私が部室に入ったときのことなんだけど」
「部室に入ったのね?」
「そこは別に確認しなくてもいいだろ、ムギ」
「ムギちゃんは演奏もそうだけど、前へ前へ出ちゃうタイプなのよね」
「そしたら、そこには驚きの映像が!」

「こんにちわー」
「おじゃまします」

純と憂が入ってきた。

純:「今日はジャズ研が休みなので勉強させてもらいに来ました!」
憂:「私は見学に来ました!」

紬:「どうぞどうぞみなさん座って~。紅茶も出しますからね~」
律:「おいおい。まさかの9人になっちゃったぞ」
澪:「いいんじゃないか? みんなに聞いてもらったほうがいいだろう」
唯:「そうだよ。あずにゃん!」
梓:「や、もう、やめましょうよ……私の話はもういいです」
さわ子:「何よ。煮えきらないわね。ちっとも話が進まないじゃない」
純:「何があったんですか?」
梓:「何もないよ! 純、練習しよう練習!」
憂:「わあ。これ、すごいお菓子ですね!」
紬:「これはね、家にいるシェフの方から作っていただいたの」
律:「私が部室に入ったら、唯が梓を抱きしめてたのだ」
さわ子:「いつものことじゃないの?」
唯:「抱きしめるのはいつものことだけど、今日は私、あずにゃんに、ちゃんと好きって言ったんだよ」
澪:「え?」
憂:「え?」
梓:「え?」
唯:「そしたら、あずにゃんが固まったんだよ。私としては、どうしてかなあって」
和:「それは固まっても無理がないわね」
梓:「それは……、私、どういう意味で言われたのか、わからなくて……」
紬:「どういう意味なの? 唯ちゃん」
律:「なんか、ムギのアシストがすごいよな」
唯:「どういう意味って言われても」
澪:「逆に、どうして梓は固まったんだ?」
梓:「え? いや、固まったというわけではないですが……」
純:「梓は憂のお姉ちゃんが好きだからね」
さわ子:「じゃあ、相思相愛なんでしょ? まあ、端から見てればすぐわかるわ」
唯:「そうしそうあいって、何? 憂?」
憂:「二人とも、好き同士ってことだよ、お姉ちゃん」
律:「……そんな綺麗に話を進めていいのかよ?」
梓:「そ、そうですよ! 変ですよ! こういうの!」
唯:「変なのかな? 私はあずにゃんのこと好きだよ? あずにゃんは私のこと、好き?」
梓:「す、好きですけど」
唯:「じゃあいいんだよ。あずにゃん。そうしそうあいなんだよ!」
梓:「ゆ、ゆいせんぱい……」
律:「と、いう風に抱き合っていたのでした」
紬:「私、応援するから!」
和:「……これ、いい話だったのかしら?」
澪:「お互いがいいんであれば、いいんじゃないのか?」
純:「……本当に、軽音部って練習しないんですね」
律:「これはほんの一面だから。部活動の」
澪:「いばるな。嘘をつくな」
梓:「れ、練習です。練習しましょう!」
唯:「あずにゃん、あーん」
憂:「本当、これ、おいしいですね」
紬:「憂ちゃんが喜んでくれて嬉しい~」
さわ子:「甘いものを食べるとしょっぱいものが食べたくなるわね」
律:「さわちゃん、発想がべたすぎる」
唯:「あ、そうそう。しょっぱいと言えば、海だよ」
律:「そりゃそうだけど、いきなりすぎるだろ」
唯:「今日の授業、わかんなかったなあ。海水の話」
和:「そんなに難しい話、あったかしら」
唯:「海水は3%なんだよ! 塩の濃度が!」
律:「……唯、濃度ってわかっていってるか?」
唯:「わかるよ律っちゃん! 濃度は、濃さってことだよ!」
梓:「唯先輩、まじめに勉強してるんですね」
澪:「梓、バカにしてるだろ」
唯:「100gの水に3gの塩が溶けてると、3%なんだよ!」
憂:「すごい。お姉ちゃん、ちゃんとわかってる!」
唯:「いやあ、それほどでも」
律:「いや、バカにされてるぞ。絶対」
和:「そこから塩化物イオン濃度を計算するのが今日の授業だったわね」
唯:「もう、そこからはだめ」
澪:「いやいや。そこからが授業の内容だから」
律:「そうか? なんか初めて聞いた言葉ばかりだな」
澪:「律、寝てただろ」
紬:「そこからは私も難しかった~」
さわ子:「あんたたち……。これから高校受験するんじゃないわよ?
 大学受験するのよ? ちゃんとそれわかってる?」
律:「う」
純:「……なんとなく、さっきの問題、私でも解けそうですけど」
律:「ざっとでいいから教えてください」
澪:「2年生に勉強教わるとか、情けない……」
純:「塩っていうのは、NaClなんですよ。塩化ナトリウムです」
唯:「演歌?」
梓:「塩化です」
純:「NaClの分子量は、えーと、58.5ですね」
唯:「漁?」
梓:「量です」
純:「で、Clの分子量は35.5だから、58.5の中に35.5の割合でClが入っているというわけです」
律:「だめだ……。私、もう眠い」
唯:「私もだめだよ律っちゃん……。眠いというより、全然頭が動いてない」
澪:「ここでつまいづいてたら大変だぞ……」
梓:「どこらへんがわからないんですか?」
唯:「うう。あずにゃん……。まず、NaClって何?」
梓:「Naはナトリウム。Clは塩素です。塩素とナトリウムが結合して塩化ナトリウムになっているのです」
唯:「なんで結合するの?」
梓:「……ナトリウムイオンは+の電荷を持っていて、塩素は-の電荷をもっています。
 だから、お互い、くっつきあって、一緒になるのです」
唯:「私とあずにゃんみたいに?」
梓:「そ、そうです」

