Entries

脳内思考トレース練習

M内科の待合室は満員だった。
三日月のような形状をした広さ10畳くらいのその部屋に、高齢者を中心に30人近くが自分の名前を呼ばれるのを待ち構えていた。
どの人も、だいぶ待ちくびれている様子が、一目見てわかった。

私は家で書いてきた問診表と診察券を重ねて、三日月の凹み部分に位置する受付へと持っていった。
――インフルエンザの予防接種。生まれてこの方、インフルエンザには罹ったことが無いが、それは毎年しっかりと予防接種を受けてきたからかもしれなかった。それとも、異様に病気耐性がある体質なせいなのかもしれないが、ただ単に運がいいだけという可能性も否定できない。

座る場所が無いため、私は受付の横の壁に寄りかかり、目を瞑る。
受付の看護婦3人が慌しく書類をかき混ぜ、時折、名前を呼び、問診表の配布や会計をこなしていく。ひどく忙しそうだ。だけれど、次から次へと、新しい患者さんが待合室に入ってくる。
――まだ、でしょうか? もう1時間は待っているのですが……
おばあちゃんが受付に尋ねる。
――すいませんね。今、2時間待ちの状態なんです。今しばらくお待ちください……

私は時計を見た。
夜7時半。じゃあ、私も9時半ころになるのかな。
再び、私は目を瞑る。この2時間、物語について考えよう。
『姉色パーティクル』
さっき思いついた物語の断片。
タグで分類すれば下記のようになる物語。
【弟。射精フェチ。手フェチ。姉。寸止め。もどかしい】
でも、これは物語として上手くいかないだろうと、今になって思う。
別に上手くいかなければだめだというわけでもないが、どっちかといえば、上手くいかな過ぎるだろうと思う。
エロ漫画的な設定でエロをやらない、というジャンルは、描いてる人しか面白く無いのではないかと思う。だから、もう1回ひねらなければいけないなと思う。普通の漫画なのに、なんか妙にエロい。これに辿り着かなければいけないと思う。
――と、そこで突然、待合室にいた男の子が泣き出す。いやだーいやだーと、ぐずるようなアクセントで泣き叫び、部屋の壁をごんごんと蹴り始める。母親は、低い声で子供を叱り付ける。それがまた気に入らないようで、彼はさらにいやだあーいやだあーと泣く。いい加減にしなさい、みんな迷惑してるよ、と母親は怒鳴る。彼は泣き止まない。
私は思考を中断し、その母子の様子を頭の中で再構築し、彼の身になって今の状況を考えることをし始める。
注射は怖い。痛いから怖い。我慢できなくない痛みだけど、でも、痛いのは嫌だ。嫌なのに、お母さんはそれを強要する。嫌なのに、我慢しなさいと言う。なんで? 僕は嫌なの! なんでそれなのに! 裏切られた? 寂しい! 嫌だ! お母さんは時々、そうやって怖くなる。僕の知らない原理原則で動き始める。怖い! 注射が痛いのも怖いけど、お母さんがお母さんじゃなくなるのが怖い!寂しいし、怖い!嫌だ!嫌だ!!!
――嫌だから嫌なんだ。それがわかってもらえないのが嫌だ。
私は彼が泣く理由をそう想像した。
いいなあ。自由だなあ。穢れ無き感性を彼は持っているのだなあ。
まるで宇宙のようだ。あるいは物理法則。
銀河系と同じ大きさのブラックホールが銀河系を食い尽くしていくのに、罪も罰もない。それが物理法則だからだ。そこに悪魔とか神とか関係ない。圧倒的な自由。無慈悲。それが世界の原則なのに、私たちはその感性をどこかで手放してしまう。
――銀河系と同じ大きさのブラックホール。
怖いなあ。実際、怖いなんてものじゃないと思う。そこでは何がどうなっているのか、誰にもわからない。放物線のような曲線で、密度が無限大に近づいている『場』。光さえ吸い込んで、吸い込まれた光は永久に出てこれない。本当の闇。RGB値が完璧に(0,0,0)。そんな闇を見てしまったら、私たちの目はおかしくなるに違いない。あまりに黒すぎて、焼き付く。そういうことがあり得ないとも限らない。
いやだーと泣く彼は、その『闇』をこの注射に見ているのだ。だから、もうヒステリックに怖がる。でも、おかあさんは宇宙船を止めない。圧倒的な闇に向かって突き進んでいるのだ。

あるいは、微細構造を注射と重ねている。
この世界にある物は電子顕微鏡で見ると、分子の組み合わせで構成されている。分子は原子の組み合わせで構成されている。原子は原子核と電子で構成されている。
よく、漫画で見るのは、球形状が重なり合った原子核の周辺に、同じく球形状の電子が円を描いて衛星運動しているイメージ。でも、正確にはそうじゃない。電子は球形状をしていない。私のイメージとしては、もやもやとした波形の共振点。電子は電子という固有の形をしていないで、まるで水面を走る波がぶつかり合って一瞬励起するその突起こそが『電子がそこにあるかもしれないという可能性』の姿なんだろう。パチンコ球じゃなくて、LEDの信号の煌き。観測する度に姿は変わる。それは観測するという行為が『場』に影響を与えるのではなくて、観測するというそのカッティングによって得られた姿が確率的に変わる可能性があるという――なんだか自分でも上手く書けてないと思う――そういう世界。これを、量子力学的、と書くと、いや全然違う全然わかってない、と思われる専門の方もいると思うので、そうは書かないけれど、要は、原子核や電子といった微細構造は形じゃなくて、波の揺らぎを遠く見て、縞模様、と表現するかのような、その、あの、ああ、なんで私はこんなことを必死に考えてるんだろうか。
話のスタートが良くなかったのかもしれない。
やり直し。
世界を細かくカットしていく。分子をカットする。原子をカットする。原子核とか電子とか、それらをサンプリングする。それらの姿は観測する度に姿を変える波形でモデル化する。波形は所定のサンプリングレートで量子化する。量子化したデータの変位を数値化する。数値はある程度の精度の実数になるように四捨五入する。これで世界をデジタル化できました。
しかし、その過程で、かなりのデータの劣化が見られる。ドット絵のような世界が出来上がり、「これが世界そのものです」とは言い難い。あるいはJPEG変換による画像の圧縮と劣化。
――話のスタートも終わりも間違えた。
……というか、なんの話をしようとしていたんだろうか。
そうだ、『怖い話』だ。
要は、原子核も電子もよくわからない、ぶれぶれの波形の可能性で出来ている。ぶれぶれの波形の可能性が集まって、私たちが出来ている。であれば、私たち自身がぶれぶれの波形でしかない可能性は否定できない。
だから私たちは人として軸がずれている。(それはまた話が違います)

話は横にずれるけど、原子核は何で出来ているんだろうか。
原子核は電子よりもかなり大きいらしい。大きいというのは、寸法ではなく、重さなのだろうか。重さというのはエネルギーである。エネルギーが大きいから『場』がぶらーんと歪む。ハンモックに猫が寝てるみたいに。そうすると、電子がその歪みに取り込まれて、その漏斗状の坂道から出てこられない。時折、外から来た電子がコチーンとハンモックにぶつかると、電子がチャンスとばかり逃げ出していく。そのとき、ハンモックは不安定になる? なんか、違うな。このイメージだと、電子なんて必要ないみたいだ。原子核には電子が必要なのだ。というか、原子核の影が電子なのか?原子核がいれば、それに釣り合う程度の電子が出てくる。双子惑星のイメージ。でも、地球には月は本当に必要か?月が無いと、地球は変なになってしまうんだろうか?
話変わって、原子はクォークで出来ていて、クォークは紐で出来ているそうな。その紐は27とかそれくらいの次元が折りたたまれているそうな。
ここら辺はなかなかイメージできない。単語だけしか頭の中に無いせいだ。

会社を原子と置き換えよう。
原子の中にはたくさんの社員がいる。その社員一人一人に人生がある。『多次元的な紐』とはそういう『社員の微細的な挙動』っていうイメージでもいいんだろうか?社員一人一人の人生のちょっとした出来事は、会社自体に直接関わってこない。でも、長い目で見れば、そういうちょっとしたところがトリガーになって、会社が変わることもあるもんだ。
みたいなっ。
……ちょっと話が違うな。
うーん、イメージできない。

――七瀬さーん。どうぞー。

呼ばれた。
ちくっとされた。終了。5分も掛からず終了した。
さて、帰ってからこの取り留めの無い思考を文章化してみよう。
多分、無理なんだろうな。
ていうか、なんでこんな小さい世界のこと考えてたんだ?
うーん、もう全然思い出せない……。

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://nana252.blog49.fc2.com/tb.php/32-f9fc3891

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

nana252

Author:nana252

動画模写

2009年の目標
(1)毎日22:00に寝る。
(2)囲碁を頑張る。
(3)漫画ネタを蓄積し続ける。
(4)お酒を飲まない。
(5)小さな予算で大きな仕事。
(6)枯れた技術の水平思考。
(7)えろ禁止。(091030〜)

最新記事

Twitter on FC2

最新トラックバック

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