しばらくの沈黙。

紬:「……あ。あれ?」
律:「ちょっと待て。ここまで、全部前振りだったのか? 梓」
梓:「い、いや、こんなのは計算してできません……」
澪:「……和、どうしたんだ? そんな真面目な顔で」
和:「ちょっとね。面白いなって思っただけ」
律:「そもそも、なんの話しててこうなったんだよ?」
唯:「海の話だよ!」
紬:「……そうだったかしら……」
さわ子:「なんだっていいわよ。ムギちゃん、紅茶、おかわりもらえる?」
憂:「なんか、毎日こんなことして楽しそうですね」
律:「憂ちゃんも軽音部に入りなよ。来年、梓一人で可哀想だろ」
純:「もし、来年、梓が一人になったら、梓はジャズ研にきてくれるよね?」
澪:「そうか。そういう手もあるんだな」
唯:「そんな~。あずにゃん寂しいよ~。いっちゃだめ」
律:「いや、来年、唯、あんたいないから」
唯:「そうだった」
梓:「……でも。でも、私、正直、悩んでるんです」
澪:「……」
律:「……部員勧誘、また、するか?」
紬:「そうね……」
律:「純ちゃんと憂ちゃんは決定でいいとして」
純:「え」
律:「問題はあと1人が必要だということだ」
唯:「そこは私が入るよ、あずにゃん!」
和:「無茶言わないの」
律:「ジャズ研から引き抜いてこれないだろうか」
梓:「……でも、唯先輩、律先輩、澪先輩、紬先輩がいないなら、続けてもしょうがないような気がします」
澪:「……」
律:「……」
紬:「……」
唯:「……あずにゃん……」

<後編へ続く>
(無駄に長すぎるだろ常識的に考えて)




拍手ありがとうございますー!

拍手返信>

>るきにゃんも使用後さんも一度にゃーと言ってみるといいと思います。さぁ今すぐどうぞ!さぁ早く!ハアハア

に、にゃー!

>材料が無いとピラフは作れないけど律で御飯何杯でもいけますね。

校歌(rock ver.)の最初の『ワンツー!』だけでおかわりも美味しく頂けますw

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